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真面目で何が悪い  作者: 桜庭


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プロローグ

 私の知るアメリア=フォーゲルという少女は、白百合のようなイメージの女の子であった。





 乙女ゲーム『愛はすぐ側に』の主人公である彼女は、白雪姫を彷彿させるような白い肌と黒い髪のコントラストが愛らしい十六歳の女の子だ。


 平民には現れるはずのない魔術の素質が先祖返りで現れてしまい、それを知った貴族に見初められ養子入り。そんな過去を持つ為か高慢さはなく、むしろ自分なんかが、という自己評価の低さが見えるはにかみ屋。


 柔らかな物言いと控えめな微笑み。そして、そんな淑やかさからは想像もできないような抜群の行動力と、それらが全て好転するラック値の高さを併せ持つ、ハイスペック彼女。




 それが、私の知るアメリアだ。






 ゲームの舞台は、私たちと同じ人型の『クルーク』と、人と獣が混じった獣人の『シュタルク』が存在し、対立する世界。


 その中で、誰とでも分け隔てなく接する心優しき少女は時に優しく、時に厳しく登場人物たちに道を指し示す。


 捻くれた私からしてみれば「ぽっと出の小娘が、他人様(ひとさま)の人生に対してありがちな上っ面だけの言葉で適当に口挟んでんじゃねぇよ」とキレるような展開満載なのだが、性根が単純……もとい、純粋な攻略対象たちは、容姿端麗な少女の心優しいお言葉にころっとだま……いや、ささくれた心を癒され、見事にそれぞれの問題を解決。そして、ゴールイン。ちょろいかよ。



 学園ファンタジーと銘打っている通り、シナリオはアメリアが通う全寮制の名門学校が中心となる。


 攻略対象は、隠しルートを含めて全部で六人。



 公爵子息の俺様同級生、軟派だが優しい先輩、ツンケンした義理の弟、気弱なシュタルクの少年、トラウマのある担任、そして、隠しルートの幼馴染。




 どこかで見たようなテンプレ設定の彼らだが、それでもそれなりに問題のある彼らを上手く落とすことが出来たのは、ひとえに主人公であるアメリアの可愛らしい外見と底抜けのバ……お人好しさがあったからであろう。



 ルートによっては貴族のえげつない御家騒動に巻き込まれたり、世界規模の人種差別問題に巻き込まれたり、国同士の戦争に巻き込まれたりする。規模がデカすぎてついていけない。学園物なら、生徒会とバトるくらいにしておけよ。




 しかし、一番ついていけないのは、彼等との恋愛だ。



 友人曰く「よくある展開だよー。考え過ぎだって」とのことなのだが、私はこいつらのモラルはどうなっているんだと画面前で一人でキレた。

 軽率な異類婚姻、浮気の許容、略奪愛、えとせとらえとせとら……逆になんでこれが「よくある展開」なんだ。おかしいだろうが。




 友人大絶賛のこのゲーム、残念ながら私の好みには一致しなかったようだ。




 さて、長々と興味が微塵もないゲームについて語ったが、結果的に私が何を言いたいかと言うと……





「……私がアメリアに生まれ変わったって誰も得しないじゃん!!!」





 どうやら私、二度目の人生を迎えたようです。



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