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王国騎士団・北方教導隊・参謀

 遅くなりました。

 だから、という訳ですが

 作者的に少し長めのお話になります。

 もしよかったら読んで下さい。

 よろしくお願いします。

 俺の家は貴族だ。

 しかし、それは俺にとっては、あまり関係が無い。

 俺は家の4男坊、兄達が居る限り、家名など無意味だ。

 だから俺は、成人したら家名を捨てるつもりだ。

 だからと言って町人になるつもりも無い。

 じゃあどうするか、頭が良ければ王宮務めの官僚の道もあったかも知れないが、俺は体を動かす方が好きだった。

 最下級の兵達と一緒にならない程度には、親が手を回してくれた。

 王国騎士団北方教導隊おうこくきしだんほっぽうきょうどうたい

 王国騎士団とは、言ってしまえば王家の兵隊だ。

 地方貴族の私兵との違いは、装備品を提供してくれることだ。

 金の無い俺には丁度よかった。


 しかし、北方教導隊ってのが問題だった。

 王国の国境は東西南が、隣国と接している。

 北には森と山しかない。

 そのため、北方は軽んじられている。

 しかも、教導隊は貴族の3男4男などが腰掛けに兵役を経験する場所だ。

 もちろん、教導隊を経て隊長等になるのだが、優秀なヤツは南方教導隊に回される。

 安全な道楽騎士それが、この隊の評価だ。

 要するに、騎士団内では、1番侮られている隊なのだ。

 俺は騎士団で、出世を目指していた。

 ゆくゆくは、王族警護の近衛にでもなれれば、安全に出世も出来る。

 しかし、親父は俺に戦場で死んで欲しくはない、と思ったのかも知れない。

 でもこの道楽騎士隊じゃ、出世は望みが無い。

 教導期間が終わっても、せいぜい隊長止まりだろう。

 隊長ってのは、簡単に言えば現場監督だ。

 戦場の1番やばいところに行かされる。

 そんなとこで生き残れるヤツなんて、何十人に一人だ。

 俺はその可能性を信じるほど楽観的じゃない。

 騎士の道は適当なとこで諦めて、冒険者でもやった方がまだなんぼかいいか。


 そんなしょうも無いことを、ダラダラ考えてると、隊長が屋敷から出てきた。


 ここは、王都の北に位置するカリオンの街だ。

 屋敷は、ここら一帯を治める貴族のもの。

 かなり変わった貴族で、名をヌクス・パルマイ。

 この貴族の領地は、教会の影響が少ない珍しい地域で、この街にも教会が無い。

 これは、王国ではとても珍しい事だ。

 理由は簡単、ここいらでは、魔術師やら呪い師やら、あやしいヤツらが、公然と歩いているらしい。

 そんなのを王国と教会が黙認している理由は、この土地だけの特産品があるからだ。


 「はぁ」


 「どうしました?まだかかるんですか?」


 この隊長ルカルト・ヴァージムこそ、北方教導隊の中で最もついてない男だ。

 エリートの南方教導隊から、この隊の隊長に任命されてしまった。

 小耳に挟んだ話では、強すぎる出世欲と、実力を疎まれたらしい。

 まぁ、世渡り下手って事だろう。

 その点、俺は人に取り入るのは得意だ。

 いつの間にか、この隊の参謀役にまでなってるのがその証拠だ。


 「まだかかるそうだ。こんな小さいガキが、偉そうにあれこれ指示していたさ」


 「へぇ?あー、そういえば昨日、街で噂を聞きましたね。すごい魔術師様が来てるって、ほんとに子供なんですね?」


 「あぁ、みたいだな。やれやれ、貴族ともあろう者が、嘆かわしい」


 「ここの領主様が魔術に傾倒しているってのも、ほんとなんですね」


 「あんな怪しいものを信じるなんて理解に苦しむがな」


 俺はサッと周囲に視線を走らせる。

 幸い近くに屋敷の人はいなかった。

 たぶん、この人のこういう迂闊うかつな所が左遷させんの原因だろう。

 いくら大きな屋敷でも本人の家の前で批判するなど、あり得ない。どんな人格だろうとも相手は貴族なのだ、場合によっては大事になる。


 貴族の争いは力比べだ。

 弱い方は絶対に強い相手には勝てない。

 もちろん力というのは、財力、人脈、知力、その他もろもろ全てひっくるめた話だ。

 だから家からさして大切に思われていない、道楽騎士達じゃ絶対に相手にならないのだ。

 俺は話題を変える。何かの拍子に巻き込まれたらたまらない。


 「そう言えば、ヌクス・パルマイ様のお嬢様も魔術師だとか?」


 俺は本人の批判を止めさせるべく、話題を変える。


 「あぁ、愚かな事だ」


 こいつはもぉ、魔術関係はダメなのか?


 「そっそういえば、今日は天気が良さそうですね!」


 「ん?あぁ、そこまで日も出てないし曇天だからな。行軍日和だな」


 なぜ曇りが良いのか。

 俺達の装備品は軽鉄という特殊な鉄で重量は見た目ほどでは無い。

 しかし、日の光で熱を持つ。

 誰だってサウナの中では汗をかく。

 熱い鉄を体に纏っていれば、どうなるかお判かりだろう。


 俺は他にも話題が無いかと見回す。

 すると、街の方から奇妙な格好の人?が駆けてくる。

 それは、頭をすっぽりとフードで覆い、そのフードには大きな耳と目がついている。

 言ってしまえば猫の顔だ。

 さらに腕までそのローブに覆われているが、二の腕の内側にすき間があり、逞しさと柔らかさを併せ持つしなやかなライン。

 胸には適度な膨らみと、腰はベルトでキュッと絞られ、力強いヒップラインに尻尾!?

 さらにモモの範囲だけ素肌をさらす、何人にも犯されざる聖なる領域。

 その下のすらりと伸びる美しい足。


 そう思っていると、その不思議美生物は屋敷の中に入っていった。


 「なんなんでしょうね?」


 「さぁな、しかし何だあの格好は?」


 「なかなか、斬新な服装でしたね。しかし、いい女でした」


 「そうか?顔がわからなかったが・・・」


 面食いめ、女の良さをまるでわかっていないな。

 まぁ、自分の顔がいいからなのかもしれないが。

 そう思っていると、先ほどの女性が屋敷から現れ、元来た道を駆けて行く。


 「なんでしょう?何かの知らせを持ってきたのかも知れませんね?」


 「・・・そうだな、もう一度聞いてくるか」


 「あまり尋ねられると、催促されているように思われるのでは?」


 「そうか?」


 「それよりも、門で待っている副長殿に、出発の準備を整えておくよう言ってきましょうか?」


 「そうか・・・。いや、君が行く必要は無い。」


 そう言って俺達から、少し離れたところで待機していた、同僚に指示する。

 ちっ、さっきの女の尻尾を追いかけたかったのに。



 それからしばらくすると、護衛対象のお嬢さんも出てきた。

 あらら、ほんとに冒険者なんだな。

 仕立ての良さそうなローブを着込み、大きな杖を持っている。

 流石、貴族様は良い物着てる。


 っと、後ろから出てきた女の子は、確かにまだまだ子供だ。

 しかも、やたら偉そうにしている。

 なるほど、こりゃ確かに生意気だな。


 どうやら、ポーターの女が他に来るらしい。

 先程の女はそれを伝えに来たそうだ。

 じゃあ、また会えるかもな。

 こりゃ、楽しみだ。



 それから少し待つと、女が現れる。

 まず目を惹くのは、その燃える様な輝く赤い髪。

 自信に満ち溢れた勝ち気そうな眼差し、だがそれが整った顔立ちの美しさをより引き立てている。

 そして胸の膨らみ、くびれた腰、弾ける尻。

 目で追わずにはいられない、けしからん形だ。


 さっそく隊長が、アピールしている。

 面食いめ。

 あ、無視された。

 なるほど、勝気な瞳に似合う性格なわけだ。

 ますます、いい女だね。


 こりゃ、行軍が楽しくなりそうだ。

 と思ったんだが、そうだった。

 ずっと馬車の中じゃ、目の保養にはならなかった。



 護衛する馬車の周りに引っ付いて、門のところまでくる。

 他の隊員達が準備して待っていた。

 隊長が勇ましい事言ってはっぱかけてる。

 今回の俺たちの任務は、空を覆い尽くさんばかりの飛竜が現れたので、調査する。って事になってる。

 もちろん、誇張した表現だろう。

 もしほんとにそんなのが現れたら、正直なすすべなんてない。

 仮に、飛竜が100匹もいたら、王都は火の海だ。

 飛竜は個体差はあれど、ワイバーンの様なブレスははけないし、硬い鱗を持っているわけでもない。

 ただし、火の玉を吹きだす事が出来る。


 まだ小さい頃に、実家の領内に飛竜が3匹住み着いたことがあった。

 いつもなら、通過するだけの飛竜が、近くの山に巣を作り居座ったのだ。

 当然、地域の住民から、不安の声が上がる。

 そこで、親父は冒険者を差し向ける。

 ところが、冒険者が倒せたのは1匹だけで、残った2匹の飛竜にふもとの村は壊滅させられた。

 もちろん、兵士なんて配していない小さな村だったが、いくつもの家屋が黒く焼け落ちた様は、子供ながらに強く印象に残った。

 その後、飛竜は巣を放棄し領内から出て行ったが、以来俺の実家じゃ、飛竜が巣を作れそうな洞窟や、大きな木などは全て、切り倒すことになった。


 3匹でこの騒ぎなのだ。

 それが空を覆うほど?それは王国の危機だ。

 そんな危険な現象を調べるのに、こんな道楽騎士達が任されるのは、教会の強い意向が働いているらしい。

 ヌクス・パルマイと仲の悪い教会や、一部の権力者は一時的にでも、彼の手助けはすまいと動いたようだ。

 やれやれ、明日には全て燃えてしまうかもしれない状況で、権力争いを優先させるのは、さすがとしか言いようがない。

 いざとなっても、自分たちは安全だと思っているんだろうか?

 まぁ、権力者なんてのは、そんなもんか。

 力を持っているから、何でも出来ると勘違いしているんだろう。

 実際、人の事なら何でもできるのかもしれないが、相手は自然だ。

 御せるものではない。


 なんて、どうにもならない事を考えて草原を進んでいると。

 お嬢さんから、隊長を呼ぶように言われた。

 なんでも、猫ローブの子が狩りに行くために馬車から離れたいらしい。

 隊長は当然、拒否する。

 一応名目では、冒険者パーティの護衛だからだ。

 でも、実際はお嬢さんさえ守れば、問題はないはずだ。

 冒険者が死んだって、街中じゃそうなんだ?って感じで、話題にもならない話だ。

 今回も貴族の娘じゃなきゃ途中までだって護衛って話にはならない。

 俺は隊長にやんわりと、お嬢さんだけ守ればいいのだから、好きにさせても問題ないのでは?と伝える。

 隊長も考え直したようだ。

 あの猫ローブの体を見ながらの行軍なら楽しみが増えるってもんだ。


 あの猫ローブの可愛い子が荷台から飛び出し草原の中へ駆けて行った。

 俺は馬上なので、荷台から飛び出した時すれ違ったが、なんかいい香りがした。

 普通冒険者って、もっと臭いもんだよな?

 そんな事を思っている間に、猫ローブは草原に紛れて見えなくなった。

 まさか、見えなくなるとは予想外。

 はぁ、今日はどうもついてないな。

 ・・・まぁいい女に会えたからよしとするか。


 それからしばらく、どこまで行っても変わり映えしない草の景色が続く。

 空は曇っているが、薄暗いって程ではなく。

 大地の緑がどこまでも続いている。

 っと馬上だからか見たくないものを見つけちまった。

 緑の大地の一部が、茶色くなっている。

 草が無くて、地面が露出しているのかとも思ったが、目を凝らすと、そうではないようだ。

 俺は、隊でも目の良い奴を呼び、あれ見えるか?と聞いてみる。

 するとそいつは、すぐに動揺して敵襲だと叫んだ。

 あれ?そうなの?

 俺にはまだ地面が茶色くなっている様にしか見えない。


 周囲がバタバタと慌てている。

 どうやら、牛がこちらに向かって、爆走しているみたいだ。

 たしかに、まだ姿がはっきりしたわけじゃないが、なんとなくわかる距離まで近づいてきている。


 隊長は、馬車の周囲を指揮するだろう、副隊長が最前列なら、俺が最後尾だ。

 列になって行軍する最後尾に馬を走らせ、途中ダラダラ進んでいる騎士に後退するよう指示を出す。

 後ろには教導隊の物資輸送の馬車があるため、まずこれを下がらせないといけない。

 方向を変えるほどの道幅はないので、御者にゆっくりと下がるように指示する。

 しかし、馬車に馬をつけて下がらせるのは難しいので、周囲の騎士に馬車を押して、馬車の馬に一人落ち着かせ役を付けてゆっくり下がるように指示を出す。

 幸い、まだここまで状況は伝わっていないので、何かの訓練ですか?などのんきな事を言いながらやっている。

 そのまま、しばらく下がるように指示して。

 隊長の方まで戻る。

 もう牛の姿がはっきりわかる。

 足音まで聞こえて来た。

 俺の乗っている馬も興奮しているようで、御しにくくなる。

 だが、上手く牛の進行方向から逸れた様だ。

 ホッと一息つこうとした時、誰かがまた叫ぶ。

 隊長がグレートライオンだと言った。


 グレートライオン、草原に出没する危険な魔物だ。

 美しいたてがみを持ち、ブレスなど特殊な攻撃はしてこないが、その巨体からくり出される攻撃の前には、我々の鎧など無いに等しい。

 しかもこいつは、我々の幌馬車ほどもあるオスの固体だ。

 とても勝てる相手では無い。

 騎兵は挟撃しろと隊長は言ったが、そりゃ無理だ。

 あの毛皮には生半可な鉄の武器など徹りはしない。

 俺は参謀という立場上、色々な情報を集めたが、隊長はそこまで知らないのかもしれない。

 撤退を進言しなくては、全滅する。


 その時だった。

 巨大な咆哮に、一瞬意識が飛ぶ。

 理由もわからず呼吸が激しくなり、体が凍った様に痺れる。

 判ったのはそこまでで、他のことが考えられない。

 っと馬から落ちる。

 馬が暴れたわけじゃ無い。

 馬だって恐怖に固まっている。俺がバランスを崩したのだ。

 だがお陰で我に返った。


 子供の魔術師が、他の冒険者達に指示を出している。

 驚いたことに、彼女たちは平気だったみたいだ。

 まさか、立ち向かうつもりか!?

 その時、相手が屈み込んで一気に駆け出した。

 ところが、勢いがつく前に、横手から人影が飛び出す。

 それがグレートライオンの頭に細い腕を突き出したかと思うと、岩のように大きな頭がのけぞる。

 笑い話のような光景だ。

 そのまましばらく、暴れていたがやがて、ビクンビクンッとはねた後、動かなくなった。

 あの、猫ローブの子がその上に立ち、自分の獲物だと主張する。

 もちろん、それは正当なものだ、我々は見ていただけなのだから。

 しかしその後、彼女は仲間を呼ぶときに、肉だと言った。

 その後すぐに、周囲の騎士を正気に戻すため、深くは考えなかったが何となくその言葉が耳に残った。


 騎士達が立ち直り、やっと動けるようになった時には、本当にグレートライオンが肉になっていた。

 皮が綺麗に剥がされ、6つの革袋に収まっている。

 流石に護衛の馬車には積めきれないようなので、我々の馬車にも積んではどうかと提案した。

 もちろん、善意ではない。

 彼女たちに恩を売る事は決して無駄ではない。

 隊長はいまいちピンと来ていない様でぐずっていたが、あれこれ理由をつけて納得させた。


 その道すがら俺は考えていた。

 もし、彼女達がグレートライオンを討伐した事を、肉を手に入れた程度にしか思っていないなら、こいつはとんでもない幸運かも知れない。

 あの毛皮があれば、これほど大型の魔物を仕留めたと、主張できる。

 本物のグレートライオンを知らない王都の連中に対しての説得力が増す。

 王都では、虎を聖なる象徴として、獅子ししを力の象徴として尊ぶ貴族が沢山いる。

 そんな獅子の中でも、グレートライオンは最強クラスだ。


 この教導隊でこれほどの功績を上げれる機会など、二度とこないだろう。

 そもそも、我々だけでは全滅するような魔物だ。

 生き残れただけで奇跡だ。

 その上、彼女たちはその事に何ら気付いていない。

 上手く説得し、毛皮を手に入れるのだ。

 もし肉だけが目的なら、隊を分けこちらの輸送馬車で、彼女たちの目的地まで送り届けてもいい。

 ・・・まずは、隊長の説得だな。

 俺は、村に着くまでの間、降って湧いた出世の計画を煮詰めていった。


 宿場村に着くと、熱烈な歓迎を受けた。

 騎士団内では鼻つまみでも、田舎に行けばこの扱いか、さすがの俺もこの対応には驚いた。

 だがどうやら、ここは数日前にゴブリンに襲われたそうだ。

 それで、お嬢さん達冒険者が、村のために俺たち騎士を連れて来たって話が出来上がっているらしい。

 なるほど、これは幸運だ。

 さらに幸運は重なるもので、旅芸人の一座が宿場におり、しかも吟遊詩人までいる。

 彼らは各地を回り、様々な話をネタに噂を広める。

 これを利用しない手はない。


 俺は、隊長を説得しに行く。

 村人たちが歓迎の宴を開く準備の間、騎士たちは宿場で待機していた。

 その為、隊長は個室で一人だった。

 実に好都合だ。

 副長は隊長が俺の意見ばかり採用するのを快く思ってないみたいだからな。

 無能の嫉妬ほどやっかいなものはない。


 「ルカルト隊長、お話したいことがあります」


 「どうした?」


 俺は考えていた計画を話す。


 「・・・しかし、それでは彼女たちの手柄を横取りする形になるのではないか?」


 「たしかにそうなります。しかし、隊長も我々の騎士内での噂をご存知でしょう?このままでは隊長も、我々も、出世の芽はありません。しかし、今ならば!手を伸ばせば!その可能性が生まれるのです。もちろん彼女達には望むだけの報酬をお渡しすればよいかと思います。所詮平民です、度が過ぎたものを要求はしないでしょう?」


 「・・・」


 隊長は、沈黙して考えている様だが、その表情からも出世欲に火が付いたのがわかる。

 元々、野心家な人だ、さして難しいことではいない。

 問題は、あのポーターのいい女だ。

 たぶん、あれが猫ローブのボスだろう。

 猫ローブが肉にしか興味がないとしても、あのボスを説得できなければ意味がない。

 俺は隊長とその事について話していく。


 少し打ち合わせに手間取ったが、隊長がポーターの女と話している。

 っといきなりずっこけそうになる。

 なぜだ!?なぜ肉までよこせって話になっている!?

 毛皮だけあればいいのだ、相手が肉に執着しているのは明らかだろ!?

 クソッ!ここまで愚かとは、俺が交渉すべきだったか・・・。

 だが、俺には肩書がない。

 いや、もしかしたら、先にハードルを上げて、途中から下げていくつもりか?

 ・・・違うみたいだ。

 ポーターのいい女のゆるぎない態度が、よくない流れだと伝えている。

 って、剣に手をかけんな!?

 全てのチャンスを無にするつもりか!?

 すると、いい女が仲間の顔を見る。

 ・・・交渉が成功したようだ。

 あっけなくて、拍子抜けしてしまったが、上手く行く時とはこういうものかもしれない。


 肉と毛皮を手に入れた。

 俺は、隊長に肉は今夜の宴で振る舞う様にお願いする。

 理由は、あのポーターのいい女たちのご機嫌取りと、村人や旅芸人を証人として巻き込むためだ。

 宴にその肉が振る舞われたという事実のためだ。

 最初、自分の手柄をとられた様な顔をしていた隊長だが、俺が根気よく説得すると、理解してくれた。


 次は吟遊詩人だ。

 俺は金を掴ませ、あまり冒険者が面にですぎず、騎士が来たから村が救われたように話を持って行ってくれと頼む。

 もちろん、その詩はこの村で広める必要はない。

 王都や、他の地域へ行った時の話だ。

 人伝手に広まった話が、だんだん変化するのはよくある事だ。

 だが、そういう事実があったと周知させることが大事なのだ。


 あとは騎士内でも、認識の統一を図る。

 もし王都でグレートライオンを討伐したのか?

 っと聞かれたらそうだと言え。

 これは、ダメなパターンだ。

 正確には俺たちは見ていただけなので、嘘になる。


 じゃあどうするか?

 同じ質問をされたら。

 冒険者殿達と協力して、討伐することが出来た。

 これが、いい回答だ。 

 ほぼ嘘が無い。

 彼らも自分が偽っているとは思わない。

 ほぼ、被害を出さずにグレートライオンを討伐できたというだけで十分に英雄だ。

 他の力を借りていたことはこの際、問題にはならない。

 どんな英雄だって、様々な人の助けを得て大成するのだ。


 だが一つ問題がある。

 副長は俺の指示には従わない。

 しかも生真面目な所がある。

 隊長に諭してもらうが、もしだめなら・・・。

 ・・・この調査中に事故があるかもしれない。


 だが、それは些細な事だ。

 俺は一気に開けた出世への道に心躍らせるのを止められなかった。

 遅くなったいい訳ですが、騎士団とか貴族とかよく出てくる設定です。

 ところが、いざ自分が使うと、背景を考えるのがとても大変でした。

 なお、このお話の参謀殿が今後出てくるかは作者にもまだわかりません。


 思いつくサイドストーリーのネタが切れたので、次辺りコブンの話に戻る予定です。

 しかし、サイドを書きながら本編を書き溜めていた。

 という事が一切ないのでもしかすると時間がかかるかもしれません。

 最後まで読んで頂きありがとうございました。

 楽しんで頂けたら幸いです。

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