865:タルウィヘビィ・3-4
本日は四話更新になります。
こちらは四話目です。
「ふむ、今回は随分とあっさりと終わらせたようだな」
「利用できるギミックはあったし、相手の耐久性能は控え目、こちらの火力は十分。これだけ揃っていれば、そりゃああっさりよ」
「むしろー……あっさり終わらないとー……負けますよねー」
『悪創の偽神呪』が姿を現す。
首だけ竜との戦闘を私たちがあっさりと終わらせた事に不満がありそうな口ぶりだが、早々に終わらせるための条件はそろっていたし、エヴィカの言う通り、あっさり終わっていなかったら、こっちが壊滅させられていただろう。
首だけ竜はどう考えても火力に能力が振られているタイプだったし。
「くくく、それはそれで見物になったと思うが……まあいい、試練はこれで終わりだ」
「分かったわ。エヴィカ、今回はありがとうね」
「楼主様のー……お手伝いが出来てー……何よりですー……どやぁ」
エヴィカがドヤ顔をする。
向けている先は……邪火太夫か、何処から取り出したのか、ハンカチのようなものを口に咥えて引っ張っている。
また古典的であるし、本心は何とも思っていないだろうに……。
「では、後三回も楽しみにさせてもらおう」
「期待に沿えるかは分からないけどね」
≪呪術『恒星の邪眼・3』を習得しました≫
≪タルのレベルが45に上がった≫
そうして私たちは元の世界へと戻される。
で、いつも通りのアナウンスも流れた。
『戻ってきたでチュか。今回は随分と早かったでチュねぇ』
「戻ってきたわよ。相手が火力型だったから、早かったのよ」
『なるほどでチュ』
戻ってきた私の頭にザリチュがはまる。
どうやらあまりにもあっさりかつ早くに終わったために、こちらではザリチュが私の頭から地面に落ちるまでの時間すら経過しなかったようだ。
「えーと、掲示板、掲示板」
『いつもの書き込みでチュね』
さて、『恒星の邪眼・3』の性能確認とステータスチェックの前に、掲示板へ動画を上げると共に、重石の眼宮あるいは恒星の眼宮への進入許可を自己責任の元に出しておく。
うん、これでよし。
では、『恒星の邪眼・3』の性能確認といこう。
△△△△△
『恒星の邪眼・3』
レベル:45
干渉力:150
CT:30s-60s
トリガー:[詠唱キー][動作キー]
効果:対象に中確率で質量増大(1)+高確率で重力増大(対象周囲の呪詛濃度-5)+高確率で引力増大(対象周囲の呪詛濃度-10)を与える。
伏呪
トリガー:[詠唱キー]
効果:この呪術の効果によって生じた状態異常のスタック値が減少する度に、幸運値低下(周囲の呪詛濃度)を与える。
貴方の目から放たれる呪いは、敵がどれほど堅い守りに身を包んでいても関係ない。
全ての守りは破れずとも、相手の守りごと重くして、引きつけていくのだから。
そして、増大した重さは悪縁すら招く。
注意:使用する度に満腹度が2減少する。
注意:伏呪使用時には更に満腹度が1減少し、幸運値低下(1)を受ける。
▽▽▽▽▽
『引力増大に幸運値低下、でチュか』
「幸運値なんてあったのね。で、これが低下した状態となると……まあ、色々とマイナスの効果は起きるんでしょうね」
さて、結構な変化が起きている。
使用後CTの短縮、重力増大の効果上昇、新たに加わった引力増大、伏呪として追加された幸運値低下、うん、かなりの変化だ。
単純強化部分はさておいていい。
伏呪使用時の詠唱が『恒星の邪眼・3』なのも、まあ、深くは気にしなくていいだろう。
問題は引力増大と幸運値低下だ。
「まあ、分かり易い所から片づけましょう。引力増大はたぶんだけど、引力増大の状態異常にかかっているものに対して、周囲のものが引き寄せられていく。というものだと思うわ。何度か試さないと確証は持てないけれど、使い方を考えないと、敵に有利に働きかねない効果になるわね」
『それは……近接戦闘を得意とする者にとっては逆にありがたいものになってしまうでチュねぇ』
引力増大は効果量次第だが、使い方を気を付ける必要があるだろう。
周囲の砂塵や落ちている小石や武器の類が敵に落ちていくなら問題はないが、私や周囲の味方まで落とされるようになったら問題である。
まあ、首だけ竜相手に何度か試してみるとしよう。
「幸運値低下は……黒招輝呑蛙ホイホイになりかねないと思うのよねぇ……」
『なると思うでチュよ……』
「まあ、普通に使う分には、確率で決定されるものが不利な方向に働きやすくなる、程度だと思うけど」
『まあ、そうでチュよね。幸運値低下だけならでチュが』
幸運値低下は……扱いに気を付けた方がいいだろう。
極端な不幸と言うのは、本人だけでなく周囲にも厄災をもたらしかねないものだからだ。
例としては『転移の呪い』で良からぬものを招いてしまう場合。
幸運値低下状態で私が『転移の呪い』を使った場合、恐らくだが普段よりも良からぬものを招いてしまう可能性が高くなるのではないだろうか?
「……。もしかしたら、黒招輝呑蛙が来るならまだマシな方なのかもしれないわね」
『えっ、なんでチュかその怖い話は……』
いや、場合によってはだ。
黒招輝呑蛙よりもっと危険なのが来るかもしれない。
黒招輝呑蛙は確かに危険で、一瞬でも対処が遅れれば殺される相手だが、満足すれば素材を置いた上で帰ってくれる相手なのだから。
うん、自分で思いついてしまって、少し考えてみたが、普通にあり得そうである。
「うん、慎重に使いましょう。強化はされたけど、安易には使えなくなってしまったと考えるべき内容だし」
『でチュねぇ』
では、ステータスの確認を終えたら、新しい眼宮へと向かうとしよう。
△△△△△
『虹霓竜瞳の不老不死呪』・タル レベル45
HP:4,052/4,320
満腹度:126/150
干渉力:144
異形度:28
交信-[ID]、虫の翅×6、増えた目×11、空中浮遊、呪憲・瘴熱満ちる宇宙、遍在する内臓、劣竜式呪詛構造体(劣竜血、劣竜骨髄、劣竜肉、劣竜瞳、劣竜皮、劣竜角×2)
称号:『呪限無の落とし子』、『生食初心者』、『ゲテモノ食い・3』、『毒を食らわば皿まで・3』、『鉄の胃袋・3』、『暴飲暴食・3』、『大飯食らい・2』、『呪物初生産』、『呪術初習得』、『呪法初習得』、『毒の王』、『灼熱の達人』、『沈黙の名手』、『出血の達人』、『淀縛使い』、『恐怖の達人』、『小人使い』、『暗闇使い』、『乾燥使い』、『魅了使い』、『重力使い(増)』、『石化使い』、『呪いが足りない』、『かくれんぼ・1』、『ダンジョンの創造主』、『意志ある道具』、『称号を持つ道具』、『超克の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『3rdナイトメアメダル-赤』、『邪眼術士』、『呪い狩りの呪人』、『竜狩りの呪人』、『呪いを支配するもの』、『偽神呪との邂逅者』、『呪限無を行き来するもの』、『砂漠侵入許可証』、『火山侵入許可証』、『虹霓竜瞳の不老不死呪』、『生ける呪い』、『雪山侵入許可証』、『海侵入許可証』、『呪海渡りの呪人』、『泡沫の世界の探索者』、『確立者』、『崩界者』、『七つの大呪を排するもの』
呪術・邪眼術:
『毒の邪眼・3』、『灼熱の邪眼・3』、『気絶の邪眼・3』、『沈黙の邪眼・3』、『出血の邪眼・2』、『小人の邪眼・2』、『淀縛の邪眼・3』、『深淵の邪眼・3』、『飢渇の邪眼・3』、『暗闇の邪眼・3』、『魅了の邪眼・3』、『石化の邪眼・2』、『恒星の邪眼・3』、『禁忌・虹色の狂眼』
呪術・原始呪術:
『交信-活性』、『交信-抑制』、『交信-選別』、『風化-活性』、『風化-抑制』、『風化-排斥』、『魔物-活性』、『魔物-排斥』、『反魂-活性』、『反魂-排斥』、『転写-活性』、『転写-排斥』、『再誕-活性』、『再誕-排斥』、『蠱毒-活性』、『蠱毒-簒奪』
呪術・渇砂操作術-ザリチュ:
『取り込みの砂』、『眼球』、『腕』、『鼠』、『化身』、『噴毒の華塔呪』、『瘴弦の奏基呪』、『禁忌・虹色の狂創』
呪術-ジタツニ:
『砂漠の呪い』、『抗体の呪い』
呪術-ネツミテ:
『太陽の呪い』、『熱波の呪い』、『埋葬の鎖』
呪術-ドロシヒ:
『虚像の呪い』、『貯蓄の呪い』
呪術-ドゴスト:
『竜息の呪い』、『竜活の呪い』、『埋葬の鎖』
呪術-トテロリ:
『転移の呪い』、『不明の呪い』
呪術-ニネナナ:
『選択する呪い』、『虹霓外の瞳』
呪法:
『呪法・増幅剣』、『呪法・感染蔓』、『呪法・貫通槍』、『呪法・方違詠唱』、『呪法・破壊星』、『呪法・呪宣言』、『呪法・極彩円』、『呪法・呪晶装填』、『呪法・逆残心』
所持アイテム:
『竜鱗渇鼠の騎帽呪』ザリチュ、『地憑きの羽衣呪』ジタツニ、『陽憑きの錫杖呪』ネツミテ、『星憑きの玉輪呪』ドロシヒ、『竜憑きの袋呪』ドゴスト、『魔憑きの指輪呪』トテロリ、『虹憑きの根付呪』ニネナナ、鼠毒の竜呪の歯短剣×2、鑑定のルーペ、フェアリースケルズ、蜻蛉呪の望遠鏡、etc.
所有ダンジョン
『ダマーヴァンド』:呪詛管理ツール、呪詛出納ツール、呪限無の石門、呪詛処理ツール、呪詛貯蓄ツール×5設置、『熱樹渇泥の呪界』・『入子屋敷の呪地』・『塩砂湖畔の呪地』接続済み
システム強化
呪怨台参式・呪詛の枝、BGM再生機能、回復の水-2、結界扉-2、セーフティ-2、長期保管用カプセル、『満腹の竜豆呪』ハオマ
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03/24誤字訂正