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牢屋の中です。

 「なんだ?こんな所で先輩風吹かせようってのか?」


 「まっまぁ、そう刺々しくするなよ。フヒヒ、精霊も居ない、こんな暗がりに永いこと居ると、人恋しくなる。がっが、どぉも接し方を忘れていけねぇ。ハハ、怒ったのなら、許してくれ。どっどうせ暇なんだろ?はっ話そうぜ、ヒヒ」


 牢屋の先輩さんは半分以上、壁の中だった。

 周囲が結晶の様な透明な石に埋まっていて出ているのは胸から上だけだ。


 『レティ、あの人』


 『ん?・・・あぁ、埋まってるね』


 『見えるの?』


 『今暗視の魔法を使ったの』


 「おっおーい、むっ無視しっしないでくれ!げっ幻聴じゃなっないんだろ!?」


 「・・・あんた、ここには長いのか?」


 「お!フヒ!う、うーん、くっ暗くて時間の感覚がねぇ、ねぇんだけど、ど、たぶん長いんじゃねぇかなぁ?あ!ハハッ、だいぶ体も鈍ってるしな!ほっほとんど動かなくなっちまった!た!なんて!アハ!だっだがしんぺぇするねぇ!あっ頭はハッキリしてるからよ!」


 「・・・そうかい、そうは見えないけどね。なんで入ったのさ?」


 「おぉ!きっ聞いてくれるかぃ!実はな、な!おらぁこれでも、も、むっ昔はちったぁ名の知れた剣士でな!ハハッ!さ、参加したのよ!えーっと?少し前ぐらい?にあった黒の森侵攻戦にな!」


 「・・・それ長くなるの?」


 「まぁ!まっまぁ!そう言わずに、きっ聞いておくれよ!お嬢さん!そっそこでな!おらぁ戦ったのよ、き、きっきき狂乱のま・・・」


 「・・・そんな昔の武勇伝は聞きたかないね」


 「そっそういわずに!な!な!それでな・・・」


 『コブン?少しキラキラ採ってみるかい?なんか珍しい物でも採れるかも知れない』


 『わかった』


 僕が動くと先輩さんは耳を澄ませるような動きをした。


 「それでな!・・ん?なっなんだ?1人じゃ無い、ないのか?クヒヒ!こっ子供でも一緒に入れられたか?」


 「子供じゃ無いよ。それより、エルフはなんで黒の森に攻めたんだい?あそこはエルフには厳しい土地だろ?」


 「おぉ!よっよくぞ聞いてくれた!じっ実はな!この国のごっ5本の大樹のためなのだ!前は、は、5本の木からみ、水が溢れ出していた!所が!それが枯れてしまい、い、い今では2本だけだ!」


 「アタイらが来たときは1本になってたよ」


 「なっなんと!そうか・・。それでな!な!その枯渇を防ぐため、ためにはエルフの一部に伝わる、ひっひ秘薬が必要なのだ!しかし!その材料にひ、必要な木の実が!く、黒の森でしか採れないのである!」


 「・・・野良グレープかい?」


 「おぉ!ご、ご存じか!は、博識であるな!それが・・・」


 「・・こいつはまずったかも知れないね。あそこで出すべきじゃ無かった」


 「ど、どうした!同士よ!心配事か?だが!し、心配めさるな!ここに入った以上!外の事など忘れて!おっおらぁと・・」


 「・・・よし!気が変わった。コブンどうだい?」


 『初めて採れたもの、あった』


 僕は掌一杯の小指の先ほどの小さい石のような結晶を見せる。


 「んー?これは?」


 『木の結晶、たぶん、この木が何か苦しくて流した涙』


 「なるほどね。よし!いくよ」


 「お待ち下さい!レティキエ様!」


 牢屋のドアにある、のぞき窓が開かれ、格子の向こうから呼びかけたのは小さいエルフだ。

 大きいエルフも居るみたいだ。


 「・・おや?お嬢さま、思ったより早く来たね」


 「今までの数々の無礼お詫び致します。何卒!少しで良いのです!私の話を聞いていただけませんか?」


 「親父さんになんか言われたか?」


 「父は今、冒険者様達の宴の準備中でしょう。私がここに来たことに父は関係ありません」


 「ふーん、いいよ。話な、少しなら聞いてやるさ」


 「エルフは今、我が父をはじめ3本の木の民が結託し、森の異変に乗じ黒の森に攻め入る予定なのです」


 「なっなっ何をバカな!!前回の被害を忘れたのか!?名だたる猛者を亡くした、あ、あの、あの戦いを!なっ何のための和平条約だったのだ!やっ奴らは・・」


 「黙れ!狂った恥さらしめ!貴様の出る幕ではない!」


 大きいエルフが、先輩さんを怒鳴りつける。


 「・・・黒の森とエルフの森との相互不可侵の条約は撤回されることでしょう」


 「だ、ダメダメだ!あっあってはい、いけないことだ!」


 「・・先輩、黙っててくれよ。話が進まないからね」


 レティが低い声で言った。


 「う、あ、・・・すまない」


 「それで?アタイに如何しろって?」


 「・・・私はあの灰ゴブリン達を見て思ったのです。我々エルフは彼等を見下すあまり、その力を見誤っていると。もし、このまま戦えば、きっと多くの血が流れるでしょう。でももし、レティキエ様が野良グレープを定期的に提供して下されば・・・」


 「あー、わかったよ」


 「では!」


 「わかったのは、あんたの言いたいことさ。たぶんあんたの親父さんも、似たようなことを考えているだろ、やり方や動機は違うかもだがね」


 「・・それは」


 「あんたの親父さんなら、きっとこうするだろうよ。コブンを人質にとってアタイに木の実を取りに行かせる。そしてその木の実を、高く他の木のエルフに売りつけるのさ」


 「・・・かも知れません。しかし!それで木々がまた回復するなら!」


 「させるわけないだろ?回復しちまったら終わりだ。きっと完治しないギリギリの量を提供するように調整するのさ」 


 「な!我々は卑しいヒュムとは違う!・・はっ!こっこれはその。申し訳ありません」


 「・・・お前達エルフはこの木の下に降りたことはあるか?」


 「え!?この下はマナ溜まりです。精霊も狂気する場所に、我々が降りれるはずが有りません。もし降りれば精神がバラバラになってしまいます」


 「そういえば、木魂コダマの巫女はどうした?あんたらこの木々の声が聞こえていないんだろ?」


 「巫女は・・・」


 「みっ巫女様は、さ、さ先の戦いの折、黒の森の、の、木々を静めようとし、せっ精神を犯され、れな、なくなった」


 話を引き継いだのは先輩さんだ。


 「そうかい、じゃあ行くか!」


 「お待ち下さい!どちらへ」


 「言ったろ?あんたの親父さんが来る前に出てくのさ」


 「そんな!」


 「どきな、ちびっ子。危ないよ」


 レティが牢屋のドアを何気なく押すと、メキメキと音を立てて開いていく

 そして外から光が入り中が少し明るく照らされた。


 「な!な!?そっそそんな!ヒィ!ききっ狂乱の!?ヒィ~!!」


 先輩さんは初めてレティの顔が見えたみたいだ。

 思いっきり動揺している。


 「おまえ、どっかで会ったか?」


 レティも光が差した先輩さんの顔を見ながら首をかしげる。


 「・・・来るか?先輩!もう、こんなとこ居たかないだろ?」


 「でででっで、ですが・・」


 先輩さんは動けない体を見下ろす。

 レティの手に炎が現れ、それを先輩さんの方へ投げつける。


 「ヒッヒィ~!」


 炎は先輩さんの壁に当たるとブワッと燃え広がりすぐに消える。


 「お前の中の恐怖に抗え!最後の機会だぞ!どうする?」


 レティがそう言うと、先輩さんの周りにあった透明な石にヒビが入り砕け散る。

 先輩さんはいつぶりかの自由に呆然としている。

 それでも手をワキワキさせて、動きを確かめたりしている。

 鈍ったなんて言っていたけど、エルフだからなのか普通に動けるみたいだ。


 「いっいきます!」


 「じゃあ!遅れるなよ!」


 レティはドアも館の壁も関係なく拳で切り開いていく。外に出るのはあっという間だった。


 館の外は少しずつ暗くなり始めた頃だった。

 すぐに周囲をエルフ達に取り囲まれる。


 「コブン、泳げるかい?」


 レティはチラッと七色に輝く下を見て聞いてきた。

 僕は全力で首を横に振る。

 レティの考えがわかったからだ。


 「大丈夫、冗談だよ」


 僕はなおも首を振る。レティの笑顔は絶対に良くないことを考えてる時の顔だからだ。


 「あれはマナの波だからね。水があるわけじゃないのさ。いくよ」


 そして、レティは僕のローブの襟を掴んで飛び降りた。

 すぐに輝く波が迫るが、何の抵抗もなく通過する。

 途端に周囲から押し潰されるような感覚を味わう。

 僕は息苦しくてバタバタ暴れてしまう。


 『落ち着けコブン、ゆっくり深呼吸して、美味かった飯のことを考えるんだ。濃い魔力に囲まれて体が驚いているだけだよ。湿度が高くて息苦しいのと一緒さ』


 僕はゆっくりと呼吸を繰り返す、すると少しずつ体が楽になってきた。


 『ありがとうレティ、もう大丈夫』


 そういえばいつの間にか下に着いていた。

 そこは薄暗い所だけど、上から降り注ぐ光でオレンジやピンク、緑や黄色など様々な色が揺らめいていた。

 今居る場所は地面ではなく、巨大な根の上だった。

 巨大な木はどこか白っぽく色褪せていて、上からの光をより鮮やかにしていた。


 「ィィイエェエェー」


 そんなことを考えていたら、上から先輩さんが降ってきた。

 レティが魔法で受け止めて・・・。

 あげなかった、ベチッて音がした。

 でもエルフは軽いからなのか普通に起き上がっていた。

 ちょっと凄いなエルフ。


 しかし、その音がいけなかったのか、辺りからカサカサッて音がし始める。

 それは1つではなくて、右も左も上も下もと全周囲からだ。


 『レティ?大丈夫?』


 僕は不安でレティの方を見た。

先輩さんが狂ったように見えない方は、恐怖に狂った人を思い浮かべてください。

先輩さんはそんな感じです。

すみません、これが作者の限界でした。

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