ハルシュレックへ出発します。
いつも通り遅くなりました。
すみません。
後から僕のローブを着た人がついてくる。
パンも食べてくれたみたいだ。
ココナの屋敷に着くと、建物の前で皆が待っていた。
馬車も用意してある。
その近くに初めて見る、鉄の鎧を着た人が3人立っている。
「悪いね。お待たせ」
「いえ、事情は伝えてあります」
チコリがそう言うと後からイサムが出てきて。
「レティキエさん、以前はたびたび失礼な態度をとってしまい、すみませんでした」
そう言って頭を下げる。
「ん?まぁ、気にするなよ。アタイもしてないし」
「ありがとうございます!」
なんとなく、他の人達もトゲトゲしてない気がする。
「すみません、ご紹介頂いても?」
鉄鎧の人が和やかに近づいてくる。
「私からするわ」
そう言って、進み出たのはココナだ。
「先日あなた達と別れた後に、飛竜の大移動が確認されたの。そしてここの領主から王都に報告が行って、騎士団が調査に入ることになったわ。彼はその責任者のルカルト・ヴァジームさん。彼女たちは私の依頼にポーターとして参加してもらってる、レティキエさん。騎士団の方達は、ハルシュレック手前の街まで一緒に行ってくれることになったの」
「王国騎士団所属・北方教導隊隊長ルカルト・ヴァジームです。美しいお嬢さん」
そう言って手を出す。
けど、レティには見えなかったみたいだ。
「・・・レティキエだ。よろしく」
レティは、僕たちの後に居たローブの人を見るけど、彼女はフードを深く被りなおしただけだった。
「悪いけど、知り合いを途中まで、乗せてやっていいかい?」
レティはローブの人を頭を振って示しながら聞いた。
「別にかまわないわよ」
「それでは、出発いたしますか?我々の馬は門の所に待機させております。皆さんはどうぞ馬車に乗車ください。道中も警備は我々を頼って頂いても構いません」
僕たちは馬車に乗り込む。
そこにミネバが、寝ていた。
「そういえば、どうなんだ?」
「意識は戻りました。しかし、記憶の曖昧な部分や、意識の混濁あるようで、快復には時間がかかりそうです」
「そっか、まぁ、意識が戻ってよかったな」
そして、馬車が動き出す。
御者台にはイサムとココナだ。
荷台は、ラポラ、双子、寝ているミネバ、チコリとレティ、ライシェラ、ローブの人、僕だ。
正直ちょっと、手狭な感じだ。
「チコリ?試験的に騎士団に護衛されるってありなの?」
「レティキエさんはご覧になりませんでしたか?この街から見えただけでも、空を黒く覆うほどの飛竜でした。流石にそれの通った方へ、この子達だけで行かせるのは、危険だと判断しました」
「なるほどねぇ、確かに多かった」
「はい、もしかしたら、先日のワイバーンと何か関係があるのかも知れません」
「あー、たしかになぁ」
「そういえば・・・」
そんな、2人の話を聞いてるうちに門に着いた。
「隊長、お待ちしておりました」
「各員準備は整っているか?」
「ハッ、いつでも出れます」
「よし、総員、擁護陣形!」
隊長の人がそう言うと、鉄鎧の沢山の人が、この馬車を囲むように移動する。
その間に、隊長さん達は馬に乗る。
「今日これから、向かうのは多数の飛竜が目撃された危険地帯だ。いいか?今日は訓練ではない。一瞬たりとも気を抜くな、特に空からの襲撃には十分警戒す・・・」
「なんが、すごいね」
「随分、大事になったね」
『ねぇ、レティ?もしかして?これって僕たちのせいなのかな?』
『なにが?』
『ほら、飛竜がどうとかで、この人達きたんでしょ?』
『んー?関係ないんじゃない?アタイ達が、呼んだわけじゃなく、勝手に来たんだし』
『うーん、そっか、そうだよね。悪いことは、してないもんね』
「でも、気軽に外に出て、キラキラ採っだりは、難じそう」
「まぁ、帰り道だし、のんびりでいんじゃない?」
「そうだね。ライシェラも出れなそうだがら、晩に宿の村で食べるだね」
レティが、驚いた顔をする。
「え?何言ってるのコブン?あり得ないよ?」
「えっど?ありえない?」
「あのパンだけで晩まで持つわけないでしょ?ね?」
レティがライシェラにふると、腕を組んでうなずいている。
「こぶん、ありえない」
「えっーど、そっか、ごめん」
なんとなく、納得できない気もするけど、なぜかこういう時は、謝るしかない気がした。
門を抜けて、草原を少し進んだところで、ライシェラが立ち上がった。
「いく」
レティが御者台の方に行く。
双子が伸ばしてた足を引っ込める。
前の幌から顔を出してココナと話している。
ココナが馬車の横を進んでいた、隊長の人に声をかける。
最初、困ります、みたいな事を言っていた隊長さんも、レティに押し切られたみたいだ。
「よし、ライシェラ。任せた!」
「まかせる」
そう言うと、荷台から飛び降り、騎士の人の合間を縫って、草原の中へ入っていく。
草原はかなり草が深いところだったみたいで、すぐに姿は見えなくなった。
「レティキエさん?ライシェラさんが戦ってるところは、見たこと無いですが、強い方なんですか?」
「うーん?アタイも本気でやり合ったことは無いけど、この草原の魔物ぐらいなら大丈夫だろ?たぶん、チコリと同じぐらいじゃないか?」
「レティキエさん、適当に私を基準にしないで下さい」
「そういえば、最近やりあってなかったね?戻ったらやってみるかい?そしたら、適当にじゃないだろ?」
「あー、いえ、戻ったら・・その、留守にしてた分の、商品の補充とか整理で忙しいので、折角ですが・・・」
「ラティキエはそういうの、やらないのかい?」
「母は・・・、やって出来ないことは無いと思いますが、ほっとくと、作りたい物を作り続けるので、在庫がだぶついて、売りさばくのが大変なんです」
「あー、ラティキエらしいね」
「チコリさんとレティキエさんは、昔からのお知り合いなんですか?」
聞いてきたのはラポラだ。
「チコリは、アタイの知り合いの娘だよ」
「あ、そうだったんですね」
「ハルシュレックの月の猫屋って知ってるかしら?」
「あ、この依頼の前にココナに誘われて行きました。その時これを・・・」
「敵襲ー!?敵襲ー!?」
その声と共に外がガチャガチャと、急に騒がしくなる。
「どっちだ!?」
「あっちです!」
「落ち着け!草原猛牛だ」
「しかし!こちらに向かってきます!」
報告してる人の声は悲鳴みたいだ。
ラポラとチコリが顔を見合わせて外に出る。
双子達も続いた。
レティは、気にしてないみたいだ。
ローブの人も動く気配は無い。
「落ち着け!我々を狙っての事では無い!よく早期発見した。総員!接触までまだ間がある!!我々はこれより後退し、牛共の進路回避を試みる!訓練と同じだ!各員冷静に行動せよ!」
「ゆっくり下がれ」
「どーどーぅ、落ち着け、ゆっくりさがるだけだ」
「隊長!馬車の馬が動きません!!」
「なに!?落ち着かせろ!無理そうなら離して馬車を押すぞ」
「私が!勇気心!!」
「おぉ!流石、僧侶殿」
「ありがとう!ラポラ!」
「よし!下がるぞ。まだ時間はある」
ドドドドドドッと音が聞こえてきて、馬車もガタガタ揺れ始める。
「よし!間に合うぞ!」
「隊長!あれを!群れの後です!!」
「草原王!?クソッついてないな。総員!密集型擁護陣形!!やつを止めるぞ!!抜剣!!引きつけよ!騎兵!挟撃するぞ!!奮起せよ!!怯んだ者から狙われるぞ!!」
「私が出るわ」
「魔術師殿!!お下がりを!!」
「この兵達じゃ被害が出るわよ!」
「・・・無礼を承知で申します。正直、私は魔術なんぞ信じてません。邪魔です。下がてなさい」
「・・・わかったわ」
「よし!相手は獣だ!恐れる必要は無い!!くるぞ!!」
「グルルゥガァアァァー!!!」
馬車の中の僕でも肌が粟立つ様な声だ。
「「「「ヒィ!」」」」
「クソッ!!威圧の咆哮か!落ち着け!立ち上がれ!」
「見てられないわ!イサム!騎士団が立ち直るまで時間を稼ぐわ!前に出なさい!マシス!ケシア!ヤツの足元を狙いなさい!スピードに乗せてはダメよ!!」
「「「はい!」」」
「しかし!」
「貴方は自分の仕事を!ラポラ!団員の恐怖回復よ!ココア補助して範囲魔法化させなさい!首席なら出来るわよね!」
「習いましたが!やったことは・・・」
「なら、今がチャンスよ!成功させなさい!くるわよ!!」
「ガァー・・・」
外が急に静かになった。
僕は気になって、荷台から外に顔を出す。
猛々しい鬣の大きな獣が馬車の近くに居た。
その獣の頭を殴りつける様に、ライシェラが爪を突き立てている。
しばらくは無秩序に跳ねいたが、じきに動かなくなった。
「わたし、たおした。わたしのもの。いいか?」
「えーっと?」
チコリが周囲に視線を走らせ確認した後、団長さんを見る。
「もちろんどうぞ。すみません、団員達のこともあります。少し休憩してもいいですか?」
「はい、わかりました」
「こぶん、にく。でばん」
「わかった。おおぎいから、ライシェラ手伝って?」
「わかった、どうする?」
この獣は、何カ所かにキラキラあがったので、先に回収する。
「ライシェラの爪よく切れるから、ここのお腹の所をこう、うん、で、足首の所で、そうそう。あとは、吊せないから横に転がしながら、そう、反対も」
少しライシェラに任せて、レティを呼びに行く。
「おぉ!大物じゃないか!!ライシェラ!よくやった!」
ライシェラと、レティが、軽く飛びながら片手をあげてお互いの手を打ち鳴らす。
「レティ、穴掘って、内臓はあきらめる」
「はいよー」
「あ、待って」
心臓の部分にキラキラがあった。
ライシェラに手伝ってもらって回収した。
レティに熱を取ってもらいながらさばいていく。
残りは運びやすいように、6つにわける。
こんなこともあろうかと、用意していた革袋に包んで馬車に吊す。
それを待っててくれたのか、すぐ出発する事になった。
「コブン、何度見てもあなたの手際には、感動すら覚えるわ」
「ライシェラ手伝ってくれだ。それに皆待ってでくれて、ありがとう」
「待ってたわけじゃないと思うけどね?」
「コブン!アタイもな!」
「レティも、ありがとう」
「まぁ、肉のためだしな!」
その後は特に問題も無く、日が少し傾きはじめた頃に、宿屋の村に着いた。
村では、騎士の人達が熱烈歓迎された。
彼らを連れて来たイサム達も英雄だって言われていた。
その日は村の広場で宴会になった。
偶々訪れていた、旅芸人の人が様々な見世物を披露してくれた。
そして、騎士団の人達が、草原で会った獣の話になった。
でも、その恐ろしさは、出会っていない村人には伝わりにくかった。
「レティキエさん、ぜひあの毛皮と肉を譲ってくれないだろうか?」
そして、隊長さんがレティに頭を下げている。
「え?ヤだよ」
なんというか、あれじゃレティには、ダメだと思う。
「もちろん!謝礼ははずむ!恥ずかしながら、我々教導隊は非常に軽んじられているのだ。しかし、草原王を討伐したとなれば!!」
「じゃあ、ライシェラの手柄まで奪おうって事かい?」
「それは!!」
「わたしは・・・」
ライシェラの言葉を手で制する。
「とにかく、譲る気は無い」
隊長さんの顔は、思い詰めてる人のそれだと、何となく思った。
きっと、良くないことを考えていると思う。
「レティ?美味じいのは後ろ足。他はあげで?騎士の人の馬車に、食料積んでるの見だ。美味じい、キノコの匂いじだ。それ貰う」
「・・・コブンは、そうしたいの?」
「うん、きっと美味しいもの作れる」
「ライシェラは?」
「わたしは、おいしい、すき」
「仲間がこう言ってるからね。好きにしな。ただし、コブンが言ったように、食料は一部譲り受けるよ?」
「もちろん!構いません!ありがとうございます!」
隊長さんにお肉と毛皮を渡し、僕が料理する事になった。
これはレティの希望だ。
だんだん慣れてきた、宴会料理。
でも、ゴブリンさん達とちがって、村の人は僕の指示を聞いてくれないので、忙しさは倍ぐらいだ。
でも、ひたすら鍋を振り続けた。
今、パソコンが使えない環境なので、ゴブリンの知識で書いています。
ググって修正する可能性があります。
生温かく見て頂ければと思います。
よろしくお願いします。




