ライシェラとエンバです。
遅くなりました。
よろしくお願いします。
「片方が闘えなくなったら終わりだ」
「はじまりのあいずとかは?」
「ない!すでにはじ・・・」
ライシェラの姿が消えていつの間にかエンバのアゴを殴り付けている。
ところがエンバは、少し頭を傾げただけで、びくともせず、大した効いてないみたいだ。
逆にライシェラのお腹を殴り返す。
ライシェラは、両手を当てその勢いを利用して、後に飛び退く。
エンバは、そのままライシェラへ突っ込み、右の拳を大きく振りかぶる。
ライシェラは、唸る拳を、左側にかわし、外側から相手の手首を下側へ押しやる。
エンバの拳は、苔生した地面を穿つ。
ライシェラはエンバの肩に手を添え足を払ってコロンッと簡単に転がしてしまう。
しかし、エンバは転がった後すぐに立ち上がり振り返る。
「たんま、しつもん」
ライシェラが、片手を上げて動きを制し、そのままその手を上に揚げる。
「たんま?・・・なんだ?」
「なぜ、せなかのどうぐをつかわない?たたかうどうぐじゃないの?」
ライシェラはエンバが背中に背負った長い武器を指さしながら訊ねる。
「多少は動けるようだが、魔法も使わぬ魔女の弟子など武器を抜くほどの、相手では無いからだ」
「・・・さいきん、レティシアがやたら、たたかうあいてをふってくる」
「?なにをいっている」
ライシェラが語り出した。
それに付き合ってあげるエンバはきっといい人なんだとなんとなく思った。
「しょうじき、ざこかめんどうだな。っておもってた」
「・・・我を雑魚だと言いたいのか!?」
エンバがまた血管をうかせて怒り出す。
「でも、たたかうどうぐの、つかいかたをみれるなら、まぁ、いいか。そうおもったのに、それすらできない。なら、おまえにようはない」
ライシェラはエンバの反応を気にせず、語り続ける。
「・・・侮るなよ黒い女」
「どうぐをつかえ、でなければ、たたかってやらない」
最後にもう一度、エンバの背中の道具を指さした。
「・・・いいだろう。その安い挑発に乗ってやる!後悔する事になるぞ」
エンバが背中から剣を抜く。
両手に持って上段に構えて突撃してくる。
上から地面に力いっぱい振り下ろされた剣を、ライシェラは少し左に体を移動するだけでかわす。
地面に叩きつけられた剣は、すぐに横に振るわれ、ライシェラを追撃する。
地面から足元への斬撃を、ライシェラは軽く跳び足を引き上げてかわす。
しかし、それを待っていたと言わんばかりにエンバの左の拳がライシェラの顔を捉える。
大きすぎるその拳はライシェラの顔より大きい。
空中でかわすことのできないライシェラは、まともに食らって吹っ飛ばされる。
苔に覆われた地面の上を跳ねながらライシェラの体が、転がっていく。
広場の端、他の灰色の大きい人の所まで転がってやっと止まる。
ライシェラはむくりと立ち上がって、テクテクと歩いてくる。
外見は特に変わっていない、歩きながら首を軽くゴキッと動かしただけだ。
エンバは跳び上がり、一気にライシェラとの距離を詰める。
「コブン、ライシェラさんはなぜ、あのトロールを拘束した糸をつかわないんだろう?」
ライシェラがまともに攻撃を受けたのを見て、チコリが聞いてきた。
「わがんないけど、もしかしだら、武器の使い方を覚えるため?」
「なっ!?それってわざわざ、今やる必要があるものなの?」
横から驚いた様に聞いてきたのは、ビエラヤだ。
「・・・他に教えれる人いないじ、いままでは、あまり武器持つっで発想がなかっだみたい」
「・・・それって、やっぱりこの鉈のせいかな?」
チコリが、ライシェラに返された鉈を見ながら人差し指で、頬をかいている。
「うん、たぶん・・・」
ライシェラの方を見ると、先ほどの一撃以降は、無理に近づこうとせず、エンバの動きや剣の届く距離を見極めながら避けている。
「どうした!怖気づいて逃げるので精一杯か!!」
「たんま、だいたいわかった」
ライシェラが、急にエンバの懐に入り横に振り払おうとしていた手首に手を当てる。
するとエンバの動きが止まる。
「なっなんだと!?」
「このどうぐは、ひとがたあいてだと、ながさいがいのりてんがない」
ライシェラは手首に当てた手をゆっくりと下に降していく。
「なっなにを!ばかな!?」
エンバはプルプルと震えているが、逆らえず地面に片膝をついてしまう。
2倍近い大きさの差があるのに、膝を屈する姿はまるで、エンバがわざとそうしているようだ。
「ちかづかれると、たいしょできない。えっと・・・、なんだっけ?えば?」
「えば?・・・我が名はエンバだ」
「そうそう、たたかいかたみせてくれた。おれいにえんばに、たたかいかたおしえる」
そう言うと、手首を離して後ろに下がる。
「なっ!?なめ・・・」
慌てて、攻撃してこようとするエンバを、手を上げて制する。
「おちつく。このきかいをのがせば、にどとおしえない。おわったあとでもういちどやればいい」
エンバは、さきほどまで、抑え込まれていた手首をみる。
「まず、ちからつよい。それはいい、でもからだのうごかしかた、しらなすぎる」
ライシェラはエンバの返事を待たずに話始める。
「なんだと!?」
「もっとじぶんのからだの、さいぶまでしるべき、まずはからだの・・・」
それから、ライシェラによるエンバへの、体の動かし方講習が始まった。
最初は反発していたエンバも、ライシェラが動き方を実演して、それをまねるだけで見るからに早く動けるようになり態度が変わった。
しかも広場の周囲を、誰も逃がさないとでも言うように、腕を組んで黙って立っていた人達まで、いつの間にか近づいてライシェラの話に聞き入っている。
「チコリ、これっていいのかな?大きい人たちがますます強くなるって事だよね・・・」
「・・・かといって、今とても止められる雰囲気じゃないわよ」
いつの間にか僕たちの周りには誰も居なくなっていた。
大きい人はみんなライシェラを囲む様にして聞き入っている。
ヒュドラは大きい人たちが苦手みたいで、広場の端っこで丸くなっている。
「・・・コブン君。少し話したいことがあるんだけど・・・」
そんな時だった、急にビエラヤに声をかけられた。
「なに?」
「・・・ここではちょっとその・・・」
ビエラヤはなぜかモジモジしながら赤くなり、チコリの方をチラチラ見ている。
肌が白いから、赤くなると目立つ。
「あー・・・、じゃあ、ちょっと私は向こうで本でも読んでるわ、ライシェラさんもまだかかりそうだし・・・」
チコリがそう言って、突然歩いて行ってしまう。
ライシェラの方も近くによって来た人達にも色々と言っている。
「コブン君、たしか首にネックレスしてたわよね。見せてくれない?」
「わかった」
僕は、今までビエラヤに見せた事あったかな?っと思いながらも、お守りの黒い角の欠片を胸元から取り出す。
「ちょっと借りてもいい?」
僕は首から外して、ビエラヤに渡す。
「ありがとう、・・・これがレティシア様が使っていた・・・大魔法の触媒・・・」
「?それは・・・」
ビエラヤが何か勘違いしているようなので、説明しようとすると。
「ごめんなさいね、コブン。急用を思い出したわ。しばらくしたら戻るから、レティシア様達にそう伝えておいて」
「わかった」
「あと、この事は内緒よ」
そう言って、ビエラヤは魔狼に乗って森の中へ入って行った。
いまいち何が内緒なのかよくわからなかった。
「・・・どうだったの?コブン」
戻ってきた僕に、チコリが森へ入って行ったビエラヤの方を見ながら聞いてきた。
「急用を思い出したがら、しばらくしだら戻るって」
「・・・そっか、どんな感じだった?」
「うん・・・。あ、内緒だっで」
何が内緒なのかわからなかったので、伝えてくれって言われたこと以外言わない方がいいんだと思う。
「あら、ごめんなさい。野暮だったわね」
「ううん、平気」
それから、僕たちはライシェラの講習が終わるのを待つことになった。
・・・そういえば、レティもどこいったんだろ?
読んで頂きありがとうございます。
戦うシーンは毎度悩みます。
だからという訳ではないですが、ライシェラさんのセリフを入れると、何故か作者の当初の予定をぶっ飛ばして、講習をする事に、ライシェラさんぱないっすね。
さらにビエラヤさんがドロンしました。
みなさんも詐欺には気を付けましょう!
まずは、身近な人に相談しましょう。




