谷の底
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今回、エドワードの様子が.....!?
ぜひご覧ください!
ゲートの向こうには広大な森が広がっている。いつかの樹海を思い出しながら進んで行くと、市場で話した魔道士が遠くに見えた。
声をかけようと思ったが、次の瞬間、相手の姿が消えた。
一瞬驚いたが、すぐに、魔法で瞬間移動したのだと理解する。4度目であれば、強いモンスターが出現する地帯も、大体把握しているのだろう。そこまでの道のりは、もはや必要ないと思っているのかもしれない。
歩き続けているうちに、土地が平面から、斜面や岩場へと変化してきた。
足元に気をつけながら下りていく。滑って転んで怪我なんて、みっともない真似はマヤの前でしたくない。
しばらくすると、森が開け、とある場所へ出た。
そのとある場所とは....
「....!深い谷だな〜.....。」
遠くには桟橋が見える。マヤも気づいているようで、向かおうと促してくる。それに従おうとするが、ふと、あの爺さんが言っていたことを思い出す。
“「間違った道は無い。冒険者にとって、全てが最高の道となるからだ」”
確か、そんなことを言っていた。
「.........マヤ。」
「?何?」
「なぁ、
この谷、下りてみようぜ。」
谷の底
「下りるって.....この谷を!?...無茶よ。そもそも、どうやって下りるつもりなの?」
「俺の鞭を使うんだ。マヤも知ってるだろ?これ色んな使い方できるんだぜ。」
「.....大丈夫なの?」
「おまえが信じてさえくれればな。」
「.......。」
マヤは少しの間黙って考えていた。が、すぐに、
「....どこに行っても間違いじゃないんだものね。」
「そういうことだ!さ、行くぞ!」
手頃な木の幹に鞭のボディを結ぶ。もやい結びってやつだ。そして、俺にしっかりしがみついているよう、マヤに指示をした。
「滑って落ちるなんて嫌よ?」
「任せとけって。大丈夫。」
先ほどと同様に鞭を腰に結び、しっかりと握る。マヤを片手に抱き、谷に背を向け、崖のような岩壁に沿って、消防隊員よろしく下りていく。
「......ッ!」
「どうした?」
「下見ちゃった。」
「ハハハハ!」
モンスター相手にはあんなに勇敢なのに、こういうところはまだ子どもだ。
16歳って、まだ高1か高2ぐらいだもんな〜。
ゲラゲラ馬鹿みたいに笑っているような歳に、ここまで大人な子も珍しいだろう。
そのせいか、子どもらしいところを見せてくれる度、少し安心する。
.....なんて、気持ち悪いよなぁ。早く直さねぇと....。
「まだかかりそう?下見れないから分からないわ。」
「ん〜.....まだだな。怖いようなら目ぇ閉じとけばいいよ。」
「見ないから平気。」
一回見ちまうとな〜。、俺はこういうの全然平気な方なんだが...
....高い所が好きな奴はなんとやらってな。意外とシャレにならねぇからキツい。
ーーーーーー
それから10分ぐらい経った頃、地面の気配を感じ始める。下をチラッと見てみると、案の定、地面まであと少しだった。
「あとちょっとだぞ〜。」
「本当?...あらほんと。もう見ても大丈夫だわ。」
そのままスルスルと最後まで一気に下りていく。
そして無事到着。流石に腕が疲れた。
マヤを下ろし、鞭を振って、込めていた魔力を解く。木から上手く外れた鞭は、しっかり俺の手元へと帰って来た。
谷底は、上とは違い 少し暗い雰囲気が漂っている。
木は殆ど無いにせよ、緑は豊かだ。所々に小規模な池ができている。
「さて、色々歩いてみるか.....ん?...アレ、線路か?」
「線路?嘘でしょ。......ほんとだわ。」
昔のものなのか、今も使われているのか.....。
後者だとすれば、誰が利用しているのか.......。
ま、今考えたところで分からないことだ。
「線路沿いに進んでみるか。誰か、もしくは何かがあるかもしれない。」
「そうね。私としては、誰かに出会うより、こう、洞窟とかがあってほしいわ。その方がワクワクするもの。」
「そうだな〜。...贅沢を言えば、ダンジョン的なものがあってほしいけど....流石に高望みし過ぎか。」
「望むだけならタダだわ。」
じゃあそうするとしよう。
なんだかんだ、今までモンスターに会えてないからな。そろそろ戦いたい。
冒険らしさが欲しい........のもそうだが、
ちょっと流石にもう、“麻薬“を摂取したい。
何も殺さない、殺せていないままだ。
ていうかなんでなんも出てこねぇんだよ。
モンスターだらけじゃねぇのかよ。
何が“弱い奴は死ぬ”だ。どんな雑魚でも死なねェわこんな生温ィ森。
“強い奴のみが笑える”だ?笑うどころか鬱憤が溜まって仕方ねェわ。
クソッ...!タディッチの野郎ン時は良かったなァ〜!手応えなんてクソ程無かったが、あんな大人数を一気に殺れたのはヨかった!快感だった〜....!
もうこの際なんでもいい!人でもモンスターじゃなくてもいい、何か......!!
あ、そういえば、生き物ならいたなァ.....
隣に。
「...エド?またボーっとして......エドー?」
「.........(ブツブツ).....」
「?なんて言ったの? エドー?エドー!?」
「....ハッ!? 」
「どうしたの?大丈夫?」
「.......悪い、またボーっとしてた。」
「もう....。」
...しっかりしろクソ爺。面倒かけてどうすんだよお前。しかも.........最悪だな、本当にさ。救いようねぇよ。
「......、エド、アレって....。」
「どうした..?......トロッコ?」
少し先にトロッコが見える。人がいるのか......!
ーーーーー
「ん〜....。ん?...洞窟...かしら....?」
「....奥に続いてるっぽいな。」
トロッコのすぐ近く、そこには、ぽっかりと口を開けた大きな岩洞窟があった。
「遠くに光が見えるな....ポツポツとだけど。」
鮮やかな黄緑色の淡い光。
それらが微かに洞窟内を照らしている。
「.....行ってみるか?」
「勿論!」
マヤのいい返事に、俺は笑って前を見る。
そして洞窟の中へと、足を踏み出していった。
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