894:ミーニパレス-4
「どうにか無事に帰ってこれたわね」
「でチュねぇ」
セーフティーエリアに着いたところで、私たちは一息つく。
なお、掲示板情報になるのだが、集束の眼宮の構造は誰も見ていないタイミングで少しずつ変化するらしい。
そのおかげで中々の阿鼻叫喚具合になっているようだ。
まあ、頑張っていただきたい。
「さて、蛇界の竜呪の解体と行きましょうか」
「そうでチュね。やってしまうでチュ」
では、彼らの無事を願いつつも、私は蛇界の竜呪の解体をしていく。
その結果手に入ったのは……目、皮、牙、肉、骨、血、翼、紫角、赤角の九種類。
性能については他の竜呪と大して変わらず。
ただペナルティの内容が、小人を単純に付与したのではメリットにしかならないからだろう、少し変わっている。
で、個人的に内容が気になった鑑定結果が肉、紫角、赤角になる。
△△△△△
蛇界の竜呪の肉
レベル:40
耐久度:100/100
干渉力:135
浸食率:100/100
異形度:20
蛇界の竜呪の体を構成する肉。
濃厚な呪いと旨味を秘めた肉であり、部位によって色と風味が異なる不思議な肉でもあるが、人が食べれば一口で呪いそのものと化すだろう。
この世ならざる存在である竜の肉は、この世ならざる美味でもある。
注意:異形度19以下の存在が食べると、100%の確率でランダムな呪いを異形度が20になるまで複数個、恒常的に得ます。
注意:異形度19以下のプレイヤーが鑑定すると、小人(100)、移動不能(255)、干渉力低下(100-鑑定者の異形度)を与える。
注意:周囲の呪詛濃度が15以下の空間では存在できない。
▽▽▽▽▽
△△△△△
蛇界の竜呪の紫角
レベル:42
耐久度:100/100
干渉力:135
浸食率:100/100
異形度:20
蛇界の竜呪の額から生える、紫色の螺旋状の角。
加速すればするほど鋭く尖ると言う性質を有しており、その硬度と強度もあって、刺し貫けないものは限られるだろう。
この世ならざる存在である竜の角は、安易に扱ってはいけない。
この角による攻撃時、対象の防御力の一部を無視する。
注意:異形度19以下のプレイヤーが鑑定すると、小人(100)、移動不能(255)、干渉力低下(100-鑑定者の異形度)を与える。
注意:周囲の呪詛濃度が15以下の空間では存在できない。
▽▽▽▽▽
△△△△△
蛇界の竜呪の赤角
レベル:42
耐久度:100/100
干渉力:135
浸食率:100/100
異形度:20
蛇界の竜呪の額から生える、赤色の螺旋状の角。
加速すればするほど鋭く尖ると言う性質を有しており、その硬度と強度もあって、刺し貫けないものは限られるだろう。
この世ならざる存在である竜の角は、安易に扱ってはいけない。
この角による攻撃時、対象の耐久度に与えるダメージが大幅に増加する。
注意:異形度19以下のプレイヤーが鑑定すると、小人(100)、移動不能(255)、干渉力低下(100-鑑定者の異形度)を与える。
注意:周囲の呪詛濃度が15以下の空間では存在できない。
▽▽▽▽▽
「ペナルティが容赦ないわね。妥当だけど」
「まあ、小人だけだと悪用し放題でチュからね」
私には関係のない事だが、ペナルティを踏んでしまうと、体が小さくなった上にその場から動けなくなり、干渉力も低下と、危険な場所でなったなら死に体としか言いようのない状態になってしまうようだ。
それでも他の竜呪のペナルティに比べれば優しい気もするが。
「肉は……フルーティーな感じね」
「フルーティーでチュか」
「ええ、場所によって少しずつ味……と言うほどじゃないわね。フレーバーが違う感じね」
≪呪い『劣竜式呪詛構造体』がアップデートされました≫
蛇界の竜呪の肉の味は少し変わっていた。
見た目が虹色であるが、肉はきちんと肉の味をしているし、美味しくもある。
ただそれに加えて肉の色に応じるように果物の風味を僅かに感じるのだ。
とりあえず私が感じ取った限りだと……赤はリンゴ、橙はオレンジ、黄色はレモン、緑はメロン、青はブルーベリー、紫はブドウだと思う、たぶん。
水色部分はちょっとよく分からなかった。
水色の果実と言われても心当たりはないし。
「これ、ジャーキーとかにしたらいいかもしれないわねぇ」
「数はあるんでチュから、後で作ればいいんじゃないでチュか?」
「そうね。一本通しで干して作ってみようかしら」
それと、赤と紫の身の中でも端の方、元の身体で言えば顔の先端くらいの部分なのだが、そこの味も少し変わっていた。
色で言えば赤紫に当たるであろう部分なのだが、そこはこう、ほんの僅かに甘味を感じたが……心当たりが特にあるような果実ではなく……たぶん一般的にはあまり知られていない果物だと思う。
そう言えばコムラサキと言う果物があったような気がするが……うーん?
プルプルと言うかフルフルと言うか、ちょっと不思議だった。
「角も色によって効果が変わるんでチュね」
「そうみたいね。敵として出ていた時はどうだったのかしら?」
「ざりちゅが感じた限りでは特に差は感じなかったでチュねぇ」
閑話休題。
角は武器として有用そうな感じだ。
私が使うかと言われれば怪しいが、何かしらの利用方法は考えておいてもいいかもしれない。
「じゃあ、とりあえず蛇界の竜呪一匹分の肉を切れ目なくジャーキーにしてみましょうか」
「でチュねー」
その後、蛇界の竜呪の肉でジャーキーを作り始め、後は干すだけとなったところで、時間がいい感じになったので、ログアウトした。




