果てない空
広大な草原の真ん中に、ぽつんと一つだけ存在している学校がある。
周囲に町などは無く、果てなき青空と風に揺れる草だけが静かに動いていた。
草原の中心にある学校の名は
『国立アルカ学園』
この学校の生徒は皆、超能力者である。
町から車で飛ばして2時間が経つ
私、伊勢神凛子は後部座席で項垂れていた。
「きもちわるい。」
今にも嘔吐しそうだった。
胃の中の内容物が排出寸前になったその時
急ブレーキがかかる。
運転している女性が大声で
「外にお願い!」
と叫んだ。
ガチャっとドアを勢いよく開け
凛子はダッシュで草原の中に入った
運転手の女性も外に出て煙草に火をつける。
「ほんと乗り物に弱いのねぇ」
金髪にギャルメイク、なのにスーツで眼鏡というアンバランスな女性の名前は伊左地一早枝
「一早枝さんの運転が荒いんですよ」
放出したら多少はスッキリとした
今は激しくうがいがしたい。
車の中にあるペットボトルを探していた。
「だって早く通り抜けないとね、危ないのよこの道は」
フーッと煙を吐き出し、空を見上げる。
「いつ出るかわからないし」
そう小さく呟いた
煙草を地面に落とし火を消す。
「さーて、もう少しで着くから急ぎましょう!」
「ええ、また飛ばすんですか」
私はげんなりとした。
「頑張って!限界きたらまた止めてあげるから」
明るく言ってくれるが気分は若干鬱気味だった。
うがいだけすませて車に乗り込む。
「しゅっぱーつ」
一早枝は元気よく声をあげ
アクセルを思いっきり踏み込んだ。