表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/59

異世界に転生してからのあれやこれ 過去2

 俺は異世界スキル『ミラー』を活用し、この世界での生活をスタートさせた。


 まずは情報収集。これは、実に簡単だった。

 

 なにせ俺は、一度見た相手であれば誰にだって変身できるのだ。


 街を歩いて顔の広そうなやつの姿を見かけたら、そいつの姿に変身し、酒場や神殿に行けばいい。


 そうして、何気なく人の話に耳を傾ける。

 怪しまれることはない。だって俺は見た目だけならこの世界、この街の住人だもの。


 予想した通り、やはりこの世界には様々なファンタジー生物が存在しているようだった。


 普通の人間ヒューマンの他、エルフやドワーフ、ゴブリンやオークなどのデミ・ヒューマンが存在しており、それぞれが小競り合いを繰り返しているとか。


 ここ『クーラ』はヒューマンの街なので今のところはデミ・ヒューマンには出会えていないが、俺はまだ見ぬファンタジー生物の姿を空想し、胸を高鳴らせた。


 やっぱ、ドラゴンとかもいるのだろうか――?


 しかし空想するより先にまず、俺は自分の生活を整える必要があった。


 なにせ俺はこのスキル『ミラー』と、転生する前身に着けていた地球の服以外、何一つ持たずにこちらの世界にやってきたのだ。


 どうにかして、金と宿を確保しなくてはならない。


 だが案外、それも簡単だった。


 くどいようだが俺のスキル『ミラー』は一度目にした相手の姿を真似できる。

 

 このスキルを使うと、恐ろしいほど簡単に泥棒ができるのだ。

 

 裕福そうな家にそこの主人の姿で入り込み、金貨や銀貨を失敬する――いや悪いことをしている自覚はあったが、こっちも必死だったのだ。


 せめてもの罪滅ぼしとして盗んだ金の半分は、貧しそうな家の中に放り込むことにしていた。

 ねずみ小僧気取りである。

 

 そして残った半分の金をつかって安宿に泊まり、朝がきたらまた『ミラー』で姿を変えて、情報収集に繰り出す――そんな日々を送って半月ほどたつと、俺の体はすっかりこの世界に慣れてきた。


 慣れると、別のことがしたくなる。

 冒険の旅に出たくなる。

 

 旅に出て、ゴブリンやオークと戦いてえ……!


 旅へと出立することを決めた俺は、準備を整えるため商店街へと向かった。


 自分の本来の体にぴったりな武器や防具を探すため、俺は『ミラー』を使わずに、左右を商店に挟まれた道をそのままの姿で歩いていた。


 すると――。


「あー! 地球の服着てる人めっけー!」


 声にふり向くと、そこには女子高の制服を身につけた女がいた。


 俺は初めて、俺以外の地球からの転生者に出会った。 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ