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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
11章:『盗賊恐れる宝物庫の悪夢』
802/1000

802:5thナイトメア5thデイ・ドラゴン-6

≪称号『崩界者』を獲得しました≫

「む、変な称号が来たわね」

『ソーデチュカー』

 『幸福な造命呪』をその世界ごと葬り去った私は、呪限無の深層に飛ばされていた。

 まあ、当然の事である。

 二日目に宝物庫の壁を壊した時ですら此処に飛ばされたのだから、宝物庫そのものを消滅させたのだから、此処に飛ばされるのは当然のことだ。


『……。当たり前のように防御には成功しているんでチュね』

「だって二度目だもの。『竜活の(エサエルセド)呪い(セルブ)』もまだ効果時間中だし。後、呪いを弾いておかないと『太陽の呪い(ノームセルブ)』とかがね……」

『言われてみればそうでチュねぇ』

 では周囲を確認。

 イベントマップは……残っている。

 たぶんだが、宝物庫部分が消し飛んだだけで、他の諸々はそのままなのだろう。

 アジ・ダハーカの様子は変わらずで、呪限無の底と言うかその先に向けて掘り進めているようだ。

 イベントマップに伸びていた蔓は全てなくなっている事も併せて考えると、アジ・ダハーカにとってザッハークはやはりどうでもよい相手だったと言う事だろうか?


「じゃ、とりあえず戻るわよ」

『分かったでチュ』

 さて、何時までも此処に居ても、リスクが増すばかりだ。

 なので私はイベントの領域に近づいていき、中に入っていく。


「此処は……」

『クレーターの直上、と言う感じでチュねぇ』

「クレーターが出来る前に何があったのかは考えるまでもないわね」

 私の視界に映る光景が変化する。

 呪限無の深層から、直径数キロメートルに及ぶ巨大なクレーターの真ん中へと。

 ほぼ間違いなく『ユーマバッグ帝国』の首都にして、宝物庫があった場所であり、私の行為の結果としてこのような地形に変貌したのだろう。


『確認するでチュか?』

「……。イベント後にしておきましょう。今は安全圏への移動を急ぎたいわ」

 『竜活の呪い』の効果時間は後10分ほどのはず。

 効果時間が終わった後にはマトモに身動きを取る事も出来なくなるので、その前には安全圏に移動しておきたいところだ。

 『崩界者』の称号については、『確立者』と同系統と言うか同格の何かであるように思えるので、イベント後に一人で確認しておきたい。


「じゃ、移動を……」

≪タルのレベルが42に上がった≫

≪呪術『不老不死-選別』、『風化-排斥』、『魔物-排斥』、『反魂-排斥』、『転写-排斥』、『再誕-排斥』、『蠱毒-簒奪』を習得しました≫

≪称号『七つの大呪を排するもの』を獲得しました≫

「……」

『追加が来たでチュねぇ……』

 移動しようと思ったら、追加の通知が来た。

 なんでこのタイミングなのかと一瞬思ったが、きっと『崩界者』の方が特殊なのであって、こちらの方が正規と言うか普通の通知なのだろう。

 まあ、こちらもまた安全圏に移動してからだ。


「もう無いわね?」

『無いでチュね』

 では改めて移動を……。


「タルだ! ころ……!?」

「アアアアアアアアアアァァァァァアァァァッ!?」

「ギヤアアアアアアアァァァァァ!?」

「反射的にやっちゃったけど大丈夫よね?」

『武器を構えながらこっちに向かって来ている時点で、配慮の必要はないと思うでチュよ』

 と思ったら、今度は武器を構えたり、呪術の発動準備をしながら突っ込んできたプレイヤーの集団が居たので、効果持続中の『熱波の呪い(ドロクセルブ)』によって焼き払う。

 今の私の干渉力ならば、ちょっと薙ぎ払うように呪詛を動かすだけで相当な火力が出せるらしく、突っ込んできたプレイヤーは全身が黒炭になって死に戻った。

 そして、この光景に怯んだのだろう、焼き払われたプレイヤーたちよりもさらに遠くに居たプレイヤーたちが動きを止める。


「よし、今度こそ……」

『たるうぃ、それはフラグでチュよ』

 ではこの隙に今度こそ安全圏まで移動しよう。

 そう思って翅を動かした瞬間だった。


「んんんんんんっ……」

『言わんこったないでチュ』

 クレーター内に無数のアイテムが降り注ぎ始める。

 どうやら消滅した宝物庫内にあった、確保者不在のアイテムが降り注いでいるらしい。

 なお、降り注いだと言っているのは……。


「ギエエエエエェェェッ!?」

「やっぱり今回のイベント、アイテム回収イベントじゃねぇ!?」

「タアアアアアアァァァァァル!!」

「天から降り注ぐものおおおぉぉぉ!」

「メテオはやめろおおおぉぉぉ!!」

 アイテムの表面に硬質の防御膜が展開されている上に、それぞれの自由落下速度の限界と思しき速さで降下してきているからである。

 その為、クレーター内に居たプレイヤーたちは阿鼻叫喚の状況に陥っている。

 なお、私は呪詛を傘のように展開してドロップアイテムを防御している。

 それとこの件に関しては私ではなく運営に文句を言っていただきたい。


「……。最低限だけは回収しておきましょうか」

『具体的にはなんでチュ?』

「『幸福な造命呪』の心臓、人形複製アイテム、磔刑の樹呪の槍、転移の指輪呪、まあこれぐらいかしらね」

 まあ、この阿鼻叫喚の状況は私にとっては好都合でもある。

 と言う訳で、アイテムが降り注ぐ中、私は『幸福な造命呪』の心臓である『呪喰の心臓呪』とそれにくっついて来た幾つかの宝石、人形などの複製を行っていたであろう大型の装置、磔刑の樹呪を基にした槍、転移の指輪呪だけを回収。

 それから近くの拠点まで飛んでいき、アイテムの入手を確定。

 そこで『竜活の呪い』の効果時間が終わり、弾いていた『太陽の呪い』などのデメリットも加わって、私はイベント終わりまで突っ伏す事になった。

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― 新着の感想 ―
[一言] >アイテムの表面に硬質の防御膜が展開されている上に、それぞれの自由落下速度の限界と思しき速さで降下してきているからである。 これって、タルと一緒に呪限無の深層に落ちたアイテムがイベントの保…
[一言] 再感想です >>あ、流石に内苑は無事だったか。 >え?もちろん消し飛んでますよ。 >ここは宝物庫の外です。 ???←え、なんで? と思っている ん~?←外縁と内苑のフレーバーを確認してい…
[一言] >プレイヤーの集団を『熱波の呪い』によって焼き払う。 >降り注ぐアイテムメテオ >私はイベント終わりまで突っ伏す事になった 何も知らずに見ると 「待ても出来ぬ駄犬には死をくれてやろう」 「ほ…
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