948:ニネナナ-1
「さて、ニネナナの強化をしていきましょうか」
私は腰からニネナナを外すと、作業台の上に載せる。
「何を使って強化をするんでチュか?」
「んー、血以外の余り物全部?」
「理由を訊くでチュ」
「血はヤノミトミウノハの強化に使える。他の素材は此処で使わないと余らせるだけ。だったら、使わないと勿体ないじゃない」
「こう、雑なのか、エコなのか、迷う理由でチュねぇ……」
で、これまでの作業で余っていた素材と使い道が思いつかなかった素材……翼とか、尾とか、墨袋とか、金貨とか、そう言ったものを主体として使いつつ、一つのアクセサリーとしてまとめていく。
勿論13種類の竜呪の素材を最低でも1つずつ使うようにはしているし、ヤノミトミウノハを強化するために残している素材もあるので、全てを使っているわけではないが。
後、私の血も混ぜておく。
「まあ、問題は無いわ。外見的に合わないなら、トテロリと同じように呪いだけ抽出して濃度を上げていくから」
「そういう物でチュかー」
「そういう物よ。だから、ここをこうして、これをこうして、あれをこうして、こっちもこうして……良い感じね」
なんにせよこれで完成である。
出来上がったニネナナの外見は……虹色の輪っかの中に真っ黒な眼球があり、眼球の側面からは蘇芳色の翼が六枚生えている。
そして、輪も眼球も翼も独りでにゆっくりと回転している。
なお、腰に付けるための留め具は眼球に繋がっている。
では、呪怨台へ。
「ニネナナ。『虹霓境究の外天呪』である私の根。虹を宿し、我が血を宿すもの。新たなる姿を私の前に見せなさい」
呪い方はこれまで通り。
そして外見は……呪怨台に乗せる前と変わらずか。
今もゆっくりと動き続けている。
まあ、鑑定してみよう。
△△△△△
『虹憑きの外天根呪』ニネナナ
レベル:着用者のレベルと同じ
耐久度:100/100
干渉力:着用者の干渉力と同じ
浸食率:100/100
異形度:25
竜、そして外天呪に由来する呪いを含む、数多の呪詛を利用して制作された、アクセサリーのような何か。
積極的に自己意思を示すような事は無いが、正当所有者の眷属として扱うべきではあるだろう。
この世ならざる者に通じる気配を漂わせており、正当な所有者以外が着用すれば、恐ろしい呪いに襲われる事だろう。
呪いの法則そのものによる干渉、呪いではない力による干渉、これらに対する抵抗性を有する。
暗闇完全無効化。
着用者が『虹霓鏡宮の呪界』の鏡の扉を通り抜ける際に照射される邪眼の効果を無効化する。
着用者の呪憲の制御能力を大幅に向上させる。
周囲の呪詛濃度に応じて強度が向上する。
周囲の呪詛、エネルギーの一部を吸収する事で耐久度が回復する。
耐久度が0になっても、一定時間経過後に復活する。
呪いの塊であるその身は幾つかの呪術を習得しており、装備者がトリガーを引くことで使用が可能。
『選択する呪い』『虹霓外の瞳』『虹霓外への階』
注意:この装飾品をタル以外が着用した場合、1秒ごとに毒(10)、灼熱(10)、気絶(10)、恐怖(10)のいずれかを付与する。
注意:異形度19以下のプレイヤーが鑑定すると、毒(100)、灼熱(100)、気絶(100)、恐怖(100)を与える。
注意:着用中、浄化属性を利用した状態異常に対する耐性が低下する。
注意:無効化される鏡の扉は、内部でカースを倒した眼宮に限られる。
注意:一度無効化したら、3分間無効化は出来ない。
▽▽▽▽▽
「ほぼ変わりなしね」
「ざりちゅの追加能力と同じもの、それに『虹霓外への階』と言う呪術が追加されたぐらいでチュねぇ」
強化はされていると見ていいだろうか。
いや、『虹霓外への階』の性能次第か。
後、『虹霓外への階』はルビは『カースステアトゥアウト』だが、敢えてルビを読まずに読むなら『こうげいがいへのきざはし』だろうか。
うん、性能を見よう。
△△△△△
『虹霓外への階』
レベル:使用者のレベルと同じ
干渉力:使用者の干渉力と同じ
CT:0s-0s
トリガー:[詠唱キー]
効果:対象に呪い『虹霓外への階』を付与し、一時的に異形度を1上昇させる。
呪い『虹霓外への階』:この世界の外側にあるものたち。そのものたちの下へ一瞬であれど辿り着くための階段。抗うための一歩を許す。使用者ならば任意に解除可能。付与から1分経過で解除される。
勇気はあれど力無き者よ。汝らを力はあれど勇気は無き者たちの下へと導こう。
されど誰を導くかは主の意に依ろう。
注意:使用者自身を対象にすることは出来ない。
注意:使用者は対象の名前を知っている必要がある。
▽▽▽▽▽
「「?」」
これは……どういう呪いだろうか?
『虹霓外の瞳』と同じで、私以外の誰かに呪いをかけ、異形度を上昇させる呪術であるのは分かる。
だが、この呪いを付与して何を出来るのだろうか?
それがよく分からない。
と言うかだ。
「この世界の外側……外天あるいは外宇宙……いや、現状の認識範囲だと私以外に対象となり得る存在が居ないような……もしかして……格下の相手に使って、私に攻撃を届かせ、未知を見るためだけの呪術?」
もしかしなくても私に攻撃を届かせるためだけの呪術ではないだろうか?
「ある意味たるうぃらしい呪術と言えばそうかもしれないでチュねぇ……」
「まあ、需要の有無で話をするなら、無いとは言わないけれど……」
なんと言うか、かなり特殊な呪術が来てしまった気がする。
果たして、使う時が来るのだろうか?
「とりあえずヤノミトミウノハの強化だけして、今日はログアウトしましょうか」
「でチュねぇ」
なお、この後ヤノミトミウノハに竜呪たちの血を注ぎ、強化をしてみたのだが、どうやら私自身の強化が足りないためにヤノミトミウノハの強化結果が表に出ないようだった。
なのでこの日はそのままログアウトした。
私自身の強化は……『虹霓鏡宮の呪界』の奥地、ほぼ間違いなく、あそこに行けば出来る事だろう。
△△△△△
『虹霓境究の外天呪』・タル レベル49
HP:7,250/10,360 (-3,108)
満腹度:100/150 (-45)
干渉力:148
異形度:28
交信-[ID]、虫の翅×6、増えた目×11、座標維持、呪憲・瘴熱満ちる宇宙、遍在する内臓、竜式呪詛構造体(竜血、竜骨髄、竜肉、竜瞳、竜皮、竜角×2)
称号:『超克の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『3rdナイトメアメダル-赤』、『呪い狩りの呪人』、『竜狩りの呪人』、『偽神呪との邂逅者』、『砂漠侵入許可証』、『火山侵入許可証』、『雪山侵入許可証』、『海侵入許可証』、『七つの大呪を排するもの』、『虹霓境究の外天呪』
呪術・邪眼術:
『毒の邪眼・3』、『灼熱の邪眼・3』、『気絶の邪眼・3』、『沈黙の邪眼・3』、『出血の邪眼・3』、『集束の邪眼・3』、『淀縛の邪眼・3』、『深淵の邪眼・3』、『飢渇の邪眼・3』、『暗闇の邪眼・3』、『魅了の邪眼・3』、『虹石の邪眼・3』、『恒星の邪眼・3』、『禁忌・虹色の狂眼』
呪術・原始呪術:
『交信-活性』、『交信-抑制』、『交信-選別』、『風化-活性』、『風化-抑制』、『風化-排斥』、『魔物-活性』、『魔物-排斥』、『反魂-活性』、『反魂-排斥』、『転写-活性』、『転写-排斥』、『再誕-活性』、『再誕-排斥』、『蠱毒-活性』、『蠱毒-簒奪』
呪術・渇砂操作術-ザリチュ:
『取り込みの砂』、『眼球』、『腕』、『鼠』、『化身』、『噴毒の華塔呪』、『瘴弦の奏基呪』、『禁忌・虹色の狂創』
呪術-ジタツニ:
『砂漠の呪い』、『抗体の呪い』、『大地の呪い』
呪術-ネツミテ:
『太陽の呪い』、『熱波の呪い』、『埋葬の鎖』
呪術-ドロシヒ:
『虚像の呪い』、『貯蓄の呪い』、『徴収の呪い』
呪術-ドゴスト:
『竜息の呪い』、『竜活の呪い』、『埋葬の鎖』
呪術-トテロリ:
『転移の呪い』、『不明の呪い』、『理解の呪い』
呪術-ニネナナ:
『選択する呪い』、『虹霓外の瞳』、『虹霓外への階』
呪法:
『呪法・増幅剣』、『呪法・感染蔓』、『呪法・貫通槍』、『呪法・方違詠唱』、『呪法・破壊星』、『呪法・呪宣言』、『呪法・極彩円』、『呪法・呪晶装填』、『呪法・逆残心』
所持アイテム:
『祖憑きの外喋帽呪』ザリチュ、『地憑きの外羽衣呪』ジタツニ、『陽憑きの外煌錫呪』ネツミテ、『星憑きの外玉輪呪』ドロシヒ、『竜憑きの外砲袋呪』ドゴスト、『魔憑きの外忌輪呪』トテロリ、『虹憑きの外天根呪』ニネナナ、鼠毒の竜呪の歯短剣×2、鑑定のルーペ、フェアリースケルズ、蜻蛉呪の望遠鏡、etc.
所有ダンジョン
『ダマーヴァンド』:『毒憑きの宝杯呪』ヤノミトミウノハ、呪詛管理ツール、呪詛出納ツール、呪限無の石門、呪詛処理ツール、呪詛貯蓄ツール×5設置、『熱樹渇泥の呪界』・『入子屋敷の呪地』・『塩砂湖畔の呪地』接続済み
システム強化:
呪怨台参式・呪詛の枝、BGM再生機能、回復の水-2、結界扉-2、セーフティ-2、長期保管用カプセル、『満腹の竜豆呪』ハオマ
???:
狂記外天:森羅狂象・序文-ルナアポクリフ:オルビスインサニレ・キューケン
狂記外天:森羅狂象・初稿-ルナアポクリフ:オルビスインサニレ・ターゲスアンブルフ
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06/14誤字訂正
06/15誤字訂正