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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
14章:『再演される呪われた悪夢の宴』
994/1000

994:6thナイトメア・エンド-1

本日は四話更新になります。

こちらは一話目です。

「実に良い戦いだったわ!」

「「「ゲェッ、タル!?」」」

 タル・エウルトとの戦闘終了後。

 私は観覧席から他のプレイヤーたちが集まっている場所へと移動させられた。

 というわけで、私は第一声でプレイヤーたちを褒めたのだが……どうしてだか、大半のプレイヤーからは恐れを帯びた目で見られていると言うか、全身で近寄りたくないと表現されていると言うか、とにかく歓迎されていない雰囲気を感じる。

 やれやれ、先程まで戦っていたのは私ではなくタル・エウルトだと言うのに、酷い話である。

 まあ、それはそれとしてだ。


「あら、タルじゃない。このタイミングで出てくるの」

「ええそうよ。さっきまで観覧席で見ていたんだけど、どうしてかこちらに飛ばされたの」

「そうなの。じゃあ、閉会式か、それとも……」

 ザリアが近づいてきたので、私はザリアに近づいていく。

 そして、PTメンバーと言う事で、ザリアと一緒に来たブラクロへと私は目を一つ向ける。

 それによってザリアも私が言いたいことを察したのか、ブラクロへと目を向ける。

 肝心のブラクロは……何も話す事は無いぞと言わんばかりのポーズである。


≪サプライズ! 事前通達になかった強敵が確認されました!≫

「「「!?」」」

「ああ、やっぱりあったわね。私だけ一戦少ないなんておかしいと思ったのよ」

「なるほどね。そう言う事なら、確かに予想はつくわね」

 と、此処でアナウンスが流れ始める。


≪次のバトルは、これまでのバトルにて一定以上の評価を得たプレイヤーのみが参加となります。勝利しても経験値や素材などは得られません。得られるのは次の強敵を打ち倒したと言う名誉のみとなります≫

「「「……」」」

 どうやら次の戦闘は全員参加ではないらしい。

 そして既に選出は始まっているらしく、私は私の周囲だけに光の輪が出現し、ザリアはシロホワやブラクロなどのいつも組んでいる相手との間だけに光の線が結ばれている。

 この光が繋がっている相手と一緒に挑むと言う事だろう。

 人数は……一番多い組でも十人に満たないくらいだろうか。

 うん、相手はそんなに大きくなさそうだ。


≪選ばれなかったプレイヤーまたは不参加を希望するプレイヤーは、Ex2戦目開始前に戦っていた相手と戦う、これまでに倒した相手と戦う、観覧席に移動するのいずれかをお選びください。なお、選出は終了していません。評価を上書きする事が出来れば、参加できる可能性は存在しています≫

「「「……」」」

 光が出ていないプレイヤーたちが次々に消えていく。


≪お手元の戦闘開始ボタンを押す事で、Ex(エクストラ)3戦目『狡知黒狼の偽人呪』ブラクロ・エウルトとの戦闘場所に転移、転移後に戦闘を開始します≫

「やっぱりブラクロじゃない」

「本当にブラクロだったわね」

「おう、俺だぞ。いやぁ、ようやく話せるな」

 戦闘を開始するためのボタンが現れると共に、相手の名前が表示される。

 『狡知黒狼の偽人呪』ブラクロ・エウルトか。

 名前から考えるにずる賢い偽ブラクロと言う感じだが……まさか、うっかりをしないブラクロとか、そんな感じだろうか?


「いつの間にか兄が高評価を受けてた……」

「まあ、さっきの戦いを考えれば妥当な評価だとは思うけどな」

「……。隠し通せた事の方が驚きかもしれないな」

 とりあえず一組当たりの参加人数が人数なので、サイズは人間大だろうし、耐久もそこまで高くないのではないかと思う。

 であるならば……まあ、戦い方自体は幾らでもありそうだし、そこまで苦戦しなさそうな気もする。

 うん、他のプレイヤーが手を出して、未知が無くなってしまう前に挑んでしまおう。


「じゃ、とりあえず私は行ってくるわ」

「分かったわ」

 と言う訳で、私は戦闘開始のボタンを押して、戦闘場所へと転移する。


「さて相手は……」

 転移した場所は地平線の果てまで続く、一面白のタイル張りの空間。

 凹凸はタイルの間に僅かにあるものを除けばほぼ無く、障害物や遮蔽物の類もなし。

 見た限りでは上空に即死エリアがあったりするような事もなく、何かしらの罠が隠されているような事もなさそうだ。

 どうやら、一切の小細工なしの正面衝突になるらしい。


「居たわね」

「……」

 ブラクロ・エウルトの姿は直ぐに見つかった。

 白の床、青の空の空間に、全身が黒い毛皮に覆われた男が立っているのだから、とても目立つ。

 身長は180センチ前後で、ブラクロ本人とほぼ変わらない。

 防具は革と鱗を主体としたもので、基本的なカラーリングは黒よりであり、ブラクロ本人の毛皮との境目は認識しづらい。

 腰には二本の短剣が提げられており、ブラクロ・エウルトがゆっくりと抜いたそれは黒い刃に僅かにだが虹色を呈している。

 私との間にある距離は……20メートル前後と言うところだろうか。


≪『狡知黒狼の偽人呪』ブラクロ・エウルトとの戦闘を開始します≫

 戦闘が始まる。


「まずは『竜活の……っ!?」

「……」

 と同時に、ブラクロ・エウルトは私の目の前に居た。

 既に短剣は振られ始めている。


「ルナアポ!」

 私はルナアポを、私とブラクロ・エウルトの間に出現させた。

 そして信じがたいものを見る事になった。


「なっ……!?」

 ルナアポの腹をブラクロ・エウルトの短剣が突き、その結果としてルナアポが吹き飛ばされ、私もそれに巻き込まれて吹き飛ばされたのである。


「……」

「こ……」

 そして、その驚きを現す暇もなく、ブラクロ・エウルトは吹き飛ばされる私に追従し、飛び上がり、腕を何重にもブレさせながら、短剣を振り下ろそうとしていた。

 私は『気絶の邪眼・3(タルウィスタン)』による迎撃を試みようとし……。


「っ!?」

「……」

 指を鳴らそうとした時には既に全ての目が短剣で貫かれ、視界は失せ、直後に全身を細切れにされる感覚が二度訪れて、私は死に戻りした。

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― 新着の感想 ―
[一言] >ブラクロ・エウルトは何かしらの方法によって同一座標に100人近くが重なっており、その100人分の力を自在に行使する事によって、信じがたい力を放っているのだと。 ヤタの系譜だから安直に強い能…
[一言] タルは様子見してしまう癖があるし、スロースターターだからなぁ しかも明らかに弱点である目は、全て露出してるし。 近接距離でトップ前衛の動きに対応できるわけないよね。
[気になる点] 短剣一本なの?それとも重なっている数だけあるの? 後者だったら資材ガー…
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