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応援団  作者: K
ゴリラのマーチ
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ゴリラのマーチ

「最悪だ・・・・」


おれは高校2年生の良平。

2年生になったおれには夢がある。

それは、めっちゃかわいい彼女をゲットすることだ。

バンドとかはじめちゃってモテて、告白されて。

全然さえないでどこか適当に過ごした高校1年生。

2年生こそは絶対モテてやりたい!



しかし、終わった。

おれはあろうことかあの応援団に選ばれたのである。


思い返せば1年前。

高校がはじまって一週間くらいのあるとき。

新入生歓迎会の最後に新入生一同は驚愕した。


「いくぞ!」


と体育館で怒声が響き渡る。

ざわつく新入生。

ステージ上には、学ランにハチマキ・・・更に何故か裸足。

そんな野性味溢れるゴツゴツしたゴリラの様な男達が現れた。

ぽかんってなる新入生。


「校歌斉唱!」


と真ん中のゴリラが叫ぶと一番右のゴリラが大太鼓をアホのように叩き始める。

とてもうるさい。騒音おばさんが一瞬脳裏をかすめた。

ドンキーコンガーというゲームがあったのを思い出した。


ドンドンと騒音の中ゴリラたちが歌いだした。

ゴリラのマーチ。コアラのマーチに申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

しかも歌には程遠い雄たけびのような感じ。

違う意味で鳥肌がたった。



不意に隣の奴が笑いだした。それに釣られて、皆が笑いだした。

みんな先輩が校歌を斉唱しているのを笑ってはいけないと感じていたのだろう。

しかし、限界だった。なんせ校歌斉唱には程遠い、ゴリラのマーチなのだから。



こうして3分間の笑ってはいけない校歌斉唱は終わった。

おれは耐えた。ギリギリ耐えた。

皆もどこか異様な雰囲気から解放されて安堵感が漂っていた。


あの1年生の時の記憶がこびりついて離れない。

それから応援団は、ダサいというイメージが頭にこびりついたんだ。




そして今年も新入生歓迎会は行われた。

そして例年のようにラストには怒号と嘲笑が交じりあった。

今年もおれは、3分間の笑ってはいけない校歌斉唱を耐えた。


体育館から教室に戻ると担任が信じられない言葉を言い放った。


「え~先程の応援団による校歌斉唱ですが笑った者は失礼に値するぞ。」


いやいや笑わない奴はすげぇよあれ。

って心の中で突っ込んではいるものの担任はクマと呼ばれる学校一怖い先生。


「高校2年になってまで、つまらぬことで笑ったりするんじゃない。笑った奴は手を挙げろ。」


クラスのほとんどが手を挙げた。

おれと、もう一人の男子以外。


「ほんとに情けない、人が真剣にやっている姿を見て笑うとは失礼と思わないのか。」


いやいや、ゴリラのマーチを見て笑うなって酷でしょ。

とか考えていたら


「山田と高橋をみんな見習うんだ。応援団は、野球部を応援する為に日々努力している。その姿を笑うのは本当に失礼だ。なぁ、山田、高橋!」


「はぁ・・・。」


クマは、野球部の顧問だ。

自分の部を応援してくれる応援団をバカにするのは許されなかったのであろう。


「実は高校2年から毎年クラスから男子2名を応援団として選出しなければならない。しかし、もう分かるだろう。笑ってしまったものに応援団を任せる事は出来ない。そこでだ・・・山田と高橋を選出しようと思う。」


・・・え?いまなんと?

高橋・・・うん、このクラスには高橋っておれだけだよな・・・。

あれ?おれが応援団?

おれがゴリラのマーチの一員に?

・・・あれ?うそでしょ?


「いやいや僕は部活がありまして・・・」


「お前は部活をしていないだろう」


「あ・・・いや・・・でも」


確かに部活はしていなかった。

でもおれは軽音楽部に入ってバンドをしてって夢が・・・

とは言えなかった。なんせクマが怖い。歯向かうことが出来ない。


「では山田と高橋は応援団として精力的に活動してくれ。」


終わった。

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