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改訂前 1婚約破棄はまさかの神様溺愛フラグ⁉︎

現在改訂中です。

こちら含めまして、改訂前表記がある物は改訂前になります。

ep順に数字を振り分けておりますので、ep1の物からお読みいただけますと嬉しいです。

順不同となりお手数をおかけいたしますが何卒よろしくお願い致します。



王子との婚約発表のはずが、まさかの公開破棄!?

……でもご安心を。私は負けません。むしろ、これから人生が始まるのですから!

「さぁ、エル! 今日から俺はお兄ちゃんだ!」


その言葉が、私の運命をかき乱す呪文になるなんて――この時の私は、夢にも思わなかった。


私は、小国リヴェリアの第一王女、エルミナ。

今夜は、隣国との政略結婚の婚約発表のはずだった。


けれど、王城の舞踏会は私にとって、人生最悪の夜へと変わる。


「どうした? 壁の花でもしているのか? 今日はお前の婚約発表だろ?」


嫌味な実兄、ジル。

彼の嘲るような声は、豪奢な会場に不協和音のように響く。


「……別に。なんでもありませんわ」


私は冷たく返した。

この男と私が、仲の良い兄妹だったことなど一度もない。


肝心の婚約者――レオナルド王子はというと、私に目もくれず、他の令嬢と浮かれた様子で踊っていた。

(……まぁ、期待してなかったけれど)


「まぁ、仕方ないわな。王子は華やかな方だ。お前のような地味で田舎育ちの女など、政略結婚でなければ相手にもしないだろう」


「ご安心ください。政略結婚に愛は求めておりませんので」


それが私の役目。

王女として、家のために差し出されるのが当然だと思っていた。


「お、王子が動いたな。そろそろ壇上に行く時間じゃないか?」


ジルの言葉に振り返ると、レオナルドが壇上へと上がっていく。

音楽が止み、会場にざわめきが広がった。


(……あれ? 私も一緒に上がるはずじゃ?)


違和感を覚えたのも束の間、彼はまるで朗読するように言い放った。


「本日、私レオナルドは――政略とはいえ、地味な彼女との婚約を破棄することを決めました!」


一瞬、空気が凍った。


(……は?)


婚約発表の壇上で、まさかの公開婚約破棄。

舞踏会は、好奇と嘲笑で満たされた。


(落ち着いて、私……)


泣くなんて、絶対に駄目。

拳を握り、深く息を吸い、壇上に視線を向けた。


そして、笑った。


「清々しましたわ。仮にも婚約破棄を発表する前に、誰彼構わずご令嬢と踊っていたような男、こちらから願い下げですもの」


「なっ……!?」


レオナルドがわずかに狼狽えた。


私は涙をこらえ、震える足に力を込める。


「それでは、失礼いたします」


くるりと背を向け、近くのグラスを取り、一気に飲み干す。

渋みのある赤が、喉の奥に苦く残った。


(もう、どうでもいい)


ドレスの裾を持ち、小走りで会場を飛び出す。


「……こんなところに、あんな大樹あったかしら」


気づけば、王城の奥深く。

静けさの中に、どこか神聖な空気を纏う大きな樹が立っていた。


その根元に、崩れ落ちるように座り込む。


(……愛されないことくらい、分かってた。けれど)


「わぁぁぁああああああーっ!」


泣いた。誰にも見られていないのをいいことに、子どものように。


髪も化粧もぐちゃぐちゃにして、三十分ほど泣いて泣いて……ようやく落ち着いた。


「……聞いてくれて、ありがとう。ついでに、お願いもしちゃおうかな」


(王子が何か吹聴しませんように……大事になりませんように……)


だけど、それだけじゃ足りなかった。


(……いいえ。いつか必ず、見返してやる)


――そのときだった。


空気がざわりと揺れた。


神木が、突如としてまばゆい光を放ち始める。

光の粒子が舞い上がり、目を開けていられないほどの輝きが満ちる。


そして、そこに――男が現れた。


銀の髪、星を閉じ込めたような瞳、非現実的なほど整った顔。


「……まさか。リリアン……?」


彼は私を見て、苦しげに目を見開いた。


「……いや、違うか。死んだんだよな。あいつは」


「は、はぁ?」


突然現れた超絶イケメン。

何? 誰? 怖いんだけど、顔が好みすぎて思考が止まる。


「えっと、どちら様? 私、リヴェリアのプリンセス、エルミナですけど……」


《誰!? 怖っ!? ていうか何これ!?》という内心を押し隠しつつ、なるべく丁寧に。


「……声までそっくりだ。いや、もう確信だな」


彼はまっすぐ私を見つめ、やがて微笑む。

その表情には、諦めと、ほんの少しの決意が宿っていた。


「よし。俺のことはお兄ちゃんって呼ぶんだぞ。というわけで、早速神界に行こう!」


「お兄ちゃん!? 神界ぃい!? まだ名乗ってませんよね!?」


訳が分からなすぎて叫ぶ私に、彼はいたずらっぽく笑って言った。


「俺はアスガルド。お前のお兄ちゃんだ」


「答えになってないっ!!」


パニックの私を、彼はふわりと抱き上げる。


優しく、しかし確実に逃さない力で。


神木に手をかざすと、再び光が灯った。


「異議は? ないよな。じゃ、出発だ★」


反論の余地なんてなかった。


「あるに決まってるでしょうがー!!!」


こうして私は――自称兄のイケメンに、連れ去られた

「お読みいただきありがとうございます。

私、エルミナ=セレフィーナと申します。

どうぞ“エル”とお気軽にお呼びくださいませ」


「俺は兄だ!!」


「……私の兄に、そんなに元気な人はいませんけど」


「お兄ちゃんと呼んでくれてもいいんだぞ? エル」


「……顔だけは、いいのよね」


「ん? 今、なんか言ったか?」


「いいえ。別に、何も」


「そっか!

ってことで、みんな読んでくれてありがとう!

次回も俺の可愛いエルをよろしくな!!」


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