新たな出会い
更新致しました!
新たな出会いは岩洞窟の中で......。
というわけで、新キャラが出ています!新キャラのイラストはツイッターにあげています!
ぜひご覧ください!
岩洞窟の中へ入り、気付く。
あの点々と中を照らしていた光の正体に。
「キノコか?」
「みたいね。」
可愛らしい傘を被り、まるで、俺達を奥へと導くように点々と、点々と。
それらに誘われるまま進んで行くと、ぽっかりと空いた空間へ出た。
そこには、光るキノコは勿論のこと、青く美しい水晶があちらこちらにあり、空間を幻想的に飾っていた。
「キレーな所だな〜。」
「.....見て。二手に別れてるわ。」
マヤが指差す先には、洞窟の奥へと続く道。
左の道は右の倍ほどの広さ。異様な雰囲気が漂っているように思える。右の道にはキノコは無く、岩壁にはランタンが、そのオレンジ色の光で道を明るく照らしている。
人がいるとすれば、無論、このランタンの道...右の道だ。
だとすれば、左には何が......
「行ってみるか?」
「ええ。......どっちがいい?」
「やっぱり左だな。...おまえを子ども扱いしてるわけじゃなくて、単純にな?」
「ふふ、分かってるわ。じゃ、ここからは一時別行動ってことで。」
「オーケー。なんかあったら大声で呼べよ?すぐ向かうからな。」
「助けられるほど弱くないわ。こっちは任せて。」
そう言うと、マヤはまるで そこが自分の道であるかのように、堂々と歩いて行った。
「(...頼もしくて何よりだな。)」
高い所が苦手なだけで、本当に勇敢な子だ。冒険の相棒にはピッタリだろう。
そんな感心も程々(ほどほど)に、俺は左の道へと入っていく。
明らかに人の手が入っている右とは違い、この道はまさにありのまま。人が一切関与していないのは、誰が見ても明らかだ。
「さァて、何があるか もしくは出るか。」
期待に胸が弾んで止まない。
もう生きてさえいればなんでもいい。そいつに痛覚があって、尚且つ血が通っていればもっと最高だ。
........マヤに対して、もうあんなクソみたいなことを思いたくない。
できれば数は多い方がいい。その方が日持ちが効く....。
新たな出会い
歩いて行くと、下へと続く坂道に出た。ここも人工的では無いため、足元がとにかく悪い。
キノコと小さな水晶の光だけが照らす 不安定なガタボコ道を、トンットンッと跳ね、駆け下りて行く。
最後の跳ねで着地した瞬間、地面がビチャッと音を立てた。どうやら湿っているらしい。
「!水....。」
奥はまだ続いている。歩いて行くと、右へと続く曲がり角へ差し掛かった。
「(曲がったら何かがいきなり.....。)」
なんて考えたが、残念だ。何も来ない。
しかし、奥に覗く光が見える。また右の方に。
「(奥に上みたいなスペースがあるのか。)」
しかも、上よりもずっと明るい場所らしい。
「来るか....!?」
鞭をグリップに手をかける。
自然と駆け出す足に 同期するように早足になる鼓動。
沢山いてくれ!強ければ一体だけでもいい!!
「頼む....!!」
そう懇願する俺の顔は.....
気味が悪い程 歪んでいるだろう。
ーーーーーー
曲がったその先、覗いていた光の正体。
だだっ広いエメラルド色の空間。その天井にはどデカイ水晶がブッ刺さっている。ミントグリーンのでけェ水溜り。周りには今までと桁違いのデカさのキノコ。そして.......
「......!!...ハッ...」
笑いが込み上げる。
ヨダレを垂らす蟻のバケモン。
それも、20数匹....!!!
それだけじゃねェ!中央の水溜りの中、歪な形をした、とんでもなくデケェモンスターが眠っている。
モンスター....!正真正銘の....!!
「 来たぁあぁあアア!!! 」
[ギシャァアア!!!]
威嚇してきやがる奴等へ向けて鞭を、まずあそこの6匹!!
[ グチャァアアッ! ]
打ち込んだ鞭は、奴等の身体を真っ二つに割った。
それだけ言えばいつも通りだが......
「...!?脆過ぎる..腐った杏みてェだ...!」
手応えが全く無い。当然、殺った気なんてしねェ。
「......!!せっかく..!!」
期待したのに.....!!!!
.......後のデザートに取っておこうと思っていたが....
「もういい!!! ハロー デカブツ!!!」
中央の奴へ、
鞭を打ち込んだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜マヤ視点〜
さて、何があるかしらね〜。...ま、目星はついてるけど。
地面に新しい足跡がある。大して時間は経っていないようで、この先に何が待っているのかを、確かに記している。
「(どんな人かしら...危ない人じゃないといいけど。)」
もし危害を加えてくるようなら、戦う必要性も出てくる。
最悪、殺し合いになってしまうかも....。
「(....とうとう、人に手を下す時が来たのかしら。)」
今まで、モンスターのみを相手にしてきたからか、やっぱり気が引ける。エドならなんとかできてしまうかもしれないけど、私はそうもいかない。
ビビったのか、少し歩く速度が遅くなる。
「(.....進まなければ分からないわ。)」
気を持ち直して先へと進む。
かなり無理矢理だけれど、こういう時はこうでもしないとラチがあかない。
「(......人の気配がする。)」
この先、確実に誰かいる。
剣に手をかける。あっちが私に気付いていない保証はない。
交戦の覚悟をして、なるべく音を立てないように、先へと進む。
気配がもう近い。もうすぐ........
「(.............いた。やっぱり、人....。)」
ここは......貯蔵庫?オレンジ色の暖かな光に包まれている。
.....女性の後ろ姿が見える。もう少しよく見ようと一歩踏み出すと、微かに音が鳴ってしまい、その人物がいる空間に響いてしまった。
「(......!!!)」
しまった。マズい.....
「あ゛?誰だ!!」
「(......!!?)」
聞こえてきたのは、まごうことなき、“ 青年”の声。
「(嘘でしょ?)」
振り返った女性は.......
「....ガキ?」
「...え?」
男性だった。
ーーーーー
「......!!」
「......オイ、テメ誰だ。何の用だ。」
その声でハッと我に帰る。
「ごめんなさい。谷底を歩いていたら偶然、この洞窟を見つけたものだから......つい、中へ...。」
「あ゛?てことは冒険者か.....。谷を下りる冒険者なんているんだな、変わってる。」
......否定できないわ.....
「あの、お邪魔でしたら」
「いや、邪魔とかじゃねぇ...お前、1人か?...他に誰か.....」
「あぁ、でしたらもう1人、相棒がもう一方の道に..」
「はぁああ゛!!!?....左か?左に行ったのか!?」
「え、えぇ。」
「“えぇ”じゃねぇよ!どうす..」
[ グゴォオオオオアアアア!!! ]
「「!!!!!!」」
地響きのような雄叫びに身体中が震え上がる。
「!?何この声...」
「クソッッ!!起こしやがった!!!」
相手は武器であろうバトルハンマーを持ち、部屋を大急ぎで出て行った。
!? 起こしたってどういうこと!?一体何を!?
とにかく、走っていったあの人の後を.....!
「起こしたって何をです!?エドは何を..」
「エドっつうのかその大馬鹿の名前は!!名前覚えたからな!!死んだら末代まで祟ってやる!!」
「....!!ここには何が..」
「災厄級の化け物だ!!触れなきゃ起きねぇのにやりやがった!!!」
「(災厄級の化け物......!?)」
何度も自分の中で反芻する。そんなものがこんな所に眠っているなんて.....!!
「テメェの相棒が死んでたら今度は俺らの番だ!!」
左の道の坂を急いで下っていく。足場の悪さに体制を崩しても無理矢理下りる。止まっている暇はない。
あの雄叫びは、もう止んでいた。
「曲がり角の奥だ!!ソイツが死んでたらオラァとっとと逃げるからな!!」
「.......!!!」
生きてて、エド....!!!
「ていうかもう確実だな!!主を目覚めさせて生きてるわけが.........
勝ってやがる.....。」
...角を曲がり辿り着いたその先、恐ろしい化け物の亡き骸の上で、鞭を握り、緑の液体を浴び、頭を垂れているエドを見つけた。
辺りには、ゲル状の何かが激しく飛び散っている。.......生き物だったものかしら...。
「エド....?エド?」
呼びかけるけど、一向に振り向かない。
その後ろ姿は、なんだか虚しそうで、苦しそうで........
...淋しそうに見えた。
〜 エド視点 〜
「....オイ、起きろ、起きろよ。ハロー?なぁ、オイ......。
.......バジリスクも撃ててねぇぞ.....こんなんじゃ...........
こんなんじゃ、また......!!!
!」
「エド...?大丈夫...?」
...マヤ......
「お前倒したのかよっ!!?マァジか信じらんねぇ!!!ハッハ!!スゲェな!!」
.....と、テンションの高ぇ男....男?
「おいガキ!お前の相棒ヤベェな!!勝つ奴いたのかよ主に!!」
......主...?あぁ、コイツか。
とにかく、
「マヤ、その隣の人は?」
「この人は....えぇと?」
「“ ガロ・ルヴァン ” だ!アンタは?あ、ついでにお前も。」
「......マヤ・ルーツカ。」
悪い奴ではなさそうだな。...!まさか......、
「エドワード・バンディだ。もしかして、この洞窟は...」
「あぁいい気にすんな!むしろ助かったぐらいだ。まぁ、詳しいことはトロッコで話す。」
「トロッコで?」
「風呂と洗濯が必要だろ?地下壕に来いよ!」
.....!! 俺こんなに汚れてたのか!!
「ああ!ぜひ頼みたい!マヤ、いいか?」
「ええ、勿論。」
「決まりだな。っと、その前に.....ちょっと付き合ってくれ。すぐ終わるから。」
その言葉に従い、主の死体から降りた俺は マヤと一緒に、ガロと名乗った青年の後をついていった。
.......あの顔にあの筋肉......不釣り合いにも程があるだろ.....。
ーーーーーーー
「ここは地下壕で使う食材の貯蔵庫になってんだ。チーズに酒、その他色々保存してある。」
そう言って、必要なのであろう分の酒とチーズを持って来た。
それにしてもコレ、男の顔じゃねぇよな......ビックリだわ....。
「元々ここは、あの主と蟻のモンスターの住処だったんだ。でも貯蔵庫に丁度良いってんで開発しちまってな。」
「肝座ってんだな。」
「直に攻撃しねぇと起きねぇみてぇでよ。工事で多少うるさくしても全く起きなかったらしいぜ。」
洞窟を出てトロッコに乗り込む。意外と広く、全員乗っても余裕があった。
「地下壕ってどこにあるの?」
「10分ぐらい行った頃だ。さ、行くぞ。」
ガタ ガタン とトロッコが走り始める。この為のものだったのか。
「オレ達の地下壕は蟻の巣穴みてぇになってんだ。かなり広いんだぜ?地上と繋がってて、怪我した冒険者やら魔道士やらを介抱してやってる。全員は無理だが、見回ってるウチの奴等が見つけた分だけは、ちゃんとな。オレも見回り役として出る時があるんだぜ。」
「へ〜、怪我したらそこでお終いだと思ってたぜ。救いはあるんだな。」
一応な。とガロが付け足す。一応でも冒険者には心強いだろうな。存在を知っていればの話だが。
そうして走って行くうちに、いよいよ近くへと来たらしい。
「着いたぜ。ここがオレらの地下壕だ。」
ただの岩壁に見えたが、そこには確かに扉があったらしく、ガロは慣れた手つきでそれを開けた。
「さ、入れよ。」
促されるままに進む。
身体中がベットベトだ......。
「よかったわ。その服もどうにかしないといけなかったし。」
「あぁ、助かった。」
冷たい地下壕の道を進んでいく。
..........今日のところは、もう大丈夫そうで良かった。
問題は明日明後日だ。
....この“麻薬”が切れてしまえば、また、俺は.......。
ご閲覧ありがとうございました!
ツイッターに新キャラのイラストをあげています!ぜひご覧ください!
よろしければ、感想や評価もお願いいたします!