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封じの枷ってきつすぎません?




「...........ここ、何処よ?」

只々、真っ暗な空間。他には何もないが、なぜか安心感がある。

「どうしよ、どうやったら出られるんだろう.....」

そんなことを考えていると、お腹が大きな音を立てた。喉もカラカラで、何か飲み物や食べ物が欲しいと思った。

「.......は?」

その矢先、目の前には急に机と椅子が現れた。椅子に腰かけてみると、ふんわりしたクッションが疲労した体を癒してくれる。

机の上にはご馳走の数々が。食べきれない量ではなく、自分にとってちょうどいい量が並んでいた。しかも、好みのものばかりだ。脳が早く口に入れろと騒いでいる。

「ん~~、うまぁ~~。飯テロやぁ~~~~」

合っているのかよく分からない言葉を呟く。素晴らしい味だ。パンはふわふわ、目玉焼きは好みの完熟、スープはほっこりと体を温めてくれる。野菜や果物もしっかりあり、なんだかお母さんみたいだな、と思った。

飲み物もそうだ。一杯飲めばすぐにおかわりが注がれるし、今まで飲んだどの飲み物よりもおいしい。

「ふ~」

料理を堪能し、完食すると、お皿は溶ける様に無くなった。机も椅子も消え、代わりにふかふかソファが体を包んだ。もこもこのクッションもあり、私はしばらく、そこで一人の時間を堪能した。


どれだけ時間が経っただろうか。

「......あ、そういえば、修行が......」


どうしよう、修行のことなどすっかり忘れて寛いでしまった。戻らないと。

戻りたいと思うと、ソファもクッションも消え、闇すらどろどろと溶けてなくなっていく。

「!」

目の前には、あの弾幕があった。

「っく!」

どうにか体を転がして避ける。以前の疲労していた状態なら、とても避けきれなかっただろう。

「.......あれ?」

あんなに闇の中で時間を過ごしたはずなのに......現実では時間が経っていないのか?

「...何があったんだ?」

考える暇もなく、黒谷さんの声が響いた。

「おーい!そろそろ終わりにするぞー!集合~!」

「あっ、はい!」



「.......黒崎、なんかピンピンしてないか?ちょっと前まで傷だらけのボロボロだったのに。」

ハクトが尋ねてくる。確かに、今の私は服こそボロボロだが、顔や腕には全く傷がついていなかった。闇の中にいる間に治癒されたのだろうか?

「えっと.......多分、能力使った......」

「マジぃ?!」

ハクトの声が大きく響く。その声で黒谷さんが気付いたようだ。

「能力を使った、と?.......まあ、未制御だったらそういうこともあるか...追い込みすぎたな。まあいいや。これがあるし......」

何かつぶやいてから、黒谷さんはポケットから腕輪のようなものを取り出した。銀色に輝く軽そうなもので、私には何の変哲もない腕輪に見えたが、ハクトはそれを見た瞬間「うげっ」と苦々し気に声を漏らした。

「ししょぉう......それ、ほんとに使うの?」

「?」

腕輪を指さして苦虫を嚙み潰したような顔になっている。

「うん。あ、ハクトはやんないから安心してね。もう制御ができているはずだし。」

先生の言葉にハクトはホッと一息。え、それ、そんなに恐ろしいものなんですか....?!

「えっと、これは封じの枷って言って......」

先生が説明を始める。

「本来は捕虜や罪人の拘束用に使うんだよね。一回着けると物理的な力も魔力も全部吸い取られちゃうんだよね。んで、抵抗ができなくなるって代物なんだなぁ。......因みにこれは、訓練用に改良した奴で、魔力の制御をしてくれるやつだからそんなに恐ろしいものでもないよ~」

「へえ......」

頷いて、ふと、自分の左手首を見たら、そこには銀光する腕輪がはまっていた。何故か、すごくぴったりしていて外れそうにない。

「え、これ......」

「よし、じゃあこの状態でもいっちょやろう!準備はいいかな?」

念じても蔓も何も出てこない..........

私がようやく事の大きさに気付いた時にはもう遅く、再び地獄を見ることになるのだった。当然、黒髪紫目の閻魔大王さまも加えて.......



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