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中毒者は嗤う

投稿したしました!新作です!

前作、謳う中毒者,墓場迄。の超強化版です!

今はまだ序章ですが、こっから怒濤のファンタジーが始まります!

是非ご覧ください!



「主文、被告人を 死刑に処す。」




ーーー 昭和61年。



世紀の殺し屋と呼ばれた男にふさわしい末路。



日本中から大歓声が聞こえる。



そんなに嬉しいか?良かったな。







........ああ、もう、息をするのも面倒くせぇ。










未練?












未練なら、ある。











ジャンキー+テイルは墓場迄。










ーー前世、殺すのが何よりの生き甲斐だと気付いたのは、20代後半ぐらいの頃。


その時の状況が最悪なのも相まって、最初はとにかく戸惑ったし、とんでもなく辛かった。


でも、倫理観を棄てたら、やっと息がしやすくなった。


この状態をなんとか保とう。自分を安定させたい。



そう考えた結果、俺は殺し屋になった。



....腹の奥に黒いモノが溜まっている奴はやはり多い。殺しの依頼はほぼ途絶えることなく俺の元へ来た。


依頼という大義名分を使って、“穴”を埋めるようにひたすら殺しを謳歌していたら.....何の因果か、666人目の時だ。とうとう捕まって死刑になった。まぁそりゃそうだわな。


世界からの追放。(すなわ)ち死。


地獄の特等席に座る用意はとっくに済んでいた。

(むし)ろ、誰にも譲らないつもりだった。


なのに俺は...........。


....ハッ。自分の生命力の強さに吐き気がする。


そう。確かに死んだはずが終わっていなかった。



つまり、転生だ。



......してしまったからには受け入れるしかねぇ。


順応力は早いほうだ。だから大して混乱もせずに、静かに受け止められた。

以来俺は、異世界で、今度は便利屋を営んでいる。便宜上な。名乗るのにコッチのが都合良いんだ。


ーー はっきり言って天職だ。


前から人の面倒を見るのは嫌いじゃなかったし、時々だが殺しの依頼も来る。

これがとにかく愉しい!

この世界には人間だけじゃなく、他にも沢山の種族達がいる。何よりモンスターがいる!

殺しのバリエーションが一気に増えてくれて、最初はとにかく興奮していた。


...でも、最近はただただ虚しくなるだけだ。

モンスター達はもう、羽虫となんら変わらない存在に成り下がってしまった。殺したって、何も愉しくはない。ただただ、俺の”High(ハイ)“.....禁断症状を黙らせる為と、刹那的な快楽の為に殺してる。


........我ながら強くなり過ぎちまった。

この広いはずの世界が色褪(いろあ)せて見えるほどには。

こうなってしまえば、


「(...異世界なんて、壮大なフリして名ばかりさ。)」


そうしたのは自分だ。解っている。



........でも どうにもできないんだよ。




=======================================




グランターズ。


中央に生えてるあの一本の大木、グランパリーが命名の由来。

人呼んで、“図体だけ立派なクソ都市”。

....暴力団がいるってだけなんだけどな。

皆やたらと怖がっているが、俺からすれば、棒持って振り回してる、そこらのしょんべん()せぇガキ共と変わらない、チンケな奴等だ。....ガキ共に失礼か。


そんなことを考えながら、俺は今とある場所へ向かっている。依頼が来たんだ。


依頼者は、顔見知りの恰幅の良いオヤジ、ホーキンスだ。

話が話なんで、指定した場所に来てほしいとのこと。

そんなこと言われちゃあ期待せざるを得ない。


路面電車へ飛び乗り、街を抜けて郊外へ。

暴力団のアジトがある森方面とは真逆の方。

建物がだんだんと少なくなり、代わりに畑が点々と現れる。


指定の場所はここよりもっと奥。

あの林の中だ。


電車から降りて少し歩くと、とある大きな一軒家が見える。といっても、目立つようなものじゃない。隠れ家的な家だ。


ここが指定の場所。

依頼者の別荘だ。


ーーーーーーーー


「本当によく来てくれた!さ、そこのソファーへかけてくれ。今飲み物を出そう。

酒は飲めたよね?良いワインがあるんだ。ぜひ君に飲んでほしくてね。どうかな?」

「ぜひ!ありがとうございます。」


こういう時は変に遠慮しないほうがカワイイ。人付き合いの中で学んだことだ。

でも昼間から酒か....。ワインなだけまだマシか。


目線を彼に向けた。

......ん?


出されたのは至高の葡萄酒、”女王の口紅“。

どんなに怠惰な者であろうと、一度口にしてしまえば、次を求めて、途端に勤勉になるとまで謳われる 魔性のワインだ。


「ソレ....! 勿体ないですよ俺に出すには!」

「いいからいいから!」


そう言って、彼は2人分のグラスにワインを注ぎ始めた。


たった一度だけ飲んだことがある。

まぁまぁデカい仕事を終えて、報酬が思ってたよりも多かった時、自分への褒美として。


今まで飲んできた酒が泥水同然に感じられたほど美味かった。

柔らかく、されど官能的で甘美なその口当たりたるや、正に背徳的。

虜とまではいかずとも、いつかまた飲みたいと思っていた。


「さ!どうぞ!」

「すいません。では ありがたく。」


...当然、かなり値が張る。

なのにこうして惜し気も無く出されたことから、彼が置かれている状況のマズさを感じとる。


「(俺に逃げられるわけにはいかないもんな。)」


そう思いつつワインに口を付ける。うんまいなやっぱ。


「........助けてくれ、エドワード...。」

「!」


早速本題か。よし。


「聞きますよ。何があったんです?」

「実は.....」



実は......?



「嫁が暴力団の組長と不倫してたんだ。」

「ン゛ブッッ ゲッホゲホ!」


ワイン変なところに入っちまった!


「大丈夫か!?」

「ゲホッ!ン゛ン...すいません、続けてください。」

「あ、あぁ。...元々、金遣いが荒くて被害者ぶりが酷い奴だったから、いつかは離婚しようと考えていたんだ。

だから不倫どうこうは別に構わない。

.....問題なのは、アイツがホラを吹いたことだ。

アイツ...タディッチに私のことを.....!」


彼はグラスをグッと傾けて、一気にワインを喉へ流し込んだ。


「...私のことを、ストーカーだと....!!

....それを信じ込んだタディッチが、私のことを、殺すと言っているらしいんだ.....。今朝、離婚届と一緒に、そのことを書いた手紙が送られてきて.......。」


.....馬鹿は結果を急ぐってな。

流石だぜタディッチ。


「とにかく、一応の為に身を隠しておいてください。」

「あぁ!それなら、今こうして離れの別荘に隠れてるから大丈夫....」

「ここも離れたほうがいい。後はつけられなかったが、アイツらのことだ。もう特定されてますよ。」

「........!!わ、分かった!」


用件はもう聞き終えた。

もったいないが、グラスの中のワインを一気に飲み干し、席を立つ。


「それじゃあ、後はお任せくださいね。」

「え?いや待て!護衛してくれるんじゃないのか!?」

「この際なので奴等を潰してしまおうかと。」

「!?無茶だ!君がいくら強くても、...その鞭を使っても、奴等には数がある!マシンガンを持ってるなんて話も聞く!...君に死んでほしくないぞ.....!」


マシンガンか.....いいな。ちょっとワクワクするぜ。

まぁでも所詮、“めっちゃ弾出すデカめの銃”だ。敵じゃない。


「大丈夫ですよ。とにかく、今日は別の場所に避難しておいてくださいね。

ワインご馳走様でした。失礼します。」

「あぁおい!......行ってしまった....。

(どうか死なないでくれよ.....!)」


ーーーーーーーーー


「(”死んでほしくない“か.......前世とは真逆だな。)」


とにかく、今回の依頼は当たりだ。一気に大人数殺せる。


....それにしても、馬鹿な女だな。

調子に乗ってそんな手紙なんて出して...。



「(全く、可哀想に。)」



ーーーーーーーーーー



「ボス、準備はもう万全ですぜ。」

「明日が待ち遠しいわぁ。ね?あなた♡」

「待ってろよ。お前のストーカーをぶっ殺してやるからな。」


....時刻は深夜。アジトの分厚い屋根の上で、特製の小型集音器を使い、奴等の声を拾う。

グランターズ郊外の、この深い森の一部を抉ったクソデケェ穴の中、異物感満載のバカデケェアジトがある。

お前らのせいで小鳥さえ森から追い出された。


「お前は俺の女だ、誰にも渡さねぇ。」


クッセェ〜〜〜!!!

調子に乗ってんなァタディッチ〜〜!



お前に明日なんて来ないのにさ。




鞭を抜刀するように取り出し、


しならせ、


振り下ろす。




[ ドガァァアアアアアアアン!!!!]



派手な音が森中に響いた。


お強い暴力団とは思えない程情けない驚愕の叫びと、動揺と混乱に満ちた表情(カオ)が見える。


ああ堪らねェ。俺ァコイツの中毒になってんだ。






「 ハロ〜〜〜〜〜 」








〜 中毒者は嗤う 〜







ご閲覧ありがとうございました!

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励みになりますので.........!何卒!

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