冒険者ギルドに着ました。
僕は今、冒険者ギルドにいる。
ギルドの中は大きな部屋にいくつかボードがあり色々な張り紙がしてある。
壁にも張り紙がしてある。
残念ながら僕は文字が読めないけど、絵も描いてあるから見ていても面白い。
いろんな人の絵だったり、モンスターの絵が付いてるものもある。
「チビ介、あんまりウロチョロするなよ」
「ワガッタ」
声を掛けてきたおじさんは、僕が迷惑がかかることをしないように見てくれている人だ。
僕はその人が座ってる隣の椅子に座る。
ヒュムサイズの椅子なので両手でおいしょってよじ登る。
振り返って腰を下ろすと足が地面に着かなくてプラプラした。
「チビ介近いな。もうちょいそっちに・・・ってお前なんかいい匂いするな?」
鼻をクンクンさせながら、聞いてきた。
僕も服の臭いを嗅いでみる。
・・・ほんとだ、気付かなかったけど、手首の内側とローブの背中の辺りにほんのりいい香りがする。
どこかで嗅いだことのある香りだ・・・。
たぶん、アージの工房だ。そう思うと一瞬マーキング?って言葉が頭をよぎった。
なんとなく、気恥ずかしいので食べ物で誤魔化すことにした。
僕は腰の袋から、小リンゴを取り出す。
足を組んでるおじさんの手をポンポンって叩いて小リンゴを置く。
「あ?なんだよいらねぇ・・・って随分珍しい物持ってるな?」
そうなんだ?そういえば前に雑貨屋のチコリがそんなような事をいっていたかも?
僕はもう一個取り出して、食べる。シャクシャクして美味しい。
「うっわ、それそのまま食べるのかよ!?信じられねぇなゴブリン。味覚がおかしいんじゃないのか?これはポーションとか回復薬の材料にするんだよ。そこそこの貴重品だ、飴玉みたいにポイポイ出すんじゃねぇよ」
そうなんだ?返してもらった小リンゴをじっと見つめる。
(小リンゴと山菜で初級ポーションが作れる)気がした。
「お前の主人にはもう十分報酬をもらった。相当吹っ掛けたのに値切りもせず前金でな。いくら苦しくたって俺は矜持は捨てたくねぇ。あんまり人様を誘惑するもんじゃねぇぜ」
そうか、そういえばアージも誘惑どうこうって言ってた。小リンゴはあまり人にあげない方がいいのか。
「ワガッタ。ゴベン・・ヘ、メ。ゴメン」
「お前、顔が見えなきゃゴブリンに思えんな。・・・ふん、俺の器が小さいだけだ。気にすんな」
それから少し二人で黙って座ってると、カウンターの方から人が着た。
「お待たせして申し訳ありません。私がこの度、査定を担当します魔獣使い(ビーストテイマー)です。よろしくお願いします。新しく使役されたゴブリンはどちらですか?」
「こいつがそうだ」
僕は椅子から降りて、フードを開けてお辞儀する。
「ほぅ、これは驚いた。なるほど、なるほど・・・」
その男の人の眼鏡越しの目がなんとなく、居心地が悪かったのでまたフードを被る。
「それで?この後はどうするんだ?」
「そうですね。本来ならまずは能力などを測るのですが、ここまで小さいゴブリンではたかが知れてますし・・・」
「頭は良いみたいだぜ?少なくとも俺の喋る内容を理解する程度にはな」
「・・・ふむ、はは、なるほど。では早速街中を見て回っても良いかもしれませんね。人に対する反応などを確認するためにですが、どうなさいますか?一緒に来られますか?」
「たしか、俺の依頼内容はこいつを持ち主に返すまでだったよな?」
「依頼としては、このゴブリンが持ち主の元に戻るまで見届ける事ですが、お忙しい様でしたら大丈夫ですよ。私だけで対処できますし」
「いや、依頼を受けた以上最後まで付き合う」
「そうですか、ではお願いします。しかし魔物の使役も珍しいですが、ゴブリンとは初めてですね。依頼者の印象など教えていただけますか?」
「ん?なんだ聞いてないのかよ?」
「一応、担当した受付の娘から簡単な説明書きはもらっています。名はレティキエ、本日再登録をした冒険者で赤毛、ヒュムの女、無愛想などです。そうでは無く契約したときの印象などを知りたいと思いまして」
「俺も2、3話しただけだから詳しくはわからないけどな。こいつが着ている物もそうだが、その女も魔力の付与された服を着てたな。だが、武器は持っていなかったし、動きも素人っぽかったかな?どんな職種なのかまではわからんが、前衛職ではないかもな」
「ほぅ、なるほどなるほど・・・」
眼鏡の人はメモ帳に何か書き込んでいる。
「あとはゴブリン半日見てるだけで小銀貨5枚だ。金に困ってる感じでもないな」
「ふむふむ、貴重なご意見ありがとうございます。では行きましょうか?」
僕はそれから2人について歩き、バザールに来た。
この街では遠くの人が商品を持ち寄って定期的にバザールを開くみたい、場所は毎回変わるんだっておじさんが教えてくれた。
そこはとても人が多くて、背の低い僕はすぐ前が見えなくなってしまう・・・そして、2人とはぐれた。
辺りを見回したいが、人の下半身しか見えない。
僕はとりあえず道の端によって人の流れの邪魔しない場所で立ち止まる。
引き返して市場の外れに行くべきか悩んでいると。
「なんだおめぇ!」
ガラの悪い3人の男に絡まれた。
僕はローブを掴まれあっという間に薄暗い路地に引っ張り込まれる。
男の人達がワイワイと何か言っている、壁を蹴ったりナイフを出したりして僕になにかしてほしいみたいだ。
・・・どうやら、お金を出せって事らしい。
でも僕はお金は持ってない。
どうしようか困っていると。
「なによあんたら?店の前で!商売の邪魔よ!カツアゲならよそでやりなさいよ!って何で街中にゴブリンがいるのよ!?」
高い声の方を見ると、チコリだった。
「チゴリ」
「チゴリじゃないわよ!チコリよ!どっかの画家のあだ名みたいになってるじゃない!」
「なんだ?ガキんちょ!かんけぇねぇだろ!あっちいけ」
「なんでゴブリンが私に近い名前を呼んでるのよ!ゴブリンに知り合いなんて・・・居たわね」
「おい!無視すんなよ!どっかいけっての!」
チコリが急に周囲を見回し挙動不審になる。
「・・・あなたたち!悪いことは言わないわ、早く逃げなさい!このゴブリンはあなた達みたいのが絡んでただで済む様なゴブリンじゃないのよ!・・また!もしまた!家の前で暴れたら!?何もかもメチャクチャになるのよ!!」
「はぁ?なにいってんだおめぇ。なめてんのか?」
「あぁーもう!馬鹿ね!いいわ!私が相手になるわ」
「あぁ?はっはっはっはっは!ガキが!いきがってんじゃねぇぞ!怪我すんぞ」
「あなたたち冒険者でしょ?そんな格好してナイフなんか持ってるけど、手には剣ダコがあるし、今も斜に構えてるじゃない。ナイフ使いならもっと腰を落とすべきよ」
「な!?おまえ・・・」
「はやく!来なさいよ!こんなとこ見られたらどうするのよ!」
「クックソ、行くぞ」
男の人達は行ってしまった。
「アヂガドウ、チゴリ。・・ゴ、コ。チコリ」
「いいわよ。えっとコ、コ・・なんだっけ?まぁいいわ、今日は一人なの?」
「ギ・ルド・ノ・ドウドク。・・トウ・ロ・ク」
「ギルドノトウロク?あぁ!だからなのね!もういいわよ!ばれてるんだから出てきなさいよ」
チコリが暗がりに居た犬に向かって声をあげる。
すると市場の方の通路から男の人が二人出てきた。
「いやぁ、まさか月の猫屋さんにご迷惑おかけしてしまうとは申し訳ありません」
「こちらこそ試練、邪魔しちゃってごめんなさいね。でも次はもう少し頭のまわる冒険者を使って。店の前であんなことされたら黙ってられないわ」
「確かに、以後気を付けさせます。それにしても、このゴブリンとお知り合いでしたか?」
「えぇ、彼の主人は母と面識があるの」
「やはりそうでしたか!レティキエさんっと聞いたのでどこか聞き覚えがあると思っていたんです。ラティキエさんのお知り合いだったんですね」
「・・えぇっと・・・そうよ!義理の!・・姉妹みたいなもの・・かしら?」
「なるほど!いや、これは失礼しました」
「それより!彼の安全性の確認なんでしょ?それは月の猫屋で保証するわ!ただし!レティ・・キエさんには内緒でね。彼女そういうところ気にするタイプなの」
「わかりました。月の猫屋さんの保証があるならば何も問題はございません」
「じゃあ、そういう事で!よろしくね」
ギルドへ戻る途中でおじさん達がチコリの事を話していた。
「なんだありゃ?あんなガキなのに随分態度がでかいな」
「おや?月の猫屋、知りませんか?ギルドに魔法の道具などを降ろして頂いてます。魔法インクとかポーションなんかもね」
「へぇ、そりゃ知らなかったぜ」
「こんど、もし出来たら一度、覗いてみるといいかもしれませんよ?少し高価ですが冒険者なら役立つ物を沢山扱ってます」
「あのガキが店やってんのか?」
「あぁ、彼女あんな見た目ですが、魔狼を一瞬で爆散させるだけの実力者です」
「うげっ、・・・まじか」
「はい、彼女がその気になればさっきの3人なんて一瞬でしょう。それに店主は彼女の母親ですが、店番は主に彼女がしています。顔を売っといて損はないですよ」
「・・・そこまであの店に詳しいってことは、あそこで襲わせたの、わざとか?」
「・・・おや?気付いてしまいましたか?私にも確証があったわけじゃありませんが、うまく関係が聞き出せてよかった」
「・・ギルドが依頼を途中で投げ出していいなんておかしいと思ったが、こういうことか」
おじさんが立ち止まって腰に手をやる。
いつの間にか周りには人が居なくなってる。
ギルドへ向かう道からも少しはずれて小路に入っていた、眼鏡さんが先導してたから気付かなかった。
「そんな怖い顔しないでください。別にどうこうする訳じゃありませんよ。ギルドとしても彼女たちと敵対などしてもメリットなんてないのですから」
なんか2人が立ち止まって難しい話をしている。
なんとなく暇で僕は通りの方に居た黒ネコに手を振る。
ネコは僕に気付いて小路に入ってきた、でも少ししてすぐネコはさっと踵を返して走って行った。
「・・・しかし、私個人的にはラティキエの弱みを知れたのは僥倖!大いに利用させてもらいます。あの女はあちこちにいい顔してるくせに隙が無くてね。娘も強いですし手が出せなかった。しかし、成金で冒険者になるような道楽女どうとでもできます。いい脅しの材料になるでしょう」
「・・・やっぱり、おまえ」
眼鏡の人が口笛を吹くと、小路の暗がりから2匹の人より大きな狼さんが姿を現す。
牙を見せて唸ってて酷く怒ってる感じだ。
「この二匹の母娘は私の使役している魔狼でね。もちろん!ギルドに登録してあります。しかし、夫はあの小生意気な娘に殺されてしまいまして、いつか機会をうかがっていたんです、復讐のね」
「・・・クソっ職権乱用ってやつじゃねぇのかよ!」
おじさんはそう言って剣を抜いてじりじりと後退る。
「もちろん、人を襲ったりなんてしませんよ。私に敵対しない限りはね。あなたも気付きさえしなければ死なずに済んだのに」
「ふん!あんだけベラベラしゃべったんだ、はなからやるきだったんだろ!」
「おや、これは失礼!昔からしゃべりすぎるのは私の悪い癖でね」
少し小さい狼さんが飛び上がって、壁を蹴り僕達の上を越えて通路の反対側に移動する。
狭い通路で両側から挟まれた形だ。
「無理ですよ。あなたの実力じゃ一人では魔狼一匹の相手だって出来ません。もっとも出来たらこんなことはしませんが、クヒッ!やれ!」
前後の狼さんが同時にとびかかって来る。
おじさんは前から来た牙をかわして横顔に斬りかかろうとするも、背中を爪が襲い前のめりに倒れ込む。
腕を噛み付かれ武器を奪われ、うつぶせのまま押さえ込まれる。
僕にはそれを見ている事しか出来なかった。
呼んでいただきありがとうございます。
途中でぶった切ってすみません、次の話は出来るだけ早くあげます。
このままじゃもやっとですよね。




