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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
12章:『泡沫の大穴』
883/1000

883:アウター-1

「無いわー、本当に無いわー。『CNP』は良いゲームだけど、この称号関係だけは本当にクソだわー……」

『たるうぃがガチでやる気をなくしているでチュねぇ……』

 ザリチュが何か言っているが、愚痴の一つくらいは言いたくなって当然だろう。

 『虹霓境究の外天呪』と言う称号を得た結果として、私がこれまでに得た称号がだいぶ無くなった……いや、統合されてしまったのだから。


「幸いなのはこちらのスペックには影響がない事かしらね。特定の称号が必要な装備に関しても、たぶんこれに巻き込まれた場合は大丈夫だと思う。と言うか、これで駄目になったら、流石に切れるわ」

『まあ、そうでチュよね』

 幸いにして『CNP』の称号は、称号があるから特定の能力を得るのではなく、特定の能力を得たからこそ称号を手にする、と言うものである。

 なので、称号が統合されても、私のスペックには影響は出ない。

 それから一部のアイテムには特定の称号がないと扱えないタイプの物があるが、そちらについても仮に巻き込まれたとしても影響はないだろう。

 と言うかそうでないと流石に困る。


『と言うかたるうぃ。そこまで言うなら、自分が過去に取得した称号の詳細を確認するアイテムや呪術を作ればいいじゃないでチュか』

「そんなリソースの余裕はないわ。物資、時間、容量、いずれにおいてもね」

『他のプレイヤーに頼むのはどうでチュ? 検証班とか絶対に協力してくれるでチュよ』

「検証班が自分で勝手に開発して、それを私が偶々見かけて、それを使わせてもらえる。ぐらいに整っているなら話は変わるけど、そうでないならリソース不足は検証班も同じなんだから、頼む気は無いわね。と言うか、私からの頼みごとをこなす暇があるのなら、検証班独自の物を作って披露して欲しい」

『これだから未知狂いは……チュアアアアアッァァァァァッ!?』

 とりあえずザリチュは抓った。

 さて、それではそろそろ『虹霓境究の外天呪』の称号の内容を確認するとしよう。

 とは言え、ルナアポがルナアポなので、期待は出来ないが。



△△△△△

虹霓(こうげい)境究(きょうきゅう)の外天呪』

効果:詳細不明、複数の効果を有しているのは確かである。

条件:???


詳細不明。

虹霓の境の外より来りて、虹霓の境の外へと向かわんとする呪い、であるようだ。

一つ確かなこととして、ただの人間がその正体に気づいてしまった場合、そのままでいられる可能性は存在しないと言う事だ。

▽▽▽▽▽



「知ってた……」

『でチュよねー』

 はい、詳細不明。

 外天呪がどの程度の地位であるかは分からない。

 だが偽神呪ともそこまで離れている存在ではないのだろう。

 そうなれば、仮称裁定の偽神呪であっても詳細をくまなく把握する事は叶わないのだろう。

 後、私自身がまだ自分自身の細部まで知り尽くしているわけではない、と言うのもあるだろうか。


「まあ、分からないところについては置いておきましょう。それよりも優先するべき事は色々とあるもの」

『前々から気になっていたでチュが、たるうぃって案外深くまで掘り下げないと言うか、興味を失ったものを、もう一度追うってことはしないでチュよね』

「そりゃあそうよ。称号の通り、私は虹霓の境……認識可能領域の限界点を目指し、広げるのがメインだもの。虹霓の中にあっても、盲点と言うべき場所に入り込んでしまったものを追うとしたら、見えている範囲だけでは境を広げられない場合だけよ」

『なるほどでチュ』

 私はセーフティーエリアの隅へと目をやる。

 そこにはまあ、作りかけで放置し、今に至るまで忘れていたものたちが置かれている。

 残念ながら、これらのアイテムは手入れも怠っていたので、廃棄する他ないだろう。

 これが臭いを放つものであったりすれば、それで気付いて忘れないのだろうけど……まあ、忘れた以上は仕方がない。


『で、これからどうするでチュ?』

「今日のところはそろそろ切り上げかしらね。あ、虹蛇の贋魔呪の死体は出しておかないと」

 私はドゴストから虹蛇の贋魔呪の死体を取り出しておく。

 折角回収した小人関係の希少素材なのだから、きちんと保管しておかなければ勿体ないなどと言う次元では済まない。


「で、明日は、虹蛇の贋魔呪に合うような他の素材集めをするわけだけど……」

 私の脳裏に幾つかの名前が浮かんでは消え、それらを組み合わせて『小人の邪眼・2(タルウィミーニ)』を強化する方法も浮かんでは消えていく。

 まあ、最も重要とも言える素材はこうして手に入ったので、何とかはなるだろう。


「ん?」

『どうしたでチュか?』

 そうして考えると、私の背後から私に向けて呪いの塊のようなものが迫ってくる。

 その呪いの塊は明らかに敵意と殺意に溢れており、攻撃的なものだ。

 そして呪詛支配も効かない。

 此処がセーフティーエリアであることも考えると、極めて異常な事とも言える。


「ルナアポ」

『んんっ? なんでチュかそれ?』

 だが気づいたなら対処は幾らでも出来る。

 と言う訳でルナアポを生成、呪いの塊に突き刺して動きを止めると同時に、呪いの塊がどのようなものなのかを理解する。

 呪いの塊は……


「ゼンゼ発、ムミネウシンム経由、継続ダメージに各種デバフと石化を与える呪いって何よ、これ」

 以前の私ならば少々厄介そうなものだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] お、お母様!?(遅い) まあともかく、タルというか羽衣って意外と『積んでる』ものありそう こう、手に入れたことで満足して手をつけてないやつ
[良い点] >ムミネウシンム だいぶ前に出てきた琥珀食べてた大きい蜂でしたっけ? それを経由できるってまたヤバいことが起こりそうですね。 [一言] 読者的にはワクワクします
[一言] 正体に気づいたらってこれ SANチェック1000d100/100位ありそう。 SANチェック成功!あなたはすぐに精神が 崩壊することなく耐える事に成功してしまった! SANチェック失敗!あな…
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