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ep.8 私は、ドラゴンに狙われたプリンセス。

ついに両親とのご挨拶へ――。

けれど、私の前に現れたのは、“父と母”ではなく、“王”と“王妃”だった。

そして、彼の視線に私の心は……

この感情は、喜び? それとも……恐怖なの?


けれど、そこに立っていたのは、父と母のいつもの姿ではなかった。


まるで“小国とは思えぬ威厳”をまとった国王と王妃の顔だったのだ。


「ただいま戻りました。父上、母上。」


非公式の場ということを忘れ、丁寧なあいさつをする。


「よくぞ戻った。」


「おかえりなさい。エルミナ。」


エルではない、それが全てだ。


どうしよう…と悩むより先に、レオンが動いた。


その横にはファリスの姿が。


片膝をつき両手の拳をくっつけ、体を横にずらす。


この辺りでは見られない挨拶だが、はっきりと公的なものであるとわかる。


「お目通り、感謝致します。

私、シオン=ドラグニル。横に付きますは…」


「ファリス=アルマードにごさいます。

ドラゴニア王国、第一王子シオン様の側近を務めさせていただいております。」



その姿、声。


悠然でどこか魅力される、そんな雰囲気。


(こんなにすごい人が私の婚約者でいいのかしら)


それに、第一王子だなんて。


おちゃらけた雰囲気のファリスでさえ、魅力的に映る。



「こちらこそ、よくぞ参ってくださった。

私は、シリウス=セレフィーナ。

横にいるのは妃のミラだ。」


母が優雅にお辞儀をする。


いつものお転婆が鳴りを潜めていた。


「ねぇ、あなた。そろそろいいんじゃない?」


「そうだな。ミラ」



ー途端空気が変わる。


シオンとファリスはすでに立ち上がって微笑みを浮かべているーさすがだ。


私の目の前には父と母の姿があった。



「丁寧な挨拶をどうもありがとう。

あのような申し出をいただき、こちらとしても申し分ない条件だったのだが、ワシの娘をやるとなると…」


父が照れ臭そうに頭をかく。


横にいる母が明るい声で続きを話してくれた。


「シリウスったら、大国に娘を預けるのは心配だ。

って騒いでね。」


「仕方ないだろう。大国の王子が娘との婚約を望んでいるなんて聞いたら信用できない。

っとすまん。そなた達を知らなかったのでな。」


母がすすす…と私の横に立ち顔を寄せる。


「本当はただ、遠い所に嫁がせたくなかったのよ。

会いにいけないし、あなたも何か合った時すぐに帰ってこられないってぼやいてたわ。」


シオンと共に笑い合っているの顔は、私の知る優しい父の顔だった。





ーーーー


「はははッ。実に愉快だ。

せっかく来てくれたのだから、どうだ食事でも取っていかないか?

これから家族になるのだし。」


応接室内、ソファに向かい合って座り談笑をしていた。


父を笑わせているのはファリスだ。


意外な事にも、彼の話術は巧みで人を惹きつける。


父も母もファリスに夢中で、父なんてソファに背中をつけ、豪快に笑っている。



「シオン。国王と王妃が晩餐に誘ってくれたな‼︎

そうだ!晩餐会ではあの話をしないか?」


「あの話はやめておけ…。そもそもファリスの勘違いから始まったのだから。」


「お?なんだその話は、とても興味があるぞ?」


「そうですか‼︎さすがはシリウス様お目が高い。

詳細は晩餐会でゆっくりと語らせていただきますが、あれは私がシオンと共にある国へ伺った時の話で…。」



空が赤く焼け、応接室は柔らかなオレンジ色に包まれる。

皆、ファリスの話に夢中だが、私だけはシオンを見つめていた。


(少し困った顔をしているわ)


(今度は笑っている)


呆れた顔に…そのどれもが美しくて、私は見ていて飽きる事がない。


この人が私の婚約者ー…


「……‼︎」


胸の鼓動が、どんっと音を立てた気がした。


シオンが私を見たのだ。


優しい瞳で、緩やかな笑顔で、だけど瞳は真剣そのものでー。


彼の瞳が「私を絶対に逃さない。」と強く語っているように見えた。


背中がゾクゾクとした。


その姿は、大国ドラゴニアの王子ではない。


獰猛な肉食獣のようで狡猾な猛禽類のようだ。


ただ一直線に私を見定めている。


恐怖なのか、それとも喜びなのか、私はシオンから目が離せない。





私はーーードラゴンに狙われたプリンセスだ。



「どうも、今回の話で爆上がり株のファリスです!」


「自分で爆上がりって言わないと思うけど。普通。」


「でも実際、ファリスって有能なんだよ。エル。」


「お、シオン! 珍しく褒めてくれんのねー」


「うん。頼りにしてるのは本当だし。」


「そうなの?」


「実際、ファリスってけっこう人気があるんだ。

 外交官としても、かなり有能だしね。」


「ふーん。でも、私はシオンの“あの目”の方がずっと……」


「ねぇ、エル。あんまりそういうこと言わない方がいいよ?」


「え? どうして……‼︎」


「優しくしてるけど――僕は、ドラゴンなんだよ?」


「シオン……」


「はいそこまでー! 今回、俺が主役っ‼︎

 なのに、もう出番終わりじゃねーか!」


「ごめん。」


「仕方ねぇ! 今回も読んでくれてありがとう!

 ブックマーク追加、ポチッと頼むわ!」


「そうだったわ! シオン、すでにブクマしてくれてる人もいるらしいのよ。」


「本当にありがとう!

 僕も、読んでくださってる方の記憶に残れるキャラになれるよう頑張るね!」


「じゃ、次回でまた会おうぜ!

 待ってるぞ‼︎」


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