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能力測定の大波乱[日南視点]




「......よし。」

私は手元のクリップボードに目をやる。ここまで予定通りだ。最近、隊員が入ってくれなかったが、やっと一人増加した。最近はカムイもコタンも優秀な人材が増えているから、こっちもどうにかしないと必要なくなってしまうのよね......頼むよ、黒崎隊員...!


私たちが今いるのは能力測定室。小さな机に大きめの水晶玉が乗っているだけの狭い部屋だが、入隊して最初に行う初測定から、定期的に測定を行い、更に任務によって上げた功績や戦闘訓練の成績などで階級(ランク)を上げるか下げるか決める。その他にも、新たな属性や専門が発現しているかもしれないので、能力測定や能力測定室はとても大事なのだ。

属性とは扱える能力の種類であり、基本は『火・土』『水・光』『緑・風』『岩・闇』『音・雷』のペア5つで構成されているが、カムイやコタンでは花属性や伝説の『星・空』属性などを扱う隊員も現れたらしい。かく言ううち(ブラックホワイト)も影属性を扱える隊員がいるのだが。

専門はその隊員に適した戦い方のことだ。こちらは今のところ、派生形があまり見つかっておらず、『攻撃』『妨害』『支援』『速攻』『技巧』のこちらも5つで構成されている。しかし、ブラックホワイト一の隊長、青葉 忍(あおば しのぶ)は『隠密』という専門を獲得している。専門は属性に比べて種類が少ないので同じ専門の隊員ばかり揃ってしまうのだ。


「取り敢えずこれに手をかざせばいいんでしょー」

「ええ。」


(さて、この子はどんな能力...?)


一通り説明が終わったところで、いよいよ測定となった。

この水晶玉は優れモノだ。適正ランクを表示してくれるし、光の強さで能力の強さもわかるのだ。


「よいっと」

白華が手をかざすと、あたりがまばゆい光に包まれる。

「おわっ」

「わっ」

光は部屋中を照らし、数秒ほどしておさまった。


(ああ、びっくりした。この子、すごい強いみたいね。初期階級(ランク)☆☆(セカンド)はいくんじゃないかしら?)

階級(ランク)とは、その人の強さを表す存在である。一番下は見習い(プラット)、その上が(ファースト)、となっていき、最高ランクが......☆☆☆☆☆(ファイブ)。ブラックホワイトにたった3人しかいない、隊員たちの誉れ、憧れである。

因みに、階級(ランク)が上がるごとに待遇も良くなっていく。見習い(プラット)が相部屋の四畳なのに対し、一つ上の(ファースト)階級(ランク)では六畳半の個室となる。外出許可を得るのも簡単になっていくし、出入りできる場所が増える。つまるところ、階級(ランク)を上げれば暮らしの質も上がるというわけだ。

まあ取り敢えずは結果を見ましょう。


水晶玉に表示されたのは......


『推定階級(ランク)☆☆☆(サード)

 属性:影・闇・緑

 専門:器用万能(オールラウンダー)


「......は?」



「なんつー階級(ランク)......だって、初測定でしょう?...これは譲るしかないでしょうな。あのお二人に(紫電隊長と青葉隊長に)

案の定、私が測定結果を発表したら会議室は騒然となった。あの青葉隊長と紫電隊長だって最初は☆☆(セカンド)階級(ランク)だったのに......その一つ上?

「属性三つ所持......前代未聞ですな。しかも...そのうちの一つ、緑属性は......超万能属性では?」

緑属性は、基本属性のうちでは最強と謳われている属性だ。長きにわたる鍛錬を積んだ時、緑に関係する基本属性、水、土、光の属性も追加で使えるようになる...と言う、超万能属性。使いこなせればアタッカーにもディフェンダーにもサポーターにもなれる。この属性を引いた奴は当たりなのだ。

「てことは...持ち属性6つ?!もう七変化みたいなもんじゃないですか!」

「おかしい......ここまでおかしい素質は紫電隊長と青葉隊長以来ですよ......胃薬買わなきゃ」

教育担当達が早速頭を抱えているらしい。まあ素質の時点で自分たちを超えられちゃどう指導したらいいのか分からんよな......

「呼んじゃいます?カムイの特別教育担当。」

「あ~No.1の?今は比較的平和なので応じてくれるかもしれませんね。申請書送っときます。」

「あの人本業は能力管理対策部なのに......もう兼業しすぎてよく分かんなくなってますよね......」

自分たちだけじゃどうにもならないとの判断を下した教育担当達は、カムイの優秀な教育担当を臨時で呼ぼうと考えたらしい。簡単なところは自分たちだけでやって、その後お任せか......まあ悪くはないと思う。

「いっそのこともう留学させます?その方がよかったりするんじゃ......」

その後の言葉は聞こえなかった。いよいよ争いがヒートアップしてしまったらしい。争っているのは、言わずもがな紫電隊長と青葉隊長。あの二人は実力がほぼ互角なので、戦いがほとんど終決しない。やはり、黒崎隊員をどちらの隊に迎え入れるかで最初から揉めていたらしい。いつの間にか会議室は稲妻と激流と得体の知れない弾幕で溢れかえっていた。

いつものことだと、私たちは早々に会議室から避難した。



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