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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
12章:『泡沫の大穴』
807/1000

807:ハングパレス-1

「ログインっと」

「久しぶりに感じる台詞でチュねー」

 『CNP』にログインした。

 と言う訳でいつもの作業をまずはしていく。

 で、それらが終わったら、鼠ゴーレムに眼球ゴーレムと適当な皮をなめして作った紙に文字を書いた手紙を……ちょっと待とう。


「えーと、文字とかって特に気にしなくていいわよね」

「何の話でチュか?」

「いや、ここ数ヶ月『CNP』の中で現地の文字に触れた記憶がないから、私たちの文字をそのまま使っても大丈夫だったかな? と」

「何の問題もないでチュけど?」

「そう、ならよかったわ」

 では、聖女ハルワに宛てた手紙を作成。

 内容は……『虹霓鏡宮の呪界』という場を不特定多数のプレイヤーの探索場所として開きたいので、見極めに協力してほしい、そのために必要な話し合いの場を持ちたい、と言うところだろうか。

 そして、書いた手紙は眼球ゴーレムも内蔵させたネズミゴーレムに持たせ、サクリベスに向かわせる。


「……。一応聞いておくでチュが、ちゃんと呪詛濃度が低い空間でも存在できる素材を使ったでチュよね?」

「そこは間違えてないから大丈夫よ」

「ならいいでチュ」

 うん、問題はないはず。

 使った皮が何かしらのカースのものであることは否定しないが。

 その後、宝物庫で回収したアイテムの状態も念のために確認、問題が起きてないことを確かめておく。


「じゃ、ザリアたちももう集まっているでしょうし、飢渇の眼宮(ハングパレス)に向かいましょうか」

「分かったでチュ」

 では飢渇の眼宮に向かうとしよう。

 私は飢渇の眼宮に繋がる鏡の扉の前へと向かう。


「待ってたわ、タル」

「もうメンバーは揃っている感じかしら?」

「ええ、一通りは揃っているから、何時でも行けるわ」

 飢渇の眼宮の鏡の扉の色は無色透明。

 そのため、私たちの姿を映すと同時に、門の向こう側がどうなっているかも見えている。

 そう、見えているのだ。


「それにしても虹色の砂漠ねぇ……」

「黒色の砂漠じゃなくてよかったと内心では思ってる」

「黒色の砂漠、聞こえてくる音楽、迫りくる木の根、うっ、頭が……」

「それは悪夢だったんだ。忘れたほうがいい」

「……。ネタは程々にしておけ」

 光の加減なのか、あるいはそう言う鉱物なのかは分からないが、虹色に輝いて見える砂漠という光景が。

 そして行き先が砂漠と分かっているためだろう。

 ザリアは別として、他のプレイヤー……シロホワやマントデア、ライトリカブトと言った面々は対砂漠用と思しき装備に身を包んでいる。

 準備は万端のようだ。


「ねぇザリア。飢渇の眼宮(ハングパレス)については私に配慮して今回が初探索のようだけど、昨日のイベント後に他の眼宮に入ったプレイヤーは居るのかしら?」

「何人かは居るわね。ブラクロとかマントデアとか。結構居たと思うわよ」

「そう。じゃあ入った人に質問。イベント前からの変化とかはあったかしら?」

 が、それはそれとして、虹色の砂漠という光景には少々気になるものがあるので、先に確認できることはしておく。

 私の異形度上昇及び『呪憲・瘴熱満ちる宇宙(タルウィ)』の熟練度上昇による影響がなかったかは確かめておいた方がいい。


「俺が見た限りでは特にそう言うのはなかったな」

「同じく」

「私も知りませんね。タル様」

「私もそう言うのは感じなかったなぁ」

 返ってくる言葉はどれも変化はなかったというもの。

 ならば、飢渇の眼宮は元からこういう場所で、私の気にしすぎで済みそうか。


「んー……俺は多少の臭いの変化は感じたな」

「詳しくお願いするわ。ブラクロ」

 と思っていたら、ブラクロが思案顔で変化を感じたとか言い出した。

 直ぐに全員の顔と注意がブラクロに向く。

 おふざけモードというか慢心モードというか、そういう状態のブラクロはいつものとかギャグとかで流していいが、真面目かつ油断していない時のブラクロの言葉はきちんと聞いた方がいいと、この場にいる全員が理解している動きだった。


「ふぅ。全員から注目を集めるなんて照れ……ぶふぅ!?」

「はい、兄はとっとと喋りましょうねー」

「おう……」

 あ、でも、今は駄目かもしれない。

 シロホワのツッコミが入るレベルだし。

 いやでも情報を取得した時のブラクロは違うかもしれないので、話はちゃんと聞こう。


「『恐怖の眼宮(テラーパレス)』の探索をしていたんだが、恐羊の竜呪以外の竜呪の臭いが微かにしたんだよ。ああ、他のプレイヤーの所有物が臭ったわけじゃないぞ。単独かつ生きている奴の臭いだった。ちなみに他の眼宮では臭いはなしだ」

「「「……」」」

 ちゃんと重要な情報だったか。

 しかし、『恐怖の眼宮』で恐羊の竜呪以外の竜呪の臭いがしたとなると……。


「収奪の苔竜呪を一度でも倒すと解放されるトンネルの先が解放されたとかかしら?」

「可能性が一番高いのはそれだと思います。他の場所の収奪の苔竜呪は未だに手付かずなので」

 あの、試練版の竜呪をメインとしつつも他の竜呪も入り乱れる混沌としたエリアが解放された可能性があるということか。

 解放条件は不明だが、後で一度見に行った方がいいかもしれない。


「まあ、今から行く砂漠そのものに影響は出てなさそうだし、順番に見ていきましょうか」

「そうね。まずは飢渇の眼宮からにしましょう」

 だが、今すぐに対処しないと危険な案件と言うわけでもなさそうだ。

 私はそう判断すると、シロホワから状態異常無効化のバフをもらった上で、飢渇の眼宮に突入した。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] おふざけモードというか慢心モードというか、そういう状態のブラクロはいつものとかギャグとかで流していいが、 の中盤の一文なんですが、 いつもの とか は、いつもの かと ではないでしょ…
[一言] >黒い砂漠‥‥うっ、頭が プレイヤーに新しいトラウマを背負い込ませてる件について
[一言] >適当な皮をなめして作った紙に文字を書いた手紙 今タルの手元にありそうな適当な皮ってカースの皮ですよね。そんな禍々しい代物を送りつけるなんて……これでタルの血で文字が書かれていたらある意味…
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