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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
12章:『泡沫の大穴』
866/1000

866:ヘヴィパレス-1

 扉を抜けたらそこは宇宙だった。


「「「……」」」

「「「ええっ……」」」

「「「何がどうなればこんな……」」」

「シロホワの顔が完全に宇宙猫のそれな件について……アイダァ!?」

「これでもブレない辺り、流石だよな、お前」

 はい、と言う訳で、ブラクロがシロホワからのローキックを喰らっているが、まずは状況説明。

 各種確認を終えた私は新しい眼宮に向かった。

 すると淀縛の眼宮(ボンドパレス)の一件で懲りたのか、誰も先行しようとせず、入念な準備を整えると同時に私の到着を待つプレイヤーたちに遭遇。

 その中にザリアたちいつもの面々も居たので、一緒に眼宮へ突入した。

 そうしたら扉の先が宇宙だったのだ。

 うん、説明が足りない。


「えーと、空気、重力、呪詛はあるわね」

「敵影は現状なしね。周囲への警戒を怠らないように」

「……。この床の材質は……なんだ?」

「さあ? 金属の板、植物、水晶のようなものが入り混じっているように見えますけど」

 では追加説明。

 私たちが現れたのはドームの中心のような場所であり、他の眼宮と違って鏡の扉の裏側にも空間が広がっているというか、全方位に空間が広がっている。

 足場は単一の金属を綺麗な板状にしたもの、蔓状植物を編んで布状にして張ったもの、水晶あるいはオパールのような物体を板状に荒く生成したものを、複雑怪奇に組み合わせたものであり、まるで植物が枝葉を伸ばすように全方位へと足場が伸びている。


「時々コブみたいに膨らんでいるような場所が見えるのが気になるな」

「そうだな。道が分かれる場所で膨らんでいるわけでもなし、妙だ」

「そもそもあんな場所にどうやって行くんですか? 普通の人は登れないような坂道とかありますけど」

「なんと言いますか、とても不思議な場所ですよね。ここもコブの中っぽいですけど」

 そして、その足場の隙間から見えるのは、暗黒空間と無数の星々。

 太陽のように大きく輝いている星もあるし、正に宇宙空間と言った光景が広がっている。

 なお、理由は不明だが、この空間の呪詛は視認範囲を阻害する効果がほぼ無いらしく、この場に居る全員がほぼ同じような光景を見ているようだ。


『たるうぃ、もしかしなくてもあの宇宙空間は『理法揺凝の呪海』なんじゃないでチュか?』

「……」

 まあ、ザリチュの言う通り『理法揺凝の呪海』によく似てはいる。

 境界部分とか、『泡沫の世界』とかを除けば、たぶんほぼ同じになると思う。

 なので無関係ではないのだろう。


「と、首だけ竜が来たわね」

「「「!?」」」

 と、ここで首だけ竜が一体だけだが姿を現す。

 まるでドームの外から中を覗き込むようにしている。

 そして、首だけ竜の出現と同時に、首だけ竜へと引き寄せられるような引力が僅かにだが生じる。

 突然見えたことも考えると……うん、ドームの内外で認識や能力が途切れるようになっているのだろう。


「全員散開! とっとと倒すわよ!」

「りょ……散開しづらぁ!?」

「例の引力だ! 離れようとすると一気に強まるぞ!!」

「うわっ、ちょっ、早く動いて……!?」

 あーうん、どうやら眼宮に突入した人数が多すぎたらしい。

 首だけ竜の引力によって行動範囲が制限されているのもあって、渋滞が発生してしまっている。

 なお、私のように空を飛べるものは早々に上方向へ、クカタチのように便利な体を持つものは蔓の間を通る事で下方向へと、スムーズに移動している。


「シャアッ!」

「撃たせないわよー」

 首だけ竜が重力ブレスを撃とうとする。

 なので私は『気絶の邪眼・3(タルウィスタン)』で首だけ竜の動きを止めようとした。


「シャゴン!?」

「あっ」

「……。ふせ……ぬぐおっ!?」

 が、どうやら止めきれなかったようだ。

 一瞬だが重力ブレスが放たれ、何故か黒い線のように見えるそれが、まだ渋滞状態にあるプレイヤー集団に向かって直進。

 咄嗟にロックオが盾を構えて迎撃しようとした。


「ロックオが吹き飛ばされたぞー!」

「盾ごと吹き飛ばされ……死に戻り!?」

「一撃とかマジかよ……」

「火力特化で説明が付くレベルじゃないんですけどぉ!?」

「相手の攻撃は防御力無視系の攻撃だと仮定します! 各自気を付けてください!!」

 しかし、ロックオは吹き飛ばされ、あろうとことかそのまま死に戻りしてしまった。

 ロックオは現状の『CNP』プレイヤー内では有数のタンク役のはず。

 渋滞のせいで本領が発揮できなかった可能性もあるが、それよりはストラスさんの言った防御力無視の方があり得そうか。


「とりあえず鑑定っと」

『マイペースでチュねぇ……』

「だって私はいざとなれば逃げられる位置にいるし……」

 まあ、とりあえず首だけ竜を鑑定してしまおう。

 ヘイト稼ぎとしてもちょうどいい。



△△△△△

恒葉星の竜呪 レベル40

HP:325,688/325,688

有効:なし

耐性:灼熱、沈黙、出血、小人、干渉力低下、乾燥、魅了、石化、質量増大、重力増大、引力増大

▽▽▽▽▽



「ジャゴ!?」

「ふうん、恒葉星の竜呪ね」

 首だけ竜改め恒葉星の竜呪が私の方を向く。

 そして、何かしらの攻撃を仕掛けようとするが……


「うおらぁ! ロックオの仇ィ!」

「ジャゴォ!?」

 そのタイミングでブラクロの跳び蹴りが恒葉星の竜呪の目に直撃。

 続けてザリアたちの攻撃も殺到していき、恒葉星の竜呪はあっさりと倒されたのだった。

 やはり恒葉星の竜呪は火力特化であったらしい。

03/24誤字訂正

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― 新着の感想 ―
[一言] 恒葉星さん即落ち乙 単体ではあっさりだけど奥地では会いたくないような…
[気になる点] 試練で出てきた個体は首から下が花弁で覆われていましたが、眼宮に出てくる個体はもしかして葉っぱで覆われてます? 花弁で覆われている個体の名前が、恒『葉』星の竜呪とは思えなかったので。 […
[一言] ロックオの即オチは防御力無視だったのか、単純に超火力で削られたのか…
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