4話 逃避行1
軍から逃げるように集合管の中に飛び込んだはいいが、現在絶賛遭難中なのである。
「本当に何処なんだここ・・・?」
今だに広い場所には出られず、逃げるために必死で入ったはいいものの、改めて考えると、集合管の中に入るということは相当な悪手だったと後悔している。
なんせ集合管は塔全体に張り巡らされ、大小の配管を合わせるとその全長は約100万キロにも及ぶ長大なパイプだ。
出口が何処にあるのかも分からず、死ぬまでパイプの中でさまよい続けるかもしれないという恐怖が頭を過ぎる。
だがいい事もあった。パイプの中だとしても生きてはゆけるのだ。
熱発生装置から来る熱パイプや水パイプ。
空気センターから空気を運ぶ空気パイプ。
そして、どこにでも生えてる自生する謎のキノコ。
配管の中だとしても生存は可能だがやはり自宅のベッドで寝たい。
帰巣本能というやつなのだろうか、今ならわかる、それが人間の本質のように感じられた。
しばらく配管の中を進んだ所にメンテナンス用の軌道エレベータがあった。
「このメンテナンス用の軌道エレベータは使えるのか?」
このエレベータは見るからに古く、少なくとも1000年は経過している。
パイプの増改築を続けた結果、いつからかこのエレベータを忘れ、それ以来使用されずになったものだと思われる。
「おっ!良かった。電気は生きてるぞ!」
むき出しの配線を色通りに繋げた結果、操作盤が光だした。
こういう工作はじいちゃんによく教わった為、大体のものを直すことが出来る。
「ガチャン!・・・ウィーン・・・」
何も触っていないが軌道エレベータが動き出した。どこへ向かっているのだろうか・・・