ダンジョンへ
ひっさしぶりの更新です!ぜひご覧ください!
ーー...私こと、ルチアーノ・ファルガスはここの所ずっと退屈していた。
暖衣飽食なんて贅沢なことではあるが、長くその状況が続けば当然退屈になる。他のマフィア共との抗争やらが始まれば少しは楽しくなるが、奴等だって、我々に迂闊に喧嘩を売ってくる馬鹿共ばかりじゃあない。
全ては他の奴等が恐れるほどに力をつけてしまったことが原因だが、まだ足りない。私が、我がファミリーが抱く“野望”の為には、もっと力が要る。私や上層部だけでなく、全体が力を持たなければならない。
ダンジョン攻略は、財宝や強力な魔法具を集めるばかりでなく、各々の経験値を高めるためにも行っている。その度に多数の犠牲は出るが、弱者をふるいにかけた結果がそれならば仕方がない。とにかく、ダンジョン攻略に苦戦しているようでは全然なのだ。
だがしかし、最近“面白い”ことがあった。
「(エドワード・バンディか.....。)」
「伝達が遅れて申し訳ない」とフェルドの間抜けが新しく寄越してきた情報で、やはり赤毛のラット(ラビー・ラットというらしい)は奴の仲間に入っていたことが分かった。
他に、例の白髪オッドアイのドワーフがマヤ・ルーツカ、端正な顔だが口が悪いクソガキのガロ・ルヴァン.....メンバーは4人と少人数だが、バラエティ豊かで面白いじゃないか。
「(特にお前だ...エドワード。)」
得体の知れない奴だが、集まった情報に目を通したり話を聞いたりした限り、なかなか面白い奴だ。特に拷問方法はユニークで気に入った。
「(早く顔が見て見たいもんだな.....。
.....まぁ、今回のダンジョンをクリアすれば、“いつでも見られるようになるが”。」
葉巻を取り出し、咥え、火を着ける。
味わうように舌で煙を転がした後、押し出しように煙をゆっくりと吐き出した。
「(...うん、美味い。)」
身の回りのことを部下にされるのが癪なので、普段は誰も入れない私の現在のオフィスに一筋、煙が緩やかに走って行く。
「(ワインも開けるか。)」
未だ容姿を知らぬ男を肴と決め、私はワインラックへと足を向けた。
ーーーーーーーー
ー....歩き続けて早2日、俺達はあのアベコベな地形を抜け、樹々が茂る岩石地帯へ足を踏み入れていた。今日は霧がかかっており視界が悪いが、構わずダンジョンへと進んでいく。
「相変わらずあなたがいるとモンスターが出て来ないわ、エド。別に構わないけど、つまらないものね。」
「まぁいいじゃねぇか、ダンジョンまでの体力温存になってんだから。」
...とは言っても、正直俺だってつまらない。しょうがないことだとは思うが、もっとこう、飛びかかってくるぐらい気概の良い奴はいないのかと嘆きたくなる。
「前みたいに兎っぽいモンスターでも飛び出してこねぇかなー!」
「あぁあの時の!ガロ君のお料理美味しかったわ〜♪」
「....そうかよ。」
照れるなガロ。分かりやすい奴....。
「!お前料理ができるのか!?クソガキのくせに!?」
「んだとコラ!!」
「やめろガロ。クソガキっぽいのは真実だ。」
「エドワードまで....!!」
「うるさいぞお前達。.......もうすぐ抜ける。」
「!」
フェルドの声に前を向くと、気づけば視界は開けていて、大きな陸地の対岸が見えていた。もうすぐダンジョンのある崖へ出る。
「やっとか!待ちくたびれたぜ!」
ガロの言う通り、ようやくだ。時間としては、ダンジョン攻略の話を聞いてから2日3日程度しか経っていないはずだが、随分焦らされたような気がする。それだけ期待していたんだろう。
歩みを進めるごとに木々の向こう側の景色が鮮明になっていく。背中側から吹く風が背中を押してくれているようでますます気分が高ぶる。
いよいよ、この森を抜け、崖の下を拝む。
「(やっと来たぜ、ここが........)」
俺達が挑む初のダンジョン、“テトス・ラドアの1000の墓”.....!!!
ーーーーーーーーー
崖の上から辺りを見渡せば、対岸と完全に分裂しているというわけではないらしい。
つまり、クレーターのような、半径数十kmはあるであろう穴がデカく俺達の目の前に広がっているだけで、この場所は何事もないように一つの大陸として繋がっているのだ。
ダンジョンはその穴の中に、樹々が生い茂り、所々大きな岩石が突出しているその穴の真ん中に堂々と鎮座している。
「早く行こうぜエドワード!!」
「分かってるさガロ。さぁ、お前ら俺に掴まれ!ダンジョンまでひとっ飛びするぞ!」
困惑しているフェルドを無理矢理掴まらせ、ダンジョン近くの一際大きな木の枝に鞭を放ち、しっかり巻き付いて固定されたのを確認した後、軽くフッと崖から飛び降り、魔力により伸ばした鞭の胴をグングン縮めつつ、目的の場所へ移動して行く。
「ヒャッフゥーーーーー!!」
ガロやラビー、マヤはもう慣れたもので、楽しむ余裕さえ見せているが、フェルドは違った。
このデカい穴中に響くぐらいの雄叫びをあげつつ、俺に必死にしがみついていた。
「ア゛ァアア゛ーーーーーーー!!!!!」
「落ち着けフェルド!!!耳が壊れる!!!」
汚い叫びを嫌というほど聞かされながら、俺達は無事、目的の場所へ辿り着いた。
また若干スピード調整が上手く行かず、結局ブレーキ代わりにまたダンッ!と木を強く踏みつけたら、またもや見事に木がバキバキと折れ曲がってしまったのは、まぁ、ご愛嬌だ。
ダンジョンに近づくと、遠くで見ていたよりもずっと大きく、また、綺麗な風貌をしていることに気がついた。
全体は大きいが故に一目では見ることはできないが、白花色の石造りで、太く立派な柱は青竹色の苔が生えており、それが良い味となっている。
蝶やら小さな虫が辺りを飛んでおり、周りの樹々の下を歩いていると、木漏れ日の光によって辺りがキラキラと照らされ、どことなく神秘的な雰囲気を纏っているようで思わず溜め息を吐いた。
同時に感じた。ここが本当に1000人を葬ったダンジョンなのかと。
「(こんなに綺麗なのにな.....。)」
見た目での判断は勿論当てにならないが、やはり想像ができない。ダンジョンというからには、入れば中に夥しいほどのモンスター達がいるのやも知れないが、今この段階では気配を微塵も感じない。
「(中は異空間的になっているのかもしれないし、当然といえば当然か?)」
“ダンジョンは全力で挑戦者を殺しにくる。目に見えるものならまだしも、目に見えない殺気を常に感じる”と、フェルドは言っていた。実際にコイツが経験して言ったことではないからかほんの少し懐疑的だが......。
「(まぁ何にせよ、入ってみなきゃ分からないか。)」
ラビーの様子を見てみても、何かを警戒しているような感じはしないし、今もああやってマヤに捕まえた蝶を見せている。ガロも至って普段通りだな。ただフェルドは少し怖がっているようだが。
「おーいお前達!とりあえず入り口を探そう!そんで入れるようなら、早速行こう。」
声をかけると、三人は返事をして俺の元へ駆け寄ってきた。フェルドも少し遅れて着いてきたが、
「いいか!?俺は絶対に入らないからな!!何があっても!!!」
「分ぁかってるって。攻略は俺達だけでする。お前はちゃんと上司の皆様に俺達のことを報告しておけよ。」
「言われんでもする....!!!」
大袈裟な奴だな.....まぁでも確かに、ここからは気を引き締めていく必要があるな。
どうしようもない興奮を内包しながら、入り口を探すべく、俺達は歩いた。
ーーーーーーーーー
???「ンン??オォ〜??フフ、チャレンジャ〜is coming だネ〜〜。
喰い出があるといいがネ...........♡」
〜ダンジョンへ〜
ご閲覧ありがとうございました!次回も是非よろしくお願いいたします!(更新頻度を高めるよう努力いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします...!)




