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第6話 仮面の番人

 雑兵を散らし、眼前の門を越える。薄暗い所々に、蝋の炎がゆらゆらと朧な姿を道標のように、ただ前進を続けた。

「しっかし、今更だけど正面突破が一番危なくないか?」

「奴らの本拠地に乗り込んだ時点でどこから入ろうが同じだ。それに、シズクはこの城の造りはよく知ってるだろ」

 以前、ザスディアの中心として機能を持った建造物。シズクは、この中の一室に籠って仕事をしていた。きっと、生き残りの中で一番真取に詳しいはずだ。

「……だが、二年も経てば作り直され別物になっている可能性はある。襲撃当時に破壊されていない道だけを通って辿り着ければ楽なんだがな」

 だが恐らく、何かしらの派手なアクションを起こせば、青龍の力で勘づいたカルが居場所を知らせる行為に出るかもしれないという期待はある。彼女が軽率な行動を取れない現状で、どこまで上手くいくかは計り知れないが。

 昼の陽が沈み始めた頃、斜め側より差し込む橙の光は城の柱を輝かせる。美しい石造りは、一点の傷を見せずに佇んでいた。あのときの攻撃は、城の中まで届いていなかったのだろう。

 ふと、足音が響く。我々のものではない、だが、巨体のハスターは、我々の存在を公にする事と同義。隠密行動は、残念ながら叶わない。

「伏せろ‼︎」

 シズクの声に、反射するよう身体を小さくする。先程空中でイドゥラの羽を掠めた電撃の一閃が、ハスターの尾によって弾き飛ばされた。

「ココロ、ハスターから離れるな」

「う、うん」

「ライア、敵が二人いる。私も出よう」

「あぁ、助かる」

 暗がりの先、ローブに包まれた二つの影。一人は、シズクと同じ程度の身長をした普通の人間。もう一人は、二メートル半を越える巨体を見せる長身。双方、不気味な仮面の隙間から鋭い眼光を見せていた。

「ナぜ我々がブラキュールの敵ヲ迎え撃たねバならヌ?」

「……」

 長身の方、虚な機械のような声をしている、恐らく、男の声帯だろう。小さな方は、一切として声を上げない。

「てめぇら何者だ」

 問いかける。明らかに、先程の雑兵とは違う。先程ハスターの弾いた電撃は恐らくこのどちらかによるものであり、中々に強力なものだと考えられる。

「私はギガノスノ幹部が一人シェルデン。こちラも同じく幹部、フランクリン」

 小さな方、フランクリンは口を開かない。引っかかる点がいくつかあるのだが、それを気にしている場合ではない。幹部が二人。早々に、とてつもなく大きな障害にぶつかってしまった。

「私がシェルデンの相手をする。ライアはフランクリンだ。攻撃を見ている分、いくつか戦いやすいだろ」

 シズクは語る。自身は未だ、シズクの戦いを知らない。故に、心配がつきまとう。それもまた、杞憂と思うことができれば楽に戦える。

「行ケ」

 シェルデンの言葉をトリガーに、バチリと静電気のような音がした。瞬間、真横に突如として姿を現すフランクリンの膝を、モロに受けて物理のまま受け身を取った。身体が、痺れている。

「ライア‼︎」

「気にすんな‼︎」

 恐らく、奴は電気の流れるスピードと似た速度で移動を可能にしている。瞬間移動などではない、ギリギリ、目で追える。これも、カルトレアに鍛えられていなければできなかった芸当だろう。

 この先、自らの攻撃は全て避けられる。ダメージを与えるなら、カウンターの瞬間しかない。

 次は、右から迫る。先ほどの通りなら攻撃に使用する箇所に微弱な電流を帯びている筈と捉え、構えた剣で受け止めて身代わりに。しゃがみ込んで、顎を下側から左の踵で貫いた。

 人体の急所は、身体の中心に集中する。脳天、顎、鳩尾、金的、どれも、先頭において真っ先に守るべきと語る物たちである。

 フランクリンはよろけるように、頭を抱えている。その隙を逃さぬよう、いや、素性を暴くように。脳天を貫く勢いで、仮面の上部へ刃を突き刺した。

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