幻の四人目
「...............................」
来る場所が間違っていたようだ。いったん引き返そう。
「失礼しました」
「ちょっと待って!!!!!」
即、止められた。顔を隠していないほうだ。滑らかな絹のような金髪をツインテールにしている。目は桃色で、艶たっぷりに光っていた。大仰に腕ごと手を前に突き出していて、その光景を見られたことが恥ずかしかったのか、少し顔を赤くして手を引っ込めると、クッションで顔を隠していた方の隊員に「......いい?」と声をかけている。どうやらもう一人の方も女の子だったようだ。背丈的に8~9歳だろうか?こちらも触り心地の良さそうな銀髪だ。
「ぅ.....ん」
掠れるような小声で返事をして、こくりと頷いている。それを確認すると、金髪の方は大きく息を吸い......
「我ら!みんなの英雄、群青隊ッ!」
少女と一緒にビシッとポーズをとっている。......なにこれ
そして、先程の言動が嘘のように畏まって自己紹介を始めた。
「私は群青隊隊長、階級☆☆☆☆、木野 愛良よ。宜しく。」
どうやら隊長だったよう。続いて少女の方も自己紹介をする。
「あっ、ら、階級☆☆、ほっ、星菜 真白ですっ!よ、よろしくお願いします!」
空色と金色のオッドアイが美しい少女だ。垂れ目も愛らしく、庇護欲をそそられる。
「......あ、階級☆☆☆、黒崎白華です。これからよろしくお願いします。」
流れ的に私も自己紹介をした方がいいかと、名前と階級を口にする。...まあ、基本的にはいい人たちなんだろうが......
(キャラが濃い.......やってけんのかこれ......)
真白ちゃんはともかくとして、問題なのは愛良隊長だ。コミュ力が高そう......ものすごく不安である。
(あれ、そういえば)
副隊長はいないのだろうか?今のところ、隊長しかいないが......
「まっ、白華ちゃん含めて四人しかいないし、仲良くしてこーねー!」
「えっ、四人?」
だって、この場には三人しか.....
と、不意に後ろの扉がガラガラと大きな音を立てて開く。
「失礼。少し遅れた。」
入ってきたのは......なんだか中性的な顔立ちの人物だった。性別がよく分からない。まあどっちでもいいんだけど。それと、口元を覆うぴったりしたマスクに返り血がべったりとついていた。.......あれ、この組織、結構荒事もやる?いやスパイ組織(笑)って言ってるし......そんなもんか?