ハーレムを、ぶっ壊す。
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ハーレムを、ぶっ壊す。
是非ご覧ください!
林の中を歩き続けて、かれこれもう1時間経った頃、ようやく街が見えてきた。
俺達2人が出た場所は見晴らしが良く、街はもちろん、その先の森も山も見渡すことができた。
「さて、まずは宿探しだな。」
「孤児院は?」
「その後で。あ、住人にちゃんと話を聞いてからのほうがいいか。」
噂が各地で脚色されて、あらぬことまで付け足されてることなんてザラだろうからな。まずは現地の人間にしっかり話を聞いてからでないと。
「.....お前も一緒の宿に泊まるか?別の宿っつっても無いだろ、この田舎町には。」
「いいの?ありがとう。優しいのね。勝手について来ても強くは追い払わなかったし。.....実はまんざらでもなかったりする?」
「アホ!んなわけねぇだろ。」
否定したにもかかわらず、少女は鼻歌を歌い出した。
「そういえばまだ自己紹介してなかったわ。」
「いいよ別に。どうせ“これっきり”だからよ。」
「..........。」
顔をなんとなく顰めて俺を見ている。...流石に大人気なかったか?でもこれっきりなのは本当だぜ。
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宿の予約は済んだ。
その後に色々と孤児院について聞いて回ってみると、色々と情報を得ることができた。
まず、女の子ばかりを集めているというのは本当らしい。
次に、その孤児院の院長はなんと魔道士らしく、魔法を使っているところを見たという人がかなりいた。
そして最後に....これが一番問題だろう。
孤児院のくせに里親候補をことごとく追い返しているらしい。何がしてぇんだよ。
これらの情報から、確実なことが2つある。
まず1つ、院長は間違いなくド変態で頭のおかしい奴だ。
そして2つ目、.....絶対に洗脳している。
孤児達は、里親候補を追い返されても何も言わないどころか、むしろ院長に加担して帰れコールをしてくるらしい。
そんなのどう考えてもおかしい。
「(今回は依頼されてねぇから殺すわけにはいかねぇけど、逮捕は確実にしておきたい。)」
ただ1つ心配なことがある。
「なあ、今からド変態の所に行くんだぞ?大丈夫か?ついて来て。」
「大丈夫だと思うわ。それに、一度孤児達に会ってみたいの。」
2人で丘の上の孤児院へ向かう途中、たくさんの住人達から礼を言われた。皆気になってはいたが、どうにもできずにいたらしい。
一度警察が出向いたこともあるらしいが、洗脳され、呆気なく帰って来たとのこと。
ちなみにその洗脳は未だ解けていないらしく、孤児院に対して酷く怯えているらしい。
「魔道士ってもっと高尚な種族のはずよね?なんだか残念だわ。」
「残念なのは俺もだ。種族ピラミッドの頂点が何してんだよ.......。」
ただ残念だった。魔道士全体に失望したわけじゃないけれど、この世界で一番、ロマンが生きているような存在だったから。
高尚な種族はどこまでも高尚であってほしかった。
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「......さて、着いた。」
孤児院の見た目は普通だな。まぁ当たり前か。
「ごめんくださ〜い!院長さ〜ん?」
「チッ!どうぞ〜。」
....ドアの外まで聞こえる舌打ちってなんだよ。
返事の声色に歓迎の色が見えない。
「失礼しま〜す....うぉっ!」
「その反応失礼じゃないですか?彼女達が自分から行なっているんですよ?」
俺の驚愕の声を聞いて真っ先に“コレ“だと理解できるなら、一応自覚はあるんだな...あるんだよな?
でも驚きもするだろ....、そんなに女の子がまとわりついてたら....。
ここにいるのが全員なら、孤児達は8人。皆年齢がかなりバラバラだな...。孤児と呼べないほどの大きい子もいる。
「いや、申し訳ない。あなたと少しでもお話しできたらと思いましてね。」
「.....里親になりに来たんですか?」
声ひっく!そんなに嫌か?普通喜びそうなもんだがなぁ.....。
すると、孤児達が口を開いた。
「ご主人様になんの用!?」
「近寄らないで!私、ここを離れる気なんてないんだから!」
言われた通り、次々に帰れコールしてきやがる....。
でも、あの感じ やっぱり、
「(...洗脳だな....。)」
これで確信した。あいつは魔道士だ。
本来、位の高いはずの魔道士がなんてことを....。
「ねぇ、そっちの子、だぁれ?」
小さな女の子が俺の隣を指差す。
身長が同じくらいだから、同い年だと思ったんだろうか。かなり興味ありげに見つめている。
その眼差しは、院長に向けていたものとは全く違う、年相応の、無邪気で純粋な眼だった。
「こんにちは。私 マヤっていうの。これでも、あなたより年上なのよ?」
! マヤっていうのかこの子は。
「そうなの?本当に?」
「ええ。あなたはまだ10歳にも満たないわよね?私は16歳だもの。」
「16歳?」
院長に背後から抱きついていた子が声を上げる。
「私も16歳!同い年だね!」
「あら!そうなのね!同い年の子は初めて?」
「うん!わあ嬉しい...!一度話してみたかったの...!」
本当に嬉しそうな表情をしているから余計に心苦しい。同い年の子なんて、街には沢山いたのにな...。
もっとマヤと話したそうだが、院長が先ほどからこちらをこれでもかと睨んでいる.... 好きにさせてあげればいいだろ!
「そちらの子、マヤと話したそうですねぇ?どうです?俺とあなたが話している間、マヤがその子達のお相手を...」
「お話したい!お願いしますご主人様!あの子と話してみたいです!」
「.....!!?」
信じられないとでも言いたげな顔だ。
残念だな。これがその子達の本当の望みだ。間違っても、お前とイチャイチャすることなんかじゃない。
「そんなにお願いしているのに、断るなんてあり得ませんよね?“愛されている院長様”が、そんなことするわけがありませんから。」
マヤが追い打ちをかける。結果、それがトドメとなった。
「分かりましたよ....じゃああちらの席に」
「外で話しませんか?せっかく良い日和なんだし、それに、女の子だけで話したいこともあるでしょうから!」
「はァ゛?何を言って...」
「ナイスアイディアだわ、それがいいわね。ねぇ、そちらの...」
「ダリアです!マヤちゃん!」
「ダリアさんもそう思わない?他の皆も、もし 女の子達だけで話したいって言ってくれるなら、外の世界のことを色々教えてあげられるわ。」
マヤがそう言うと、
「ホント!?」
「やったぁ!ねえご主人様〜!お願いしますぅ〜!」
「ッ!お前達!外のことなら俺が話してやってるだろ!?」
「“知らない女の子”のお話が聞きたいんです!」
「おねがぁいご主人様ぁ!」
「クッ...!」
さあどうする?洗脳の詠唱をここでしようものなら、俺は確実にお前を殺すつもりでかかっていくぜ?
今回は“そういう”依頼なんて受けてねぇから、殺さないつもりだったけど、お前の出方次第では.....。
脅しの意味も込めて、鞭のグリップに手をかける。
それを見て、応じた方がいいと思ったのだろう、
「わ、分かった!外で話そうじゃないか...!」
よォしよし♪ それでいいんだよォ〜♪
「じゃ、ここは頼んだぜ。」
「ええ。負けることはないと思うけど、一応気をつけて。」
「ああ。」
あのど変態院長を外に出してから俺も出る。
途端に、中からキャーキャー 楽しそうな明るい声が聞こえてきた。
あいつは相手の懐に入るのが上手いらしい。なるほどどうりで俺も........ゲフンゲフン。
「クソッ、俺の女達が...。」
小声だがしっかりハッキリ聞こえた。
お前には俺がいるだろ〜!
「さっ!行きましょうか!」
「は?話ならここでもできるだろうが。」
急に口悪くなったなオイ。
「ここで”お話“するんですか?」
再び鞭に手をかける。
「!?ど、どういうつもりだ!」
「殺してやろうか?」
「!!ヒッ......!!!!」
詠唱か鞭を繰り出すのが速いかだ。
杖も詠唱も無しに魔法を使えるのは、
伝説の魔道士、” ヨハネス “ だけだ。
さぁどうする?お前が少しでも変な動きをした途端、俺はここでカタをつける。
今死ぬか、後で捕らえられるか。その2択。
「.....!どこに行くんだ....!!」
「あっちの高原がいいな。」
この孤児院の向こうに、森へと続く高原がある。殺り合うならそこがいい。
「.....!!分かっ、た....!!!」
何をするか分かったみてぇだな。
どうせ大人しく捕まるつもりはねぇんだろ?
だったらコレしかねぇ。
「じゃあ、 行きましょうか ♪ 」
〜ハーレムを、ぶっ壊す。〜
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