先生生徒が考えたこと。皆さんにも考えてほしいこと。
「なあ先生。」
「どうした風見。」
「男女格差って消えないもんだな。」
「なんだ急に。」
「だってさ、最近Youtube見てたら、昔のテレビ番組出てきてさ。女性アイドルのおしり触ったり、パンツ何色?って尋ねたり。そういうのが当たり前だったんだろ?驚いた。」
「確かに、俺が子供の頃は、そういうノリ、まだ残ってたな。…それが何だ。女性は不利だなって話か?」
「それだけじゃないさ。…じゃあ、逆を試そう。」
「ん?」
「先生パンツ何色ですか?」
「…え。」
「今、尋ねられてどう感じた?キャーやめて気持ち悪い!とか思いました?(笑)」
「気持ち悪いというより、なんか怖かった。別に興味ないだろって思った。」
「ハイ、確かに興味ないっすよ…(笑)
そう、今試した通りだ。女の子にパンツの色を尋ねるオッサンはよくいたとしても、男の子に女が…ってパターンはあまり聞かない。同じ言動だとしても、それを男がやるか女がやるかによって、だいぶ違って感じるんだ。でもな。」
「ん?」
「それは悪い事じゃない、むしろ当然なんだ。動作主が違ったら、印象も違うに決まってるだろ?」
「あぁ、そうだな。」
「だからね。男女格差について考える時、本当に大事なのは…。
格差をひたすらなくしてく事じゃなくて、人とのある程度の違いは、気にしすぎず受け取める事だ。全ての違いを気にしてちゃあ、非効率だからな。不快を減らせればいいわけよ。」
「その通りだ。男らしさ、女らしさは、捉え方を間違えたり、度が過ぎたりしなければ、魅力になる。人それぞれ違うのは当たり前、その違いをむしろ楽しもうって事だな。」
「そうだ。男女格差はつまり、無理やりなくす必要はない!」
「おぉ~(笑)」
「不快に感じる違いだけ、その都度省いてけばいいじゃん。意見交換して、これは嫌だった、じゃあこうしようってな。これこそ真のコミュニケーションだ、分かったか?」
「分かったぞ。じゃあ俺にも言わせてくれ。」
「おお、どうした。」
「俺に対してタメ口はやめよう。一応俺、先生だからな。」
「えぇ?今さらそんな事言うんすか(笑)」
「今までにも何度か言った。お前のその、場を選ぶような発言や生意気な態度は、周りを不快にするかもしれない。こういう話うざいだろうけど」
「うざいっすね」
「食い気味で言うな。一応、周りを代表して言ってるつもりだ、少しは感謝してほしい…。」
「…ホントは言いたくないけど、風見を思って言ってるんだぞ…って感じっすね。」
「そうだよ…。」
「ありがとうございます。」
「…ただのお礼だけど、風見がお辞儀して言うとか、貴重だな。」
「でしょ…!?普段できてない奴が、できた時は褒めたくなる心理っすよ。」
「自分で言うか…(笑)風見は本当はいいとこあるから、普段から良い奴でいてほしいけどな…。」
「先生も本当は良い奴ですよ。」
「“本当は”じゃなくて、普段から良い奴だよな?」
「そうっすね、先生は普段から良い奴ですね~(棒読み)。そうだ先生、彼女できました?普段から良い奴なら簡単に作れますよね?」
「プライベートだ、答えない。」
「いないって事でよろしいですね(笑)あ、逃げた。」
ほぼ毎日討論の場を設ける風見。なんだかんだで楽しんでいる先生。最後はただのイジり合い。今日も自由な昼休みを過ごし、それぞれ5限の授業へ向かった。