絶好調!!
ご閲覧ありがとうございます!今回、ガロの強さ、魔力型が露わになります!
ぜひご覧ください!
〜前回のあらすじ〜
洞窟の中のモンスターを倒したら、ついでに側にあった鮮やかな青い花を散らしてしまった。
すると、その花が突然眩く光りだし、思わず目を瞑った。
目を開けた時、そこは広大な乾燥地帯。夕焼け色の岩壁と、絶壁から隆起した岩塔群が俺達を出迎えた。
「.....ここどこだよ!!?」
そんな戸惑いの声も乾いた風にさらわれ、俺達3人は、しばらく呆然としていた ーーー。
ーーーーーー
[ ブロロロロロ..... ]
ゴツくて車高の高い大型車が、ガタガタと不安定な道をその大きなタイヤで走っていく。
「本当に助かった。ありがとう。」
「礼はいい、旅は助け合いだぜ。」
俺達を拾ってくれたこの気前の良い渋いオヤジはハンクといい、旅をしてもう30年にもなる大ベテランらしい。今までにも、沢山の冒険者や旅人を、この”愛馬“に乗せてきたんだとか。
「ボウズに嬢ちゃん!あんまり窓から身を乗り出すなよ?危ねぇぞ?」
「分かってる!大丈夫だ!」
「気をつけますー!」
なんて空返事。
2人は車の天井窓から体を乗り出して、外の風景と風を楽しんでいる。
今走っているのはさほど広くもない道だ。少し運転を誤ればすぐさま絶壁の下へとさようならだろうが、ハンクは こんな道にはもう慣れっこらしく、まるでここが平坦な道であるかのように大胆に車を走らせる。
「そりゃあ“迷いの花”だ。」
「迷いの花?」
「ああ。
“その花弁、散らせばたちまち花は光りだし、彼等を迷わせる。”
花の詩だ。彼等ってのが冒険者や旅人。つまり、俺やお前達のことだな。」
ハンクはそのまま、迷いの花についてを話してくれた。
「砂漠の真ん中だろうと 険しい山岳地帯だろうと、
迷いの花は構いなく咲く。だから旅人や冒険者は、道に迷ってもうどうしようもなくなった時、いざって時に、この花を探すんだ。そのままそこで野垂れ死ぬより 運に賭けてみるほうが賢い、だろ?もしかしたら人里に出るかもしれないしな。」
「へぇ、凄いな。転送させる花なんて聞いたこと無かったぜ。」
ってことはなおさら、ここは元いた場所から遠く離れた土地なんだろうな。ダンジョンの街へ行けなかったのは残念だが、これはこれで良いもんだ。
「街まで送ってやりたいが、どうする?」
「あんたの迷惑にならない程度の所で下ろしてくれ。街へは歩いて行きたい。」
「ハハッ!そうか。」
「エド!下見て!早く!」
マヤがいつになく急かすので、窓を開けて絶壁の下を覗き込むと、
「! モンスターか!」
恐竜でいえばラプトルに似ているモンスターが、群れを成し、土埃を舞わせながら同じ方向へ向かっている。
そしてその後ろから、一体の大きなモンスターが迫っているのが見えた。
「弱肉強食......。」
ガロがぽつりと呟いた。
すぐに後ろへ流れていってしまったその光景が、俺にはなんとなく美しく思えた。
「!! オイ!アレ!上!」
ガロの声に、反対側の窓から身を乗り出して岩壁の上を見ると、
「! さっきの奴と同じか!」
さっき絶壁の下を走っていたラプトルのようなモンスターが、10体ほど岩壁の上からこちらへ迫ってきている。
ヤベェぶつかるぞ!!
「危ねぇ!!体引っ込めろ!!」
ガロとマヤが一斉に不安定にガタつく車内に雪崩れ込む。
「くッ!!!」
既の所で車はモンスター達を躱した。が、
「クソッ!しつこいな!!」
ハンクが車のスピードを上げてもなお奴等はしつこく追ってくる。
「俺がアイツらを倒してくる。マヤとガロは車内に.....ガロ?あれ!?ガロ!」
「ここだ!」
「!?」
車内から上を見上げると、車の上にガロが立っていた。武器であるバトルハンマーを手にして。
「車内にいろ!俺がやる!」
「いいやここは任せてくれ。
いい機会だ。お前らに俺の強さを示すッ!」
そう言ってガロは車から飛び降りた。
「車!一旦止めてくれ!」
「正気かお前!!?後ろにはモンスターが...」
「いいや......、
ガロがいる。」
ーーーーーーー
( ガロ目線 )
[ ズザザザザザザッッ!! ]
車から飛び降り、モンスター共の前へ。
[ ギャア!ギャア! ]
足手まといにはならねぇってところを、
「ギャアギャアうるせぇ!!ザコ共が!!」
見せてやる!!!
魔力を足に集中させ、高く上へ!!
「 “ 打・打・墜 ( ダ ダ ツイ ) “!!」
振りかぶり、
空中に、
「“ 強化 ( ストレンス ) !! 2( ダブル ) ”!!!」
叩きつける!!!
「 “ グリズリー・スタンプ ” !!!」
[ ッッダーーーーーーーンッッッ!!! ]
...地面がクレーターみてぇに凹んで、モンスター共も一緒にぺっしゃんこになった。
「...ッハ、」
絶・好・調 !!
「ハッハ!!どうだ!!見たかお前ら!!」
〜 エドワード視点 〜
.....ここからでも、地面は大きく潰れているのが見える。
道は大きく抉れ、とんでもない“足跡”が残った。
いやいやいやいや......これは...........
「想像以上だ.....!」
〜 絶好調!! 〜
ーーーーーーーーー
日が暮れてきた頃、開けた場所で車を止め、俺達は夕食の準備をしていた。
ハンクの車の荷台には様々な食料が積んであり、今夜は自らが倒したモンスターの肉と香草で、具沢山なスープを振る舞ってくれるらしい。
手伝いを申し出たが、客人は黙って任せていろと言われたので、その豪快で繊細な調理工程を見つつ、一息ついていた。
「ガロ、水。」
「悪りぃ、...あ、りがとう。」
「ハハハ!ぎこちないな!」
ガロに手渡した水筒は魔道士が開発したもの。通称、魔法の水筒だ。そのまんまだな。
直径7cm、高さ15cmほどの決して大きくはないこの水筒に、なんと1L弱入る。しかも中の液体の温度が変わることがないという優れ物。
旅をするにあたって、欠かすことのできない魔法具だ。
俺は第2の街、リシエンタの道具屋でコレを4本買っておいた。マヤが買っていた分と合わせれば、2人で5L弱持ち歩いていることになる。
ガロも水筒を持っていないわけではなかったが、邪魔になりかねないほど大きなものだった。だからあの地下壕にいる時に置いていけと言っておいた。
「それにしても凄いな!まさかあそこまで強いとは思ってなかったぜ!ていうか強化なんて初めて聞いたぜなんだあr」
「あなたのバトルハンマー、何を使ってるの?ねぇ、」
「ボウズ!お前大したもんだな!いや驚いたz..」
「ウルッセー!右から左からぁ!!」
「あらごめん。」
「.......お前らに認められてよかった。それとマヤ、このハンマーの素材はオレも知らねぇ。ガーベントの仕事用のハンマーを、親父が旅の武器職人に バトル用に魔改造してもらったヤツなんだ。オレはソレを貰い受けただけ...だから深くは知らねぇ。」
「! 旅の.......、そう。」
.......まさか、な。
「スープできたぜ。ほら。」
「!ありがとう。美味そ〜...!」
マヤやガロもハンクからそれを受け取り、減っていた腹を埋めるように食べ始めた。
「ウッマ!」
「美味しい....!」
「ハッハッハ、そうだろう?今までも、沢山の奴を“愛馬”に乗せて、同じように料理を振る舞ってきた。だから腕には自信があるんだ。」
「.....その側の銃で撃ってきたんだな?毎日の三食を。」
「ああ。”クレイジー・ヴァレッサ“。俺の相棒だ。お上品な顔した銃だろ?これでモンスター共のハートを何十体分も撃ち抜いてきたのさ。」
「ふーん......俺は銃には詳しくないが、惚れるのも分かるような気がするぜ。惚れるといえば、あのデカい車もだな。....小回りは利かなそうだけど。」
「小回り?知らん。男の子のロマンで選んだ。」
ハンクは、自分が大事にしている価値観を、詩を朗読するかのように俺に聞かせてくれた。
「ロマンってのはよぉ、ワインみてぇに、年を取るたび熟成されていくのさ。金が貯まった頃、ようやくそのロマンの封を開けて、一気に喉へ流し込む。男の子は皆そうやってジジイになっていくんだぜ。
俺ァ障害になる女は捨てて、己の為だけの道を歩んできた。それでも隣に寂しさを感じたことはねぇ。何より気の合う奴が、ここにいるからな。」
そう言いながら自分を親指で指差した。
「良い旅だな。」
「ああ、全くだ。」
「あの2人........渋いな。」
「(...ガロの目がキラキラしてるわ...。)」
「エドワード、お前 酒はイケるんだろ?だったら一緒に飲んでくれ!イイ男ってのは、安い酒でも旨い肴で上手に呑むもんだ。....丁度、こんな景色のことだ。いや〜絶景!」
夜空には、思わず目を奪われるほどの、満点の星空が広がっていた。
「綺麗な星......あっ流れ星!」
「マジかどこだよ!?」
ガロとマヤの賑やかな声をバックに、俺とハンクは星を眺めていた。
「......若いの。お前もまだまだ生きるんだろう。楽しめよ。」
「......勿論、そのつもりだ。.......今日はいい日だな。」
焚き火を消せば、もっとはっきり この星の大絨毯が見えるんだろう。
でも、
「夜冷えるな.....。」
「お腹出してるからよ。」
「お前だって足出してるだろ!」
「アハハハハ!可愛い連れだな、エドワード。」
「...ああ。おかげで今、凄く幸せだ。」
でも、絶やすわけにはいかないんだ。
「あ゛、いで.....。」
「ほら言わんこっちゃない。」
.......冷えると、腹が痛くなるからな。
「「「アハハハハハハ!!」」」
「クソッ!笑うなーー!!!」
ご閲覧ありがとうございました!
やっぱり詠唱はロマンですよね〜!
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