表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
13章:『虹霓鏡宮の呪界・奥地』
946/1000

946:ドゴスト-1

「ログインっと……はい」

「来たでチュね。たるうぃ。そして早速でチュか」

 本日は日曜日。

 可能ならば今日で装備品のアップデートは終わらせてしまいたいところである。

 と言う訳で、私はもう準備済みであったドゴストを呪怨台に乗せた。


「ドゴスト。『虹霓境究の外天呪』である私の蔵。竜を宿し、我が血を宿すもの。新たなる姿を私の前に見せなさい」

 きちんとした作業をしなくてもいいのか?

 という感じの視線をザリチュから感じているが、ドゴストに限ってはありである。

 と言うか、前回の強化の時点でドゴストには好き勝手させていたのだから、今更である。

 そして、自分で好き勝手に強化させるからこそ、昨日の内に虹亥の竜呪の胃袋を含む竜呪たちの可食部位、それに私の血をドゴストに入れて放置しておいたのだし。

 で、呪い方についても、条件こそザリチュたちと同じにするが、細部についてはドゴストに任せた。

 そちらの方が良いと判断したからだ。


「さて、問題はなさそうね」

「みたいでチュねぇ」

 そうして無事に出来上がったドゴストが私の前に姿を現す。

 見た目は……手のひらサイズ、蘇芳色の袋だ。

 だが、これまでと違って六つの突起物が生えているし、袋の口が見当たらない。


「これは……やらかしたかしら? だとしたらちょっとお話が必要になるのだけど……」

「チュア……」

 私は新たなドゴストを手に取ると、鑑定をしてみる。

 結果は?



△△△△△

『竜憑きの外砲袋呪』ドゴスト

レベル:所有者のレベルと同じ

耐久度:100/100

干渉力:所有者の干渉力と同じ。

浸食率:100/100

異形度:25


竜、そして外天呪に由来する呪いを含む、数多の呪詛を利用して制作された、小物入れにしか見えない大きさの袋。

積極的に自己意思を示すような事は無いが、正当所有者の眷属として扱うべきではあるだろう。

この世ならざる者に通じる気配を漂わせており、正当な所有者以外が用いれば、恐ろしい呪いに襲われる事だろう。


どれほど危険な物でも中に入れてしまえば、取り出さない限りは安全。

どれほど重い物でも中に入れてしまえば、重量はなくなる。

どれほど大きな物でも、一部が中に入れば、容量が許す限りは入れられる。

その容量は所有者の土地に等しい。

物を出し入れするための口は自在に作り出せる。

所有者の身体に張り付き、引き剥がす事は難しい。


魅了完全無効化。


周囲の呪詛濃度に応じて強度が向上する。

周囲の呪詛、エネルギーの一部を吸収する事で耐久度が回復する。

耐久度が0になっても、一定時間経過後に復活する。


呪いの塊であるその身は幾つかの呪術を習得しており、所有者がトリガーを引くことで使用が可能。

竜息の呪い(クニルドセルブ)』『竜活の(エサエルセド)呪い(セルブ)』『埋葬の鎖(ボレヴァルグ)


注意:この道具をタル以外が使用した場合、1回ごとに毒、灼熱、気絶、恐怖(使用者のレベル×周囲の呪詛濃度)が付与される。

注意:所有者は、満腹度のみを低下させる効果に対する耐性、抵抗性が低下する(極大)。

注意:ゲーム内時間で25時間以上、連続で入れていた物質は消滅します。

注意:入れた者が忘れた物質は取り出せません。

注意:袋が破壊された際には、入れていた物は全て消滅する。

注意:称号『虹霓境究の外天呪』を持たないものが使用すると、使用する度にレベル低下(1)が付与される。

注意:『陽憑きの外煌錫呪』ネツミテとリンクしています。

注意:この道具を低異形度のものが見ると嫌悪感を抱く(極大)。

▽▽▽▽▽



「あ、ごめんなさいドゴスト。超強化されてるわ。貴方」

「ああ、これはかなりヤバい強化がされてるでチュねぇ……」

 鑑定結果を見た私は即座にドゴストに謝った。

 これまでの機能にマイナスは生じさせず、謝るだけの価値がある強化がされていたからである。

 実際のところ、強化内容としては容量増加、魅了完全無効化、私の身体に張り付くことが出来るようになり、口が表面の自由な場所に出せるようになった、デメリットの変更、これだけだ。

 要約してしまえば、ほぼ自由度が上がっただけとも言える。

 ザリチュたちのように、呪術が強化されたりはしていない。

 だが、それでも十分すぎるのだ。


「考えてみれば、ドゴストの呪術に直接的な強化の余地なんてないのよねぇ……」

「むしろ、これ以上強化されたらいけない部類でチュよ」

 そう、ドゴストの呪術は『竜活の呪い』も『竜息の呪い』も十分すぎるほどに強い。

 そして今回、直接的な強化はなかったが、実は間接的な強化はされているのだ。


「うん、これ、背後に撃ったりも出来るわ」

「えげつないでチュねぇ……」

 それが自由度の向上。

 新たなドゴストは、私の体の好きな場所に張り付ける。

 定位置は腰だが、必要ならば背中、腕、脚、翅の先、『竜活の呪い』発動中ならジタツニの伸びたスカートの先にだって張り付ける。

 そして、張り付いた先で、自由な方向に袋の口……言い換えれば『竜息の呪い』の射出方法1の発射口を生成する事が出来る。

 私が背後まで普通に見えている事も合わせれば、どれだけ酷い事になるかを、これ以上詳しく語る必要はないだろう。


「とりあえず無事にドゴストの強化は出来たから、いつもの作業をして、それからトテロリの強化をしましょうか」

「分かったでチュよ。たるうぃ」

 では、ログインした直後にいつもではない作業をしたのが現状なので、いつもの作業に取り掛かるとしよう。

06/12誤字訂正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] いつも更新を楽しみにしております。 [気になる点] >注意:所有者は、満腹度のみを低下させる効果に対する耐性、抵抗性が低下する(極大) 以前獲得して統合された暴飲暴食の称号ですが、 >…
[良い点] 今気づいた、強化されたのに誰も反抗してない!? タルの格が上がったからなのか絆が深まったのか強者の余裕かはたまた全部か…… なんか良い!
[一言] うん、これ、背後に撃ったりも出来るわ」 背後に発射口できても場所にきをつけないと…… ブラクロ「おいみろよ!ゲロ(口から竜息)に加えて今度は屁(尻から竜息)ーこいてるぞ」 ザリア「それが…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ