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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
14章:『再演される呪われた悪夢の宴』
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987:6thナイトメア・タル・エウルト-2

≪『虹霓境窮の偽天呪』タル・エウルトとの戦闘を開始します≫

『『『総員攻撃いいぃぃ!!』』』

『『『ぶちかませえええぇぇ!!』』』

『『『さっきの怨みじゃあああぁぁぁ!!』』』

『『『ーーーーー!?』』』

 二戦目開始。

 と同時に、中心の円錐に向けて、過剰火力だと断定できる規模で攻撃が降り注ぐ。

 上層からも中層からも間断なく攻撃として炎、氷、雷、光、闇、水、岩、植物、槍に矢、単純なエネルギーの塊、本当に何でも放たれる。

 そのような一斉攻撃を受けては、砂の円錐も、耐久力に難がある恒葉星の竜呪モチーフのゴーレムも、ひとたまりもない。

 舞台全体が揺れるような振動と共に、一瞬にして消し飛んだ。


「うん、正しいし、妥当な判断ね」

「そうね。ここまでは既定路線だと思うわ」

「問題は此処からですネ」

 そして、中心の円錐を撃破したプレイヤーたちは、周囲の円錐から襲い掛かってくる竜呪たちに対応するべく向きを変えようとする。

 が、その前に、戦闘開始時よりも少し大きくなった頭上の虹色の太陽から一人のプレイヤーへと、灰色の光が降り注ぐ。

 そのプレイヤーは先程の開幕飽和攻撃の際に、津波のような水流で以って、砂の円錐に最もダメージを与えたと言えるプレイヤーだった。


『ん? ぺぎゃっ!?』

『『『は?』』』

 そのプレイヤーが潰れた。

 全方位から圧縮される形で、潰れて死んだ。


『『『何の光……なあっ!?』』』

『『『引き寄せ……』』』

『『『落ち着いて体勢を立て直せ! 範囲は狭いぞ!!』』』

 そして、潰れたプレイヤーの周囲に居た数十名が、潰れた場所に向かって引き寄せられ、転んだ。

 まあ、被害だけをみるならば、一人のプレイヤーが死んで、数十名のプレイヤーが転んだだけだ。

 被害だけを見るならば。


『検証班より通達! 虹色の太陽との距離が、先ほどよりも近くなっています!』

『検証班より通達! 先程の灰色の光は虹色の太陽から照射されました! 恐らくはタル・エウルトの攻撃です! 恐らくは砂の円錐の破壊に関連があります!』

『『『!?』』』

「うん、ちゃんと気づいたわね」

「そうみたいね。全部ではないけれど」

 だが、その被害の裏には多くの情報が隠されている。

 具体的には、第一形態終了の条件が砂の円錐を全て破壊する事によって、上空で輝く虹色の太陽に近づく事であること。

 砂の円錐を破壊するほどに虹色の太陽から放たれる攻撃の数と種類が増えるかもしれない事。

 攻撃のターゲッティング基準がヘイトではなく純粋な貢献度である事。

 などだ。

 此処からの戦闘はそれを理解した上で進める……必要はないか。

 人数が人数なので、逐一治すなり、空いた穴を周りがノリでカバーしたりすればいいだけの事だろう。


『呆けるなぁ! 目の前の敵をぶち殺せぇ!!』

『各自自分の能力に見合っているポジションで活動を!』

『検証班より通達! 生産物は順調に出来上がっています! 自分の能力を鑑みて使ってください!』

『初心者でも範囲攻撃持ちはあそこの空白地帯に向けて撃ち込め! 地雷除去で貢献できるぞ!!』

『近接しか出来ない初心者はポーター役だ! 生産物が出来ても前線に運ばなければ意味がない! 重要な役目だぞ! 喜べ!!』

 そして、同じような結論に、プレイヤーたちの中でも指揮官と呼べるようなプレイヤーたちはたどり着いたらしい。

 最前線組、上位層は自分の周囲に居るプレイヤーたちと即興で合わせて、押し寄せる竜呪たちへの反撃をしている。

 中位層でも、一斉攻撃や複数人でのローテーション、上位層が抜けた穴を一時的に塞ぐなどの活躍を見せている。

 生産者組は足場の下層で、素材を採取すると共に、その素材で様々なアイテムを生産したり、装備品の修復をしているものもいるようだ。

 そして、初心者組であっても、遠距離範囲攻撃持ちなら卵雲の竜呪の排除が行え、そうでなくとも下層から上層と中層へのアイテム運搬と言う役目を果たす事で戦闘に貢献している。

 うん、正に総力戦。

 自分に出来る事を各自が探し、実行し、戦いを盛り上げつつ、竜呪の数を少しずつ減らしている。


『『『ーーーーー!』』』

『熱いいいぃぃ!?』

『げぇ!? 盾が!?』

『炎が消えない!?』

『えへへへへ……』

『魅了対策してないんかーい!!』

 しかし、竜呪たちの攻撃も激しい。

 まだ二戦目なので、立ち位置が最適化されておらず、適性に見合わない相手と戦ってしまい返り討ちに合う者も多く、プレイヤーたちの数が少しずつ減らされていく。

 それにおおよそ1分ごとに1回であるが、虹色の太陽から光が降り注ぎ、浴びた誰かが周囲を巻き込みつつ倒されるのも、厄介な案件であるらしい。

 その為、中々攻めきれず、円錐への攻撃が上手くいかない。

 そうこうしているうちに、鼠毒と恐羊の砂の円錐の時計の一つが一周して……再出現する。


『検証班より通達! 敵の増援が出現するまでの時間は円錐ごとに異なる模様! 今から、次の増援が近い円錐を挙げます!!』

『戦力を多少偏らせるわ! 突貫!!』

『『『ヒャッハアアアァァァァッ!!』』』

『『『ーーーーー!!』』』

 このままではじり貧であると判断したのだろう。

 ザリアが指揮する集団が一点突破を仕掛け、無事に突破。

 そのまま、その奥にあった砂の円錐の破壊まで成し遂げる。

 破壊したのは……虹亥のか、まあ、石化と突進が厄介だったし、倒すのにも時間がかかる相手なので、妥当な判断だろう。


『次! 魅了を落とすわよ!!』

『『『ヒャッハー!!』』』

 そうして虹亥の円錐を破壊したザリアたちは、そのまま妓狼の方へと向かっていく。


「あーあ。やっちゃったわね」

「まあ、判断としては間違っていないわね」

「毒と魅了であるならば、魅了の方が厄介。それに鼠毒は増援が出たばかりでしたからネ」

 その光景を見た私たちは一様に「やってしまったな」と言う顔をする。

 いやまあ、自分が基と言う事である程度仕様に勘づいている私と、運営側である聖女ハルワと邪火大夫だからこその感想ではあるのだが、それでも顔が変わる事は無い。

 とりあえずこれで三戦目が行われるのはほぼ確定した。


『『『ーーーーー!』』』

『『『ーーーーー!?』』』

 まあまだ二戦目は続いている。

 それぞれが全力で目の前の相手に食らいつきつつ、フリーに近い最上位層が円錐を攻撃したり、前線を引き上げたり、空いた穴を埋めたりしている。

 そうして二度目の鼠毒と恐羊の増援が出現してから数十秒後。

 鼠毒の円錐の二つ目の時計が一周した。


『『『!?』』』

 フィールド全域……非戦闘場所と思われていた下層も含めて、その全てが深緑色の閃光によって照らし出された。

 光の出所は鼠毒の円錐。

 鼠毒の円錐は自ら爆発し、衝撃波と深緑色の閃光を撒き散らしたのだ。

 その光は竜呪たちには一切の悪影響を与えなかった。

 だが、プレイヤーたちには十全に効果を発揮し、多くのものをその場から吹き飛ばした上で……大量の毒を与えた。


『『『タ……タアアアァァァル!?』』』

 うーん、だいたい半分くらいのプレイヤーだろうか、それぐらいのプレイヤーが毒の重症化によって倒れ、動けなくなり、死体になっていく。

 何かしらの方法で凌げたプレイヤーも、これまで釣り合っていた状況から一気に戦力が半分になっては対応できるはずもなく、次々に倒されていく。

 それでもブラクロのようになお粘るプレイヤーも居るわけだが……。


『あ、無理だ。これ。やり直すしかねぇな』

『『『!?』』』

 牛陽の竜呪の一度目の増援から暫く。

 毒で倒れたプレイヤーたちが復活するよりも早く、牛陽の円錐が爆発。

 先程の鼠毒の円錐と違って、直接的なダメージを伴う真っ赤な爆炎がフィールド全域に吹き荒れて、耐性を持つごく一部を除いて焼却。

 耐えた一部にも竜呪たちが殺到し、マトモに抵抗する暇もなく落ちた。


≪戦闘に敗北しました。5分のインターバルを挟んだ後、次回の戦闘を開始します≫

 と言う訳で、先ほどよりも虹色の太陽には近づいていたが、再びの状況リセットである。

07/23誤字訂正

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― 新着の感想 ―
[一言] というかこれでタルより弱いんだよな? …タル普通にこれ位突破するだろうし まぁ何もおかしくはないか
[一言] 無限コンテニューし続けたらそれはそれでペナルティがありそう(タル乱入)
[一言] ヤバくなったら下層で回復&休憩とか考えたけど、むしろいつ衝撃波がくるかとビクビクしなきゃならんなこれw
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