785:5thナイトメア5thデイ-3
「……。やらかしちゃったわね」
『はぁ、知ってたでチュ……後、可愛く言っても駄目でチュアアアアァァァァァ!?』
「やらかしちゃったわね」
『そおぉぉでっちゅねえええぇぇぇ!!』
私の前には私が『呪憲・瘴熱満ちる宇宙』、呪憲の操作、邪眼術と呪法、この森、呪怨台を利用して作り上げた複数の素材が並んでいる。
うん、自分で言うのもなんだが、少しやり過ぎてしまったような気がする。
後ザリチュは抓っておく。
「ま、とりあえずは鑑定しましょうか」
『危険物が紛れ込んでいない事を願うでチュ』
では、鑑定をしていこう。
△△△△△
黒虹のレンズ
レベル:40
耐久度:10/10
干渉力:150
浸食率:100/100
異形度:28
黒い、しかし光の加減によっては虹色の光を返すレンズ状の物体。
あらゆる光を吸収し、その内に留め、漏れ出る光は極僅か。
外天呪の領域に近づくものよ、このレンズの意味を深く考えよ。
注意:『呪憲・瘴熱満ちる宇宙』を有さないものが鑑定すると、ランダムな呪いを得て、恒常的に異形度が1上昇する。
注意:周囲の呪詛濃度が19以下の空間では存在できない。
▽▽▽▽▽
「何となくだけど脆そうな気がするわ」
『実際耐久度が10しかないじゃないでチュか』
一点目、黒虹のレンズ。
見た目は直径数センチほどの黒い円盤だ。
製法としては森の黒い砂を、空気を望遠鏡にした時と同じような要領で変化させ、固めた感じだ。
製法のせいなのか、あるいはガラスに近い物体であるというイメージのせいなのか、取り扱いには注意が必要な感じだ。
文章が霓の螺旋、虹の螺旋と大きく変わらないのは、使い方は自分で考えろと言う仮称裁定の偽神呪からのメッセージとしておこう。
なお、簡単に作れたので、十数枚は用意してある。
△△△△△
凧形二十四面体の蛋白石
レベル:40
耐久度:100/100
干渉力:150
浸食率:100/100
異形度:28
トラペゾヘドロン型の美しいオパール。
鮮やかな虹色を宿した宝石の輝きは見るものの多くを引き付けるが、果たして呼び込むのは見た目に相応しき希望か、あるいは反転した絶望か。
外天呪の領域に近づくものよ、この宝石の意味を深く考えよ。
注意:『呪憲・瘴熱満ちる宇宙』を有さないものが鑑定すると、ランダムな呪いを得て、恒常的に異形度が1上昇する。
注意:周囲の呪詛濃度が19以下の空間では存在できない。
▽▽▽▽▽
『絶対にヤバい物でチュ』
「でも見た目は普通の宝石なのよね」
二点目、凧形二十四面体の蛋白石。
見た目は名称通り。
製法としては樹と砂と邪眼術13種類を混ぜ合わせ、球体に近づくように呪いを操り、固めている。
つまりは濃厚な呪いの塊とも言えるのだが、注意には特に記載はない。
うん、記載されていないからこそ気を付けておこう。
色々と便利に使えそうだった為に20個も作ってしまっているが。
△△△△△
瘴熱招く枝葉
レベル:40
耐久度:100/100
干渉力:150
浸食率:100/100
異形度:28
毒々しい色合いの枝。
何かを求めるように天へ向かって伸びていく枝葉、その手で掴み取った呪いに食らいつき、解き、己が一部にせんとする。
外天呪の領域に近づくものよ、この渇望の意味を深く考えよ。
注意:『呪憲・瘴熱満ちる宇宙』を有さないものが鑑定すると、ランダムな呪いを得て、恒常的に異形度が1上昇する。
注意:周囲の呪詛濃度が19以下の空間では存在できない。
▽▽▽▽▽
「ミイラ壺の枝版」
『何かを求めているという点では確かに近いのかもでチュねぇ』
三点目、瘴熱招く枝葉。
見た目はミイラ化した人の手のような形をした、毒々しい色合いの枝である。
製法としては呪憲を利用してはいるものの、適当に近くの枝を切っただけのものとなる。
しかし、掲示板で見たような惨状は発生しなかったので、やはりこれらの素材は私にしか採取できないものと言う事になるのだろうか?
それと、この素材はたぶんだが、垂れ肉華シダの葉の代用を務める事が出来ると思う。
なので数はそれなりに確保した。
△△△△△
瘴熱の樹絹糸
レベル:40
耐久度:100/100
干渉力:150
浸食率:100/100
異形度:28
毒々しい色合いだが、絹のような手触りの糸。
細い細い糸でありながら、その強度は資格なきものを強固に阻み、資格あるものが境界線を越える時には密やかに手助けする。
外天呪の領域に近づくものよ、この援助の意味を深く考えよ。
注意:『呪憲・瘴熱満ちる宇宙』を有さないものが鑑定すると、ランダムな呪いを得て、恒常的に異形度が1上昇する。
注意:周囲の呪詛濃度が19以下の空間では存在できない。
▽▽▽▽▽
「ザリチュとジタツニに使いたい」
『まあ、これならザリチュも使ってもいいでチュが……イベント後で頼むでチュよ』
「それは勿論」
四点目、瘴熱の樹絹糸。
見た目としては毒々しい色合いなだけでただの糸である。
製法としては、樹の樹皮から繊維を採取して紡いだものになるが、採取から紡ぐまでは全て『熱波の呪い』と邪眼術を用いり、私の手で触れる事はなかったと言うもの。
こちらは垂れ肉華シダの蔓の代わりを務められるだろうか。
なので、十分な量を確保してある。
「さて、具体的にどう使うか考えるのはイベントの後ね。これらの素材の回収で呪憲の練習も十分に出来たし、得るものは十分に得たと言う感じね」
『そうでチュね。収穫は十分だと思うでチュよ』
さて、時刻はもうじき午後になる。
化身ゴーレムの再作成が出来るようになるまで後少し。
それまでにザリアたちがケリを付けるならそれでよし。
そうでなければ、異形度の更なる上昇も覚悟した上で、私が全てを消し飛ばすとしよう。
私のした約束を果たすには、それが一番確実なのだから。