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ep.5お互いの事はよく知らなくても婚約します。だって顔が好きだから‼

いきなりですが、私、婚約しました!


誰とって言われても…名前以外知りません。

性格?身分?素性?そんなの関係ない!


だって顔がタイプだったから…


今回は、超絶面食いな主人公が出会って3秒で求婚されて、さらに即答でOKするという、ハイテンション婚活(?)回となっております。

もちろんお兄ちゃんもエルには激甘です。


何度目かの気絶から目覚めたとき、ふと不安が頭をよぎった。




「ねぇ、お兄ちゃん。そろそろ帰りたいんだけど……神界と人間界って、時間の流れは違うの?」




「えぇ⁉︎ 帰るのか⁉︎ エルの家はお兄ちゃんの家だろ? 一緒に暮らすんだから、帰らなくてもいいじゃないか!」




「そういうわけにはいかないから! それに私には、やらなきゃいけないこともあるし。……で、時間の流れは?」




「変わらないけど……エルゥ、お兄ちゃんと一緒に暮らしてくれないのか……?」




涙ぐむアスガルドは、心底がっかりして見える。

もう少しぐらいいてもいいのだが、婚約破棄の後すぐに神界に来てるから実家の様子が気になる。

後、兄の動きも。


寂しそうにこっちを伺うアスガルドに心が揺れる。

でも――やっぱり、今は戻らなきゃいけない。




「戻れるなら、すぐまた来るよ! ほんの少し、様子を見に行くだけ!」




「……本当か? なら、これをやるよ」



寂しそうなところはまだ見えるが、すぐに来るという言葉にアスガルドは笑顔を取り戻し何かを手渡してきた。

差し出された物は、温かみのある木製のブレスレットだった。




「これ、なに?」




「転移装置だ。魔力を込めれば、好きな場所へひとっ飛びだ!」




「なにそれ⁉︎ 便利すぎるんだけど! さすがお兄ちゃん、すごいっ!大好き‼︎」




「え、えへへ……大好きか。エルが喜んでくれるなら、お兄ちゃん、嬉しいぞ!」



大好きの言葉がよほど嬉しかったのかアスガルドはもじもじしている。

ほんとにチョロい神様だなぁと思いながらも、私は心から感謝した。

(めっちゃ便利な動画、貰っちゃった‼︎)



早速ブレスレットに魔力を流し込み、アスガルドに別れを告げる。


「ありがとう、お兄ちゃん。ちょっと急ぐから、行ってくるね!」




「エルッ‼︎ ま、待っ――!」




アスガルドの声を最後まで聞く事なく、私は光に包まれた。




──気づけば、実家の前に立っていた。

(本当にすごい‼︎このブレスレット)


ただー

「あれ、誰?」

実家の門の前に、見知らぬ二人の男がいた。




透き通るような白い肌、翡翠のような瞳。


整った顔立ちに、気品ある佇まい。どこか高貴な雰囲気をまとうその青年は、私に静かに尋ねた。




「……君は誰だ?」




「失礼。先に名乗るべきだった。僕は――シオン。君は?」




「…………。」




(え、ちょっと待って。なにこのイケメン。


ドタイプ通り越して、芸術品じゃん……)




あまりの美貌に、私は言葉を失った。


はしたないとわかりつつじっと見つめる。


彼の声も、名前も、正直まったく耳に入ってなかった。




「……ッ!」




シオンは突然ビクッと体を震わせると、顔を手で覆った。


指の隙間から見える顔は、耳まで真っ赤になっていた。




「え、どうかしましたか?」




シオンの身長が高く見上げるような形のまま顔を見つめ続けた。


(いや、見すぎなのは自覚ある。でも! こんなイケメン、見ない方が失礼でしょ!)




アスガルドもイケメンではある。けれど、私の好みは完全にこっち。断然こっち。




「ぼ、僕……私はシオン、です。君の名前は?」




(どっち!? 男? 女? ……まぁどっちでもいっか)




「私はエルミナ。エルって呼ばれています」




王族のような風格を感じたので、自然と貴族式の挨拶になる。




「君は……この家に住んでる?」




私の実家を指差し尋ねる。




「はい。私はセレフィーナ家の娘のエルミナです」




「……そうか」




どこか嬉しそうに頷いた。




そしてー




私のすぐ近くまで迫って、シオンはゆっくりと片膝をつき私の手を取った。




「えっ⁉︎」




驚いて声を上げた私に、彼は真っ直ぐな目を向けて言った。

瞬間音がやみ、時が止まった。




「僕と結婚してくれませんか?」




「喜んで‼︎」



食い気味に返事をしてしまった。

迷いなど一切ない。

そんな私をみて、シオンはとても柔らかい笑顔を向けて私の両手を包み込んだ。



「ありがとう。

 大切にするよ。絶対に幸せにするから…」



その顔を見れた事ですでに私は幸せだ。

この結婚は間違いじゃない。

なぜなら、私は超のつくほどの面食いだからだ。



「ねぇエル。君は、僕のこと……知ってたの?」


「え? 全然知らないけど?」


「知らなかったの⁉︎ なのに、どうしてプロポーズを受け てくれたの?」


「顔が好きだから。」


「…‼︎嬉しいよ。僕も君に一目惚れしたし。同じだね。」


「おいシオン、お前マジでそれでいいのか?

 この姫さん、ちょっとヤバそうだぜ?

 それに、お前姫さんと元から結婚する気だったじゃん か」


「ファリス! 余計な事を言うな。

 あと、エルに向かって酷い事を言うな‼︎」


「この人だれ?(……っていうか、こっちもイケメン)」


「ファリス。僕の側近だよ」


「よろしくな、姫さん。で、あんた、変わってるって言 われたことないか?」


「ファリス! 距離が近い。エルに近づくな‼︎」


「……ゾッコンかよ。


 あーあ。俺も恋愛したくなってきたな。


 ――あ、ここまで読んでくれてありがとな。

 シオンたちと、オレのこと、今後ともよろしくな!

 もしよかったら、ブクマや評価くれるとうれしいぜ‼︎」

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