エルフの街に着ました。
遅くなって申し訳ありません。
種族らしさを出すって難しいですね。
街に近づくと、二人のエルフさんが近づいてきた。
「そこで止まれ、なぜヒュムとゴブリンまで連れている!」
「私はウーヴァの館ゆかりの者です。故あって外森に出ていました。その時に協力を頂いた冒険者と、ゴブリン達に通じたかもしれない囚人です。彼らの罪状を問うために当主へお取次ぎ願いたい」
『レティ?ウーヴァって何?』
『ここのエルフには偉いのが5人いて、たぶんこの木で一番偉い人かな?』
二人のエルフはお互いに視線を合わせた。
「・・・事情は理解した。身の証になる物はあるか?」
「ならばこれをお渡しください」
大きいエルフさんが手渡したのは手に収まるサイズの木の箱だ。いんろう?という言葉がなんとなく浮かんだ。
二人のエルフは一瞬だけ驚いた様に目を見開く。
「・・確かに、お預かり致します」
そう言うと受け取った人が飛ぶような速さで駆けだす。
「ご不快な思いをさせました、平にご容赦下さい」
残ったエルフが、小さいエルフに片膝をついた。
さっきまでと全然態度が違う感じだ。
『あの小さいエルフって偉かったんだね?』
『みたいだね』
「よい、役目ご苦労」
「はっ!それではしばし、この者達が護衛致します」
そう言うと、今まで誰もいないと思っていた木の陰から5人のエルフが出てくる。
『なんか、急に物々しくなっちゃったね?』
『・・・ほんと』
「ご案内致します」
そうして、僕たちは5人の出会ったばかりのエルフに囲まれるように街へ入っていく。
街の中はハルシュレックと違い、人がほとんど歩いていない。
代わりに小さな光が沢山、あっちにフヨフヨ、こっちにフヨフヨと飛んでいる。
そして、家の中から音楽とシャンシャンっと鈴の鳴るような音が聞こえてくる。
『なんか、家の中から音が聞こえる・・・』
『エルフってのは色々な方法で精霊と接するのさ。あのエルフが魔法の前に踊ってたろ?この木のエルフは舞踏に熱心みたいだね』
『そうなんだ、踊りの音か・・・』
急にレティが、ニコッとした。
『どうしたの?』
『ん?ちょっと思い出してね。前に踊りながら剣を振り回して戦うエルフがいたよ。しかも、動きながら精霊魔法も使ってたから、案外ここらがルーツなのかもね?』
『仲良かったの?』
『ん?なんで?』
『レティ今笑ってるし、楽しそうだから』
『そっか、気づかなかったな。・・まぁ、アタイは嫌いじゃ無かったけどね。たしかに楽しかったし』
レティに遊び友達のエルフがいたなんて、少し意外だ。
そんな話をしていると他の家より少し高い枝にある屋敷に着いた。
「お嬢様!お帰りなさいませ!よくぞご無事で」
「ただいま、お父様は?」
「執務室でお待ちです。皆様をまず、そちらへご案内するよう、仰せつかっております」
「そう・・・。ならばその様に」
「はっ、皆様どうぞこちらへ」
護衛の新しいエルフとはここで別れて館の中へ案内される。
館の中は、木目の床に木の壁、木の天井。鮮やかな置物や花瓶などは無いけれど、とても手の込んだ作りの調度品が沢山あった。
柱1つとってもエルフの歴史のような物語が、細かく刻まれている。
ほかにもドラゴンの様な彫刻などが、木目を活かした繊細な造形で彫り出されている。
僕たちが案内された部屋には、何人かの立っているエルフと、
黒い机で何かの書類にペンを走らさせているエルフが1人のいた。
「・・・ウィティスか、報告を聞こうか?」
・・・机のエルフと小さいエルフは見つめ合ってるだけだ。
仲悪いのかな?
あ!念話か端から見るとこんな感じなんだ。
そう思ったときだった。
机のエルフの視線が僕とレティに向けられる。
それはとても鋭いもので、きっと良い印象では無いんだなってわかった。
「・・・そうか。お待たせして申し訳ない冒険者殿。ご挨拶が遅れてしまったが、私はこの木の代表です。・・・ヒュムで言うところの村長の様な者でしょうか?遠路、我が娘を送り届けて頂きありがとうございます。ぜひ、時間の許す限りこの街でくつろいでいただければと思います」
それまでの厳しい顔とは打って変わってニッコリと冒険者達に話しかける。
「いえ、我々もあまりゆっくりは出来ません。依頼がかんりょ・・・」
「まぁ、そう言わないでリーダー、せっかくエルフの国なんて珍しい所に来れたんだから」
剣の人の言葉を杖の人が遮る。
「しかし・・・」
「それに、フォレストタイガーにやられた傷も癒さなくては、帰り道で出会した時、また上手く対処できるとは限らないでしょ?」
「・・・それは、そうだが、あまりご迷惑になるのは」
「もちろん、我々は歓迎致します。その辺りの武勇伝もお聞かせ下さい。なにせこの街には娯楽が少ないですから」
村長エルフが助け船を出す形で剣の人も押し切られた。
「それは良かった。冒険者殿達をお部屋へご案内するように。後ほどささやかですが、歓迎の宴を開きたいと思っております。それまではどうぞ部屋でおくつろぎ下さい」
部屋に残ったのはレティと僕と3人のエルフだけだ。
「女?ゴブリンと通じて何を企んでいる?」
さっきまでのニコニコしていた感じとは一転して鋭く睨みつけてくる。
「娘からどう聞いたか知らないけど、あんた達の誤解だよ。善意の人助けさ。黒の森の灰ゴブリンが三騎相手だった。あんたが知っているかわからないが、普通なら今頃、全員命は無い。そう言う相手さ」
「・・・ずいぶん穢れた魔物に詳しいな?我々だって灰被りぐらいは知ってる」
そう言いながら僕の方に視線を向ける。
「そりゃ、やり合ったこともあるからね。アタイ達は森の端に住んでる。森の中をあちこち彷徨った事も一度や二度じゃない。あんた達エルフだってそうだろ?でも、本当に奴らの強さを知っているのか?エルフは黒の森に近づけないだろ?」
レティが彷徨ったのは、違う理由な気もしたけど、空気がピリピリしてるので、黙ってる。
「・・・それは我々に対する侮辱か?我々が入れぬ森があるなど」
「行けばわかるはずだ。あそこの魔物は強いし、木々はエルフにだって襲いかかる。それに精霊も少ないからね、エルフにとってあの森ほど程、嫌な場所もないだろ?」
「先程から黒の森に行った、行った、と言っているが何の証拠も無い。我々ですら難しい場所にヒュム一人とただのゴブリン一匹で行ける訳がない」
「証拠はこれさ、あんた達には珍しいだろ?黒の森にしか自生してない木の実だからね。エルフが手に入れようと思えば交易しかない」
レティが取り出したのは、貸してくれって言われて渡しといた、野良グレープだ。
それを見た村長エルフは少し驚いているようだ。
「・・・何処でそれを」
「黒の森からさ、他に無いだろ?あんたの娘にも1房わけてやった。アタイ達には裏道があるのさ」
僕は一度も行ったこと無いけど、言い出せる雰囲気じゃ無い。
「・・・ウィティス、そうなのか?」
声をかけられた小さいエルフが、野良グレープを1房取り出す。
「たまたま黒の森からの帰り道で見かけたのさ、あの冒険者達と、そこのエルフ達をな」
「それ程森に詳しいならば、お前達が森の異変について話せば良かっただろう。何故我々から灰被り共に知らせるような事をさせた?」
「・・・灰ゴブリン達は突然攻撃された恨みを、情報提供する事で水に流すと言っていた。それを第三者のアタイ達が話しちまったら、恨みが残っちまうだろ」
レティは森の異変なんて知ってたのかな?
「黒の森に行けるほど者ならば、なぜ虜囚の身に甘んじている?逃げることも出来たはずだ」
「身に覚えのない罪で逃げるつもりは無い。それこそ罪を認めるような物だ。エルフ達ならば話せばわかると信じていたしな」
「・・・お前の言い分はわかった。こいつらを牢に閉じ込めておけ」
「おいおい、そりゃないだろ?」
「理由はどうあれ、お前達のせいで灰被り共に森の異変の事が知られたのは事実。奴らがどう動くかは判らんが罪は罪だ。お咎め無しとは行かない」
「自分の娘の命より、その罪の方が重いって?」
「・・・それはそれだ。この国の行く末と娘の命、天秤にはかけられぬ。それに元より外森に送り出したとき、娘の死は覚悟していた」
「・・・そうかい。相変わらずエルフ共は融通がきかないね」
「その発言は聞かなかったことにしてやる。娘を助けた者への慈悲だ」
「そりゃ、どうも」
僕たちは武装した3人のエルフに囲まれ部屋から連れ出された。
『ごめんね。レティ、僕のせいでこんなことになっちゃった』
『別にコブンのせいじゃないよ』
『これからどうしよう?逃げる?』
『いや、もう少しエルフ達に付き合おう。どうもなんか起きそうな気がするからね』
『そうなの?』
『魔女の勘だけどね』
連れてこられて牢屋は館の奥の木に空いた洞の中だった。
窓一つないそこは真っ暗だった、のかも知れない。
『レティ、どうしよう?』
「ん?どうしたの?暗くて怖い?ってゴブリンは暗くても見えたよね」
『ここの全面がキラキラだらけだ』
「え?そうなんだ?」
「なんだ?新入り、ブツブツ言って先輩に挨拶もなしか?」
そう牢屋の奥から声がかけられた。
問答の緊張感みたいのがどうしても書けませんでした。
申し訳ないですが、皆様の妄想力を爆発させていただく他ありません。




