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灰色の大きい人たちが来ました。

 よろしくお願いします。

 僕は、日の出前に起きて、結界内のキラキラを探して戻ってきた時、この広場に向かっている足音が聞こえた。

 良くない感じだ。

 僕は人より耳がいいけど、森の生き物がその気になれば、音を消すなんて簡単だ。

 ところが、隠す気が無い足音って事は、忍び寄る必要が無い強い相手だ。


 僕は急いで、レティ達の方へ戻る。

 幸いライシェラがもう気付いていて皆起きていた。



 僕たちの泊まっていた広場をぐるりと取り囲む様に濃い灰色の肌の人達が現れる。

 ビエラヤも息を呑んで震えているので、灰ゴブリンに関係がある人達ではないみたいだ。

 体格もみんなレティより二回りも大きく、ムキムキだ。

 顔には下あごから二本突き出した牙があり、首の太さは顔とぐらいだ。

 しかも全身の溢れんばかりの筋肉のせいか、手足も太く手の平も大きい。

 足は大きな蹄の様になっており、お腹もバキバキに割れている。

 どの人も、筋肉が鎧だと言わんばかりに薄着で、腰巻と肩当、武器を背負う為の鞘などぐらいしか身に着けていない。

 ただ、女性なのか少しほっそりした丸みのある体系で、胸の大きな人も何人かいて、そういう人は胸当てをしている。

 武器は剣やら、斧やら、槌やらと皆バラバラだ。

 チコリは杖を構え、ビエラヤと魔狼はいつでも飛び出せるように体勢を低くしている。

 ヒュドラは、少し震えている。

 僕はお腹を撫でて、落ち着くように声をかける。

 僕が落ち着いていられるのは、レティとライシェラが全然身構えてないからだ。


 「やはり、魔女レティシアか、覚えておいでか?ロワ・ヴィルトシュの子エンバだ」


 大きい人たちの中で、さらにもう一回り大きな人が前に進み出てそう言った。


 「おぉ、おっきくなったな。覚えているさヴィルトシュは元気か?わざわざどうした?」


 レティも片手を上げて、進み出ながらそう言った。

 やっぱり、知り合いなんだ。


 「あなたは変わらないな、魔女レティシア。父、ロワ・ヴィルトシュは旅だった」


 なんでそう思ったのかはわからないけど、エンバと名乗った大きい人は少し寂しそうに言った気がした。


 「・・・そうか。ロワ・エンバは名乗らないのか?見た感じお前が最も強そうだが?」


 レティも、さっきの嬉しそうだった声が少し、落ちた。

 でも周囲を見回しながらまた明るく言った。


 「あなたの他にも父を倒したモノが居る。いまのロワはそのモノだ。ロワの命によりあなたを連れに来た」


 「・・・エンバ、お前は戦士ではないのか?なぜロワ自ら訪れず、戦士に使いの様な事をさせている?」


 今までの、気軽そうな楽しそうだった雰囲気が嘘の様に、レティの声が冷たく他人行儀になる。


 「・・・戦士であろうともロワの決定には逆らえぬ」


 エンバが拳を震わせながら強く握る。


 「・・・戦士の誘いならば、無論応じよう。だがその前に、ヴィルトシュの最後を教えてくれ。今のロワと戦い旅だったのか?」


 「そうだ。当代のロワに挑まれた。その戦いが最後だ」


 背中越しに、レティが目を瞑り、少し上の向いたのがわかった。


 「・・・そうか。どこへ行けばいい?以前の集落と変わってないのか?」


 「変わっていない。ロワもそこに居る」


 エンバは横を向いて後ろの仲間に、何か指示を出そうとする。

 それをレティの言葉が遮る。


 「そうか、ならば。黒森ティアマトの民、灰牙の部族、ロワ・ヴィルトシュの子エンバ。戦士の誇りをかけて決闘を申し込む」


 横を向いていた顔をゆっくりと戻し、レティを真っ直ぐに睨み付ける。

 それは、戦っている時のレティの様にギラギラした目だ。


 「・・・いいだろう。魔女レティシアの挑戦を受ける」


 「勘違いするなよ。ロワの傀儡となり果てた戦士など、アタイの相手じゃない。アタイの一番弟子のライシェラが相手だ」


 レティが鼻で笑ってライシェラを指さす


 「・・・でし、ちが・・・」


 「我が父の頼みを断り!ロワの地位を貶めた貴様が言うか!!」


 ライシェラが抗議する前に、エンバの激しい声が空気を震わせた。

 僕もビエラヤもビクッと体が動いてしまったほどだ。


 「ヴィルトシュにも同じことを言ったけどね?アタイがオークを率いるなんて無理さ、あんたたちの気質は好きだが、飯が不味いからね」


 レティは、全然気にした様子もなく、エンバの強い目を受け止めて、苦笑でも浮かべそうな様子で話した。


 「クッ!!」


 元々迫力のあるエンバの顔がさらに凶悪になる。


 「じゃあ、ライシェラ、後任せた!アタイは行くとこがあるから。よろしく」


 片手を上げて、チラッとライシェラを見た後、レティはどこかへ飛んで行ってしまった。

 煽るだけ煽って無視されたエンバが、大変な事になってる。


 「・・・はぁ、んじゃやる?」


 ライシェラがやる気なさそうに尋ねる。


 「むろ・・・」


 「あ!そのまえに、けっとうのきまり、おしえて」


 もうエンバの血管が浮き出て凄い事になっている。

 読んで頂きありがとうございます。

 エンバさん。哀れ。

 頑張れエンバさん、次の話では活躍できるはずです。

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