「6月10日」
「オルタナティブ・ブレイク」序章「6月10日」
――6月10日午後4時35分
俺は教室で帰り支度を整えていた。
先程まで帰りのLHRで担任が長い話をしていたがその退屈な話がやっと終わり、今は放課後だ。
周りではクラスメイト達が楽しくお喋りをしている声が聞こえてくる。
そんな中、俺は帰り支度を終え、鞄を肩に掛け、自分の席を立ち、教室を出る。
教室を出ていく時、誰も俺に声を掛ける事は無いし俺自身も声を掛ける事も無い。
教室を出て廊下を歩きながら、俺は今日の朝の事を考えていた。
□ □ □
――それは今日の朝、いつも通りに起きて、2階にある自室から1階のリビングに降りて朝ご飯を食べながら携帯を弄っていた時だ。
俺の携帯に1通のメールが来た。
(うん?メール?おかしいな。
俺にメールをくれる奴なんていない筈だしそもそも誰にも俺の携帯のアドレス教えてないしな……あれ?おかしいな何で目から水が……)
などとちょっと悲しくなりながらもメールの受信ボックスを開く。
ボックスの一番上に表示されているメールを開く。
送り主は運営から。
それだけで俺はこのメールが何のメールか分かった。
題名は「新武装・イベント機能の追加、開催について」と記されていた。
そして俺はそのメールの文章を読んでいった――
「現在、実装している武装に加えて新武装「固有名付き武装」が加わります。まだ開発中なので新武装の実装はもう少し先ですがお楽しみに。
次にゲーム開始以来初のイベント「八重桜の伝説」について、こちらも今現在開発を進めております。
この2つの公開予定は同時にしようと考えております詳細が決まり次第またお知らせします」
(固有名付き武装か……どの種類の武装に出るだろうか。
出来れば剣が良いな。うん。 それにイベント機能追加か今までイベントなんて無かったからなぁ。一体どんなイベントになるかイベントボスも気になるし、報酬も……)
と考えつつ歩いていると下駄箱の前に着く。自分の場所へ行き、ローファーを取り出し上履きを脱いでローファーを履いた俺は学校を出て、駐輪場の自分の自転車が置いてある場所に行く。
前籠にバックを入れ、ロックを外し自転車に乗る。
(今日も行くか……。)
そう思った俺は自転車を目的の場所まで漕いでいった。
□ □ □
午後5時25分
しばらく俺が自転車を漕いで来たのはゲームセンターだ。
自転車を駐輪場に止めて自動ドアをくぐり、中に入るとゲームセンター独自の騒音が鳴り響いて来る。
クレーンゲームをやるカップル
音楽ゲームをプレイしている女子グループ
パチンコをやっているおじさんなどを横目に俺は目的のゲームがある奥へ向かった。
しばらく歩いていると目の前に球状の筐体のゲームが見えてきた。
これが俺の目的のゲーム。その名を
「オルタナティブ・ブレイク」というアーケードゲームだ
このゲームは自分で機体を操りバトルやクエストをこなして資金や資材を集める。
集めた資金と資材は機体・武装強化に使う。強化した機体を使って皆で協力してボスを倒す。
強化は自分のプレイスタイルに合わせて強化出来るので面白い。
俺がこのゲームに出会ったのは一年前だ。
俺は昔から読書とゲームが好きだった。
だがゲームはどちらかというと携帯などでやるゲームが好きだったがある日ネットを見ていると「オルタナティブ・ブレイク」というアーケードゲームが稼動開始する事を知った。
そして説明を読んだ時にこのゲームが機体を操りバトルするゲームだと分かってからずっと楽しみにしていた
それは俺がこうゆうロボ系のゲームは大好きだったからだ
稼動開始の日から早速俺はプレイしにゲームセンターに行った。
結果は思った通り面白かった。
それから俺はこの「オルタナティブ・ブレイク」をずっとプレイしている。
このゲームでは自分で強化した機体のデータはICカードに保存するようになっている。
俺は空いている筐体の中に入ってプレイする準備を整えていく
椅子に座り鞄を横に置いて、百円を投入。
目の前の画面の指示に従って
次にICカードを差し込んでセット。
あとはヘルメットを被ってログインコマンドを言うだけだ
俺はヘルメットを被り、いつも通りにログインコマンドを呟いた。
「……ブレイクスタート」