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歩く歩く歩く

更新致しました!

新しい仲間と共に夜明けの地上へ....!

ぜひご覧ください!


「レストランってどっちだっけか。」

「右行って上。」


ガロの言っていた通り、ここは蟻の巣のように入り組んでいて分かりにくい。


「着いたら何食うかな。」

「チーズを使ってるものは絶対よ。」

「それは勿論。」


.......背後に気配。刺すような敵意や殺意では無い。

コレは......どこか、迷っているような気配だ。


「........ガロ!どうした!?」

「ッ!!?」

「?ガロ?いるの?」


予想は的中。やはりガロがいた。

廊下の曲がり角に隠れてこちらを見ている。


「.........。」

「ガロー?どうした?」

「.......(ササッ」


........どっか行った...。


「....仕事はどうしたのかしらね。」

「...さぁ?」


まぁ、なんかあったら言ってくるだろ。


ーーーーーーーー


「美味かった〜!」

「流石 言ってただけあったわ。凄く美味しかった。」


チーズフォンデュにピザ、デザートとしてチーズケーキ、どこからどこまでチーズ尽くし。とにかく美味かった。

とりあえず部屋に戻ろうとするが.......


「(またガロの気配.......。)」


何がしたいんだ........?

何か相談したいことか.....?いや、出会ったばかりの相手に相談もクソもねぇかな。


「どうしたの?」

「.....またガロがいる。背後だ。振り返っても見えないぜ、気配だけだ。」

「.....どうしたのかしらね、急に。」

「さぁ......。」


ーーーーーーーーーーー


部屋に戻ると、ベットの上にそれぞれの服が畳んで置いてあった。


「(もう洗濯してくれたのか!しっかり乾いてるし....。めちゃくちゃ早いな....。)」


そのままベッドの上で軽い筋トレをしつつ、借りてきた本を読んでいると、ふとノックの音が聞こえた。


「はーい。」


随分気弱なノックだったな....。


部屋のドアを開けると...


「はいはい?」

「おッ......おう!」

「ガロ?どうしたんだよさっきから。」

「何かご用?」

「いやッ、まぁ....な、うん。」


ドアを開けると、黒いシャツにラフなスウェットパンツ姿のガロがいた。俺と同じようなリュックを肩にかけている。


「ま、とりあえず入れよ。」

「あっ?あ、ああ!」


服装的に寝巻きだろうが、リュックを背負っているのはなんでだ?歯切れも悪いし...。


「で、どうしたんだ?」

「いや、お前らさ、ダンジョン向かうんだろ?迷わず行けんのかな〜って思ってよ。」

「本読んだし地図もあるし、大丈夫だと思うぜ。」

「いや、でもよ?1人ぐらいは、ちゃんと、地理に明るい奴がいた方が...」

「迷ったら迷ったで、それも良い経験になると思うわ。大丈夫よ。」

「で、でも、ここは弱い奴はすぐ死ぬし...」

「俺達強いから大丈夫。てかそろそろ本題に入ろうぜ。何を言いに来たんだ?」


あの感じからして大体もう分かってるけど.....こういうのは自分で言ってこそだ。


「いや、あれだ.....。もっ、もし!お前らが死んだら夢見が悪いから」

「回りくどいわ。素直に言ったらどうかしら?」


流石。言葉が上手い奴が言うと説得力が違う。


「.......だッ、だから!俺を!連れてった方が!得だって言ってんだよ....。」

「それ言うのにどんだけかかってんだ。」

「ウルセェ!こういうのは初めてなんだよ!んで、どうすんだ....。」

「連れてってもいいなら連れてくぜ。大旦那には許可取ったのか?」

「...!取った!大丈夫だ!行ってこいって言われた!」

「なんだよ来る気満々だったんじゃねえか!」

「断られてたらどうするの?」

「そん時はそん時だ!とにかく良かった....!これからよろしくな!マヤも、相棒も!」


相棒?


「嬉しいけど、相棒の枠はもう埋まってるんだ。」


そう言ってマヤの方を見る。

したり顔のマヤが見えた。


「.............!...オイ。」

「何よ?」


2人で部屋の隅っこへ行った。


「相棒の座譲ってくれチビ。」

「絶っっっ対嫌。」


何話してんだか知らねぇけど、これからもっと賑やかになることは確かだな。


「(この3人でダンジョン攻略か...!)」


不安はまるで無い。マヤは勿論だが、ガロのあの感じからして、あいつも中々の実力者だ。足を引っ張ることはまず無いだろうし、あったとしてもフォローすれば良い話だ。


夜、ガロは俺達の部屋に泊まった。今日から従業員じゃなくて、仲間だからな。

ガロはソファーで寝ると譲らなかったが、流石に年下しかもマヤと同い年ぐらいの子どもにそんなことはさせられない。寝た頃を見計らってベッドへ運び、そのまま寝かせた。


そんでもってこれから俺は大人の時間だ。パブがあるなら行くしかない。ダンジョンの話をもしかしたら聞けるかもしれないしな。


「(ま、早起きは......なんとかなるだろ!)」


往々にして、このなんとかなるだろの精神は大事だと思う。心に余裕を持って生きていくことは大切なことだ。

わっかりやすい言い訳を並べつつ、パブのドアを開けた。




ーーーーーーーーーー




「ホラ!早起きって言ったのはあなたでしょ?早く!」

「地上への扉の鍵はもう開けてある。準備ももうしてあるんだぞ!」

「ちょ、ちょっと待って...」


やらかした。

頭がクッソガンガンする.....。原因は勿論、飲み過ぎだ。

なんで酒って切り上げようとした時にきっぱり終われないものなのかね......。


宿泊代は部屋の机にきっちり置いて行く。後で従業員が取りに来るらしい。


「オーケー、行こう。」

「ええ、行きましょ。」

「〜♪」


ガロが先頭を切って歩いて行く。


そういえば今日、昨日と髪型が違うな。

あの少し長めの髪を高めの位置で結っていて、それが忙しなく弾んでいるのが見える。


腰に付いているのは、柄の長いバトルハンマー。ガロの武器だろう。


「(そういえばガロは、俺と同じく“人間”なんだよな、きっと。ってことは....)」


梯子を上りながらガロへ質問をする。


「ガロも俺と同じ人間だよな?どうやってここに来たんだ?」

「いや、俺は上界生まれだぜ。ガーベントっつう大工の種族と人間のハーフなんだ。」

「!そうだったのか。」


そっか...上界にも上界“人”がいるんだもんな。


「ハーフ....よく健康体で生まれてこれたわね。異種族間の子どもは奇形が多いって聞くわ。」

「まぁ、運が良かったとしか言いようがねぇな。...ここを出て行くっつった時、あ、親2人ともここで働いてんだけどな?その時に笑って送り出してくれたんだ。種族の壁もねぇ良い夫婦だよ。」

「へ〜、良いな!...だったら、そのめんどくさい性格は誰似なんだ?」

「うるせー!知らねーよ!」


他の客に迷惑のかからない範囲でわちゃわちゃしながら外へとひたすら梯子を上って行く。

しばらくして、ようやく地上への扉が見えてきたらしい。

一足先に、ガロが身軽に外へと出た。


「よっ、と。」


一気に外の光が流れ込んでくる。


「うぉまぶし!」

「ふふっ。」


これもなんかデジャブだな.....。


「ふっ....。」


つい込み上げる幸せな笑いを噛みしめる。


「早く来いよ!今日も良い天気だぜー!」


急かされて止めてしまっていた足を、手を、再び動かす。


「ん〜....、爽やかな朝だ。」


大きく伸びをする。朝特有の冷気が心地いい。

さて、またこっから歩いて行かなきゃな....!



ーーーーーーーー


森の中を街へ向かって突っ切って行く。ガロは一度その街に訪れたことがあるらしく、地図なんて捨てちまえー!とか言って先頭をずんずんと進んで行く。


「昨日、お前らが寝た後にパブに行ってみたんだけどな、そこで話したオヤジが言ってたんだ。攻略に躍り出た冒険者達は3万人近い数。中には大所帯で挑んだ奴等もいたらしいが、全員帰ってこなかったんだと。だから地元では、シンプルに“墓場”なんて呼ばれてるらしい。」

「墓場ねぇ。ハッ!むざむざ埋まってやるかよ。」

「何を聞いてもどうせ入るから関係無いわ。でも注意ぐらいはしておいたほうがいいわね。....もしかしたら出口がないのかも。物理攻撃が効かないとか?」

「何考えたって分からねぇことは分からねぇよ。入ってみないことにはな。」


マヤの言ったことが本当だったとしても........まぁなんとかなるだろ!

もし死んでもこれが冒険だ。皆覚悟は決まっているし、誰のせいにもならない。できる限り守るけどな。

そう、なんとかできそうなら、2人が無理でも俺がすれば良い話だ。


「とにかく今日はできるだけ歩くぞ〜。3日も4日もかけたくねぇからな。」

「4日は無しにせよ、最低でも3日はかかると思うぜ。ま でも退屈はしねーよ。道中にも面白いのは沢山あるからな。」

「全部回ってみたいけど、まぁそれは無理でしょうから、あなたのオススメは?」

「そうだな......。オススメというか、行ってみてぇ場所がある。」

「お、どこだ?」

「.......ま、着いたら教えてやるよ。こっちだ。ちょっと道ズレるぜ。」


ガロの案内のままについて行く。

行ってみたい場所か.......。


「そこってモンスターが関係してたりするか?」

「どうだろうな!」


.....この感じは......


「(....期待しても良さそうだな。)」


ニヤケてしまいそうなのを必死で堪える。こういう時の俺の顔は、悲しくなるのであまり言いたかないが、かなり怖いらしい。初期の頃の依頼人にそう言われたことがある。


「(平常心平常心....。)」


なんとか取り繕う。


モンスターが来てくれないなら、こちらから出向くしかない。

良いチャンスだ。丁度物足りなかったしな。


「(今度はもっと強いやつであってくれ....。)」


静かに、しかし強くそう願いながら、目的地まで引き続き歩き続ける。




ーーーーーーーー


[ グォォオ.......ウ゛ォオオ....... ]


ーーーーーーーー



薄暗い樹海の中をガロの後に続いて歩いていく。


静かな朝の森の中には、聞いたことのないような鳥の鳴き声と、俺達の足音だけが響いている。


周りを見渡せば、大きなキノコやら、目が痛くなるほど鮮やかな青い花やら、モンスターの大きな足跡や羽根やらが落ちていて飽きることがない。


「(最近いい天気続きで嬉しいな。でも、今日はいつもより雲が多いような気がするな。)」


樹々の間から空が覗いている。快晴とは程遠いが、雨じゃないだけいいだろう。


「見回り中に見つけた洞窟なんだけど、時々中から唸り声が聞こえるんだ。ぜってぇモンスターなんだけど、なんせ気配が馬鹿デケェもんだから、手が出せなくてよ。」

「姿を見なくてもどれほどか分かるのか?」

「ああ。....なんだろうな、親父の種族が種族だからか、遺伝で 野生の勘みてぇのが働くんだ。」

「お父さんの種族...ガーベントだったわよね?」

「ん。ガーベントは獣人族の内の一種だから、そういうのが生まれつき備わってんだ。....俺はハーフだから、純血達よりかは鈍感だけどな。」

「それでも助かるぜ。ピンチの時、なるべくモンスターは避けていきたいからな。

おまえがいれば大丈夫だな。」

「..........。」


ガロが黙った。もしかして照れてんのか?


「ガロく〜ん。」

「ウルセェ!」


少し揶揄(からか)うように名前を呼んだら怒鳴られてしまった。

思春期の男子みてぇだな....って、普通に思春期か。この歳は。


「と、とにかく、俺1人じゃ不安だったんだ。でも昨日の様子を見て確信した!

...今じゃ不安なんて微塵もねぇ。

このメンツで負ける気がしねぇ。」


ガロは機嫌よさそうに、手に持ったハンマーで邪魔な岩やら倒木やらを次々に破壊していく。

思った通り、なかなか強そうだ。


「ガキ。」

「マヤよ。何?」

「どうせお前も強いんだろ?後で技なりなんなり見せてくれ。」

「わざわざ見せるほどのものじゃないわ。それに、これから嫌でも見る機会が出てくるでしょうし。」

「....そうか...そうだな。」


ガロが確かめるように何度も(うなず)く。


「おまえも一員だからな。」

「.........ふ、」


指の背で口元を隠している。

よく分かるぜ、その気持ち。

今まで、外に出なかったわけじゃないんだ。

だけど、やっと出れた様な気がするんだよな。


「(なんでだろうねぇ...。)」


分かりきっていることを、あえて自分に問う。

この恩を絶対忘れないように。


ーーーーーーーーーーー


「着いた....ここだ。」


地下へと続く岩石の入り口。確かに何かいそうな気配がする。


すると、


[ グゥウオォ....... ]


「「!」」


「聞こえたか?」

「ああ、聞こえた。これか?唸り声。」

「そうだ。」

「あの(ヌシ)とどっちが強いのかしら。」

「きっとどっちもどっちだ。大して変わらないと思う。」


ガロはそう言って、中に入っていった。


躊躇(ためら)いないな?」

「お前らがいるのに躊躇うも何もないだろ。」


どんどん先へ進んでいくガロへ、


「あんまり離れ過ぎるとフォローし辛くなるから止まれ!」


と言うと、ピタッと素直に動きが止まり、こっちへ引き返してきた。

なんとなく顔が赤い。


「はしゃいだか。」

「.........。」

「はしゃいだな。」

「.........。」


今まで、気になっても行けなかった所にやっと向かえるとなると、やっぱり嬉しいんだろうな。


「そのまま育てよ...。」

「ウッセ!」


「.....エド親戚の叔父さんみたい。」

「!!?」


しまった、また(ジジイ)が出た。


「....さぁ先に行こう。」

「「(話逸らした。)」」



奥へ進むにつれ、だんだんと空間が広くなってきた。

少し先に、またあの鮮やかな青い花が咲いているのが見える。こんな場所でも、あんなに綺麗に咲くもんなのか?

とにかく、


「モンスターはどこだ?もっと奥か?」


俺がそう呟いたその時、


[ グゥウオォオオオオアアア!!!! ]


「「「!!!」」」


けたたましい咆哮と共に、地震のような揺れが大きく音を立てて こちらへ猛スピードで近づいてくる。


「来やがった!」


ガロと俺達の目線の先には、



[ グゥウオォォオオオアアア!!! ]



大きく口を開け、絶えずその強靭な脚を前へ繰り出してくる、遠近感が狂ったかと思うほどのデケェモンスターがいる。コイツが唸り声の主人か!!


「任せとけ!」


そう言って鞭を腰元から抜き、相手目掛けて打ち込んだ。



〜3秒後〜


「モンスターが気の毒だわ。こんなミンチになっちゃって.....。」

「縄張りに踏み込まれて、挙句にこんな殺し方されて.....。」

「オイ。」


マヤは許そう。


「ガロ、おまえが責めるのは違うだろ。」

「悪りぃ。つい可哀想になっちまって....。」


モンスターに可哀想も何もねぇだろうに.....。


まぁいい。........また期待外れだったな........


.....ん?


「あらら、花が散っちゃった。せっかく咲いてたのに....。」

「申し訳なく思うとこズレてねぇか?」






次の瞬間!!!






[ ピカーーーーーーン!!]



「うわっ!!」

「ンだコレ!?」

「ぅぐっ.....!」



目が潰れる.......!眩しい.....!!









「...........は?」


目を開けると、そこに広がっていたのは、


「....え?」


広大な乾燥地帯。夕焼け色の絶壁と、隆起した岩塔群..........



つまり、



「いや、ここドコだよ。」



その通りだなガロ。



「...........




ここどこだよ!!?」






〜歩く歩く歩く〜






!おまけ!


ガロ・ルヴァン (16)

ーーーーーーーーーーー

・身長&体重...160cm後半、62kg (エドより細めの細マッチョ)

・好きなもの...バトル、筋トレ、肉

・武器...バトルハンマー(ロング型)

・血液型...B型

・魔力型... ?

ーーーーーーーーーーー

岩洞窟の中で出会った青年。その美少女のような顔つきに似つかわしくない身体と口の悪さとうるささ(笑)が特徴。素直になれない時がある。




ご閲覧ありがとうございました!

前作までの踏襲はここで終了です!

よろしければ、感想や評価のほう、お願いいたします!

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