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これっきり?

更新致しました!展開に何となく変化が?是非ご覧ください!


タディッチと愉快な仲間達をぶっ殺し、依頼者のホーキンスからたぁんまり報酬をもらって、しばらく経ったある日、


俺は家を捨て、列車に揺られていた。


こんだけ目立っちゃあ、俺は「セイギのミカタ」として良い顔をし続けないといけなくなるからな。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「領主が呼んでるだ!?」


謝礼金を受け取りウハウハしていた俺に、手紙が届いた。それを呼んで俺は、先程のようにビックリ仰天してしまったわけだ。

まあ、自分達を悩ませてた問題を消したんだから、礼を言いたいって言うのは分かる。

誰だって礼を言われるのは悪い気分じゃないはずだ。

俺だって、俺が俺じゃなければ素直に喜んでたさ。

でもなぁ....


領主の命令を無視する訳にもいかねぇから、ちゃんと役場には出向いた。

向こうは大袈裟なぐらい礼を言ってきて、クッソデケェ額の謝礼金を寄越そうとしてきた。

金は幾らあっても良いなんて言うが、俺はそこまで金に興味はない。

謙虚に断ると、都合の良い解釈をしたのか、次々に褒め称えられた。


「なんと素晴らしい!」 「人格者だ!」

「この世にこんなお人が....!」


口々に俺を讃えるが、人を嬉々として殺す奴にそれは無いと思う。

それに、苦戦してない勝負でここまで褒められると何故か罪悪感を感じてしまう。


はっきり言って、早く帰りたかった。


なんとか帰してもらった帰り道、周りからヒソヒソ声が聞こえた。男もだが、主に女の声だ。


「あの人が...」「すごい...」 「イケメン〜♡」

「カッコよくない?」「ね!分かる!」

「ファンになりそう」 「正義の味方って感じ」


誰だ正義の味方なんて気持ち悪いことを言ったのは。

カッコいいっていうのは、まぁちょっと正直言って嬉しい。

だが正義ってなんだ!人殺しが正義になってたまるか!


まぁ、いつかは収まるだろう.......



な ん て こ と は な か っ た ! !



赤黒い髪の男→ああ、エドワードか。

紅い眼の男→ん?ああエドワードか。

背が高めの青年→もしかしてエドワードか?


いやアホか!

クソッ 有名人過ぎる!このままじゃ不自由まっしぐらだ!


そう思った俺は、 この街を出て行くことに決めた。

鞭の強化やら回復薬補充に金を使った後、最低限の荷物を持って駅へ向かう。


あの家は.....まぁ、近所のガキどもの秘密基地にでもなるだろう。あるいは酒飲み達が集まる丁度いい隠れ家にでもなるんじゃねぇかな。


まぁそんなことを思いながらこの街を飛び出し...


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


今に至るわけだ。

さぁて次はどこに身を移すか......


....なんて、もう決めてある。



「ここだな。」


ケットシーン。


一応街を名乗れるといったぐらいで、前いたグランターズよりもずっと田舎だな。

街の郊外にはグランターズ以上に深い森がある。もはや樹海レベルだな。


ここの治安は良くも悪くもなくといった程度だが、かわりにモンスターによる被害がかなり多いと聞く。あの山とか森に住んでる奴とかだろうな。


別に殺しの対象は人じゃなくたって構わない。

生物であることに変わりはねぇからな。


前みてぇに家を建てるほどの金はねぇから、取り敢えず今日は民宿かなんかに.....ん?


「被害届.... ガスタノスの群れだと!?」


アイツらが群れてるってことは、大ボスのでっけぇオスがいるはずだ。アイツらは一夫多妻制、オスの周りに、時には100匹以上のメスが集まる。


「あららららぁ... ハハッ!来て早々ツいてやがる...!」


早速被害者の元へ向かう。宿探し?知らねぇな!


「フフ〜ン♪」


「ねぇあなた、ガスタノス狩りに行くの?」

「!」


声が背後から聞こえて振り向く...が、


「誰もいねぇ...」

「下よ下、ほらこっち。」


下を向けば、....ガキか?男、じゃなくて女の子。

!この耳の形...ドワーフか!


「悪りぃ悪りぃ。そう、狩りに行くんだぜ?」

「そう。じゃあ私も連れてって。」

「は!?」


流石に危険だろ.... 腰に剣をぶら下げてはいるが、デケェ奴等、しかも群れに向かうのは自殺も同然だ。

「ダァメ!危険だろ?ここは俺に...」

「私依頼されたのよ。」

「へ?」

「依頼されたの。ここで退治屋やってるから。あなたも行くんでしょ?ついでに一緒に行きましょうよ。」


......マジで?


「....名前は?俺は「今回限りの協力だもの、名乗る必要ないわ。さ、早く行きましょ。」



ッッの!可愛くねぇガキ!!!!!



ーーーーーーーーーーーー



「は!?16歳!?やっぱりガキじゃねぇか!」

「....16歳はガキではないわ。それにその見た目からして、あなたも大して変わらないでしょう?おいくつ?」


被害者の家に出向き、依頼を引き受けると報告をした俺達2人は、森へ向かいつつ、お互いのことを話していた。

出身地の話から始まり、ほんの軽い身の上話、そして.....年齢のことも。


「俺は37..... ハッ!」

つい前世の行年を言ってしまい、ハッと口をつぐんだ。


「37?」

「間違えた、21だ、21。」

「ほら、大して変わらないわ。私がガキならあなたもガキよ。」


....そうだけどそうじゃねぇんだよ....

まぁいいさ。わざわざ本当の事を言う必要はない。退治したらこれっきりだからな。


そうこうしてる間に森の入り口まで辿り着き、俺達はそのまま歩みを緩めずに中へ入って行く。



ーーーーーーーーー



.....結構歩いたな〜。不気味〜な雰囲気がいよいよ濃くなって、いつ群れに出くわしてもおかしくない状況だ。


「もういつ出てきてもおかしくはないけれど、今日は気温が高いから、奴等はきっと水場にいるはずよ。水場を目指しましょう。」

「あぁ、そうだな。」


....冷静だな....戦い慣れているんだろうか。まぁそりゃそうか。退治屋だって言ってたしな。


「まぁでも、アイツらはメスでも3m、オスで5mぐらいだから、すぐに見つか...... あ。」


向こうに草をムッシャムシャ食ってる、イノシシとサイをかけ合わせたような姿のバケモンを発見。


「いたわね、1匹。 ...いえ、2匹、3匹......7、8...」

「遠くの方にも何匹かいるな。見えるか?」

「ええ。....ねぇ、視界右の奥の方、あの一部だけ明るくなってる所、水場かしら。」

「ん?.....あぁ!だろうな。」


俺がそう言うと、女の子は腰に下げた剣を鞘から取り出す。


「オイ、まさか...」

「木、邪魔でしょう?大丈夫よ、すぐにまた生えてくるわ。」

「いや森の心配じゃなくて!...思ってたより大胆なんだな?」

「ふふ、そうかもね。でもいいじゃない。

どうせ勝つもの。」


構えた剣が光り出す。 魔力を込めているからだ。

しかしこの量....感じる力....!



コイツ、並みの奴じゃない....!!




「 狩・斬・傷 (シュザンショウ)


(サイクロン) ”ジャガー・スレイ” 」




[ビュォォォオオオオッッッ!!!!!」



剣を振り下ろした瞬間、全てを切り裂く疾風が吹き荒れた



[ギャゴォオオ!!! ギャゴア゛ァア゛!!!」



ガスタノス達の汚い悲鳴が一帯に響く。

予想通りそこは水場で、かなりの数がそこに居たらしい。

やっと止んだかと思うと、剣を振り下ろした先は、

広範囲にわたり あの疾風によって乱雑に斬り刻まれ、そのせいで日光が差し込み、明るくなっていた。


「ま、こんなもんね。 あらかた退治できたと思うわ。ボスはいないようだけど。...いかがかしら?これで私がガキじゃないってこと、解ってもらえたかしら。」

「......!!ハハッ!ああ!お前すげぇな!大した奴だ!」

「ふふん、でしょう?」


俺には殺し以外にも好きなものがある。

それは、



「さ、残りの奴らもチャチャっと倒して帰りましょ。」



....実力者だ...!!




〜〜〜〜〜〜〜〜〜

( ドワーフの女の子視点 )


さて、あとはどれくらいかしら。

...それにしても、この人、最初会った時からの、この感じ...ただ者じゃ....


「来たぞ!!ボスだ!!!」

「!!!? (嘘!!!?)」


[ドドドドドドドドドドド!!!!!]

[グォオオォオア゛アァア゛アア゛ア゛!!!!]


もの凄い勢いで木をなぎ倒してこっちに来る!

ボスだけじゃない、仲間達も.....!!

マズい、早くもう一発...!


「”ジャg......」




「 裁・獄・炎 (サイゴクエン)


(フレイム) ....



”バジリスク ” 」





[ギャゴォオオァアア゛ア゛アアア゛!!!!!]


[ズガァァァアアアアン!!!!]



.................え? 何?何が起きたの? えっ?

ボスが...仲間が... ! 飛び散ってる....!肉片になって.....!

....何この焦げたにおい、森は?.....嘘.....

ボスの後ろの森一帯...... 焼き焦げて...何も残ってな......!



「残念!」


「!!!」


「俺のが強かったなぁボス!」


この男....!! この人が....、これを.....!!?


「よォ、大丈夫か? 腰抜けてるけど。」

「!! (サササッ)」


慌てて立ち上がる。よかった、ちゃんと立てたわ...。


一瞬過ぎて訳が分からなかった。瞬きすらしてなかったはずなのに、全く、何が起こったのか...!!


ただ、 一つだけ判るのは、


「ボス倒しちまったし、あとはチマチマ残ってるメスだけか。 ....なぁ、森の一部真っ平らにしちまったんだけど...これ、警察行きか?俺...。」



「......ねぇ、捕まらなくてもいい方法があるの。」



この人、



「マジで!?...まさか消した植林しろとかか?」

「いいえ、もっといい方法よ。」



この人、面白い......!!!




ーーーーーーーーーーーー


「なぁ、森 本当にこのままでいいのか?結構ごっそり消えたけど。」

「平気よ。どうせ皆恐ろしくて寄り付きすらしなかった森だもの。それにホラ、あっちの方は無事だし。」

「そっち方向には攻撃しなかったからな...。」


女の子が「まだもう少し話したい」なんて言うから、俺達は適当にそこら辺に座って昼飯を食うことにした。

俺はもちろん食料を持ってきていたが、向こうも持参してきたらしい。それも結構な量を。


「ところで、あなたのその鞭は何が使われてるの?そこらに売ってるものとは思えないのだけど。」

「これか?これは旅の武器職人に作らせた特注品だ。イグニスリザードの尾と、仕上げに俺の魔力を込めてある。性能は武器屋のものの倍以上!

だからこそ使い慣れるのに時間はかかったが、今となっちゃ、これ以上ない程手に馴染んでるぜ。 」



“相棒”のことを聞かれて、つい調子良く話してしまった。


「(旅の武器職人....いや、まさかね。) イグニスリザードの尾...随分珍しい素材ね。しかも特注..... だいぶ費用がかかったでしょう?」

「便利屋やってるからな。結構景気は良いほうなんだ。まぁ、それでも鞭全体でその時の全財産の6割くらいは使ったかな。」


彼女は納得したように、目線を鞭に向けたまま、軽く4回うなづいた。


「その大きさだと、広範囲の攻撃は 技を使わない限り不可能なんじゃないかしら?」

「いや、魔力込めればその分伸びるぜ。ビヨーンと。」

「へぇ!使い勝手がいいのね。」


そうそう。意外と有能なんだぜ?

と、彼女の言葉の後に続けた。


「.......ねぇ、またどこかに留まって便利屋を始めるの?」

「ん?まぁそのつもりだぜ。」

「ダメ。」


ダメってなんだ!


「ダメってなんだ!」

「宝の持ち腐れだわ。こんな所に留まっちゃダメ。......世界を歩くべきよ。」

「世界?」

「そう!!」(ダンッ!)

「!?」


女の子は突然、力強く立ち上がった。


「世界よ世界!こんなにも広い世界を歩かないなんて、しかもあなたが歩かないなんて!そんなのダメよ!勿体無いわ!」


語気がどんどん強くなり、今までの冷静な彼女とは全く違う雰囲気に、俺は呑まれてしまった。


人魚(マーメイド)の海底都市!

鳥人族(ハーピー)の天空への階段!

訪れた者全員が二度と帰らなかった死の孤島もそう!

まだ まだ こんなものじゃないわ!もっと沢山のロマンが眠っているのよ!この世界には!

それなのに人生はたった一度きり。だったら少しでも早く冒険に出ないと!

....どうしようもない後悔なんてしたくないの。」



「.............!」



「....ねぇ、1度しか言わないわ。だからよく聞いて。私と」

「駄目だ。」

「!!」



一瞬、本気で心が揺れた。強くザワついた。

つい、自分のことを見失ってしまうほどに。



「駄目?どうして?」

「どうしてもだ。」


疑問を抱いているにもかかわらず、この子の眼は相変わらずどこまでも澄んでいて、とても綺麗だ。


..........この子ども特有の眼が嫌いだ。

少しも、相容れない気がして。



この子と俺の見てきた赤は違う。

モンスター退治なんかよりもずっと、酷いことを数えきれないほどしてきた。



俺にとっては見慣れた赤も、この子には(おぞ)ましく映るだろう。



なるべく、この綺麗な眼を汚さないでいてやりたい。



.......俺と一緒にいるべきじゃない。



「お願い、一緒に来てほしいの。一人旅も勿論良いけれど、不安は多いわ。あなたみたいな強い人がいると心強いの。」


「....................俺が殺すかも。」


諦めてもらう為に少し脅しをかける。

彼女は驚いたように目を見開いた。

しかしすぐに、


「その時はその時よ。あなたを(うら)みはしないわ。」


.....意味、ちゃんと解ってないな。

言わないから当然だけど。言いたくもないしな。


「とにかく駄目だ。悪いな。」

「.........そう。」


顔はむくれてるが、解ってくれたんだろう。



そう思っていた。


ーーーーーーーーーーー


......来て早々だが、もうこの街にもいられない。

一部とはいえ、森を焼け焦がして真っ平らにしちまったからな。


町に戻るわけにいかない俺は、林の奥の、別の街へ行くことを決め、日が暮れないうちに着けるよう、少しだけ早く歩いていた。


「........んで、なんでついて来てんだ?」

「あなたの行く所に行こうと思って。」

「......無理なものは無理だからな。」

「あら、何の話?私はただの気まぐれで、あなたについていくだけよ。」


.......とぼけてるが、魂胆は見え見えだ。

思い遣ってやってるから遠ざけたのに。


「これからどこへ行くの?やっぱりこの方向だと、リシエンタかしら?」

「ああ。とりあえず今日はそこに泊まろうと思ってな。」


リシエンタも中々の田舎町だが、ケットシーンよりかはマシだ。

レトロな街並みが綺麗だと聞いたことがある。


「あの街最近良い話聞かないわよ?なんでも、変な孤児院ができたとかで。」

「孤児院?」

「そう。孤児院というか院長が変人?らしくて、孤児が女の子ばっかりなんですって。」


........アブねぇな。


「風の噂で聞いた話だから本当かは分からないけれど、本当だったら大した変態よね。」

「.....変態で済めばいいけどな。」


ロクな奴じゃないことは確かだろうけど。

とにかく、事の真相は訪れてみなければ分からない。


林を通り抜ける心地良い風に吹かれつつ、目的地へと急いだ。







〜 これっきり? 〜







ご閲覧ありがとうございました!

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