783:5thナイトメア5thデイ-1
「ふぁ……おはよう、ザリチュ」
『おはようでチュ、たるうぃ。あー……』
さて、イベント五日目である。
HP10固定状態は回復完了済みで『鑑定のルーペ』は戻ってきたようだが、『禁忌・虹色の狂創』のコストはまだ回復していない。
なので、私が動き出すのは午後からになるだろう。
「さてザリアたちは……もう宝物庫に攻め込んでいるみたいね。最前線組全員で代わる代わる、相手に休息や補給の暇を与えない構成ね」
『そう、みたい……でチュねぇ』
なお、ザリアたちは既に宝物庫へ攻め込んでいるようだ。
と言うか掲示板の感じからして、昨晩の時点から攻め続けているらしい。
森の中から宝物庫の外観を監視する眼球ゴーレムの視界にも、次から次へと宝物庫へ突入していくプレイヤーたちの姿が映っている。
うーん、午前中にザリアたちが宝物庫の攻略を終えて、『幸福な造命呪』の撃破及び宝物庫の人形複製の停止に成功すれば、今日やる事は無くなるか。
まあ、そうなったらそうなったである。
『チュー……』
「どうしたのよ。歯切れが悪い感じね」
それはそれとして、ザリチュはどうしたのだろうか?
何かを言いたそうだが、どう言えばいいのか迷っている感じだ。
『まあ、実物を見て貰った方が早いでチュか。たるうぃ、ざりちゅを脱いでみるでチュよ』
「ザリチュを?」
私はザリチュの言葉に従って帽子を外す。
「……」
そして、それを確認。
冷静にザリチュを元の位置に戻す。
「すぅ……はぁ……」
で、深呼吸。
「何で角が生えているのよ!?」
それから叫んだ。
「ザリチュ! 把握している範囲でいいから説明!」
『夜中の内にニョキニョキしてたでチュよ。それ以上はざりちゅには分からないでチュ』
「くっ……」
では状況を把握していこう。
まず、私に起きた変化だが、耳たぶの上側辺りと癒合するような形で黄色の角が左右一本ずつ生えている。
色や太さの違いはあるが、その生え方と伸び方は『竜活の呪い』使用時に出現する角によく似ている。
で、ザリチュが言うにはどうやら夜中、私がぐっすりと寝ている間に生えてきたようだ。
明らかに異形度が上昇している状況なのに、その手のメッセージが出てこなかったのはそれが原因だろう。
「何でこんな物が生えてきたのかしら。心当たりが……心当たりしかないわね」
『でチュよねー……』
では異形度が上昇した原因は?
考えるまでもなく『呪憲・瘴熱満ちる宇宙』の濫用が原因だろう。
思い返してみれば、昨日側頭部が痛いと言うか、妙な感覚を覚えるような場面があった気がするし。
「まあ、生えてきてしまったものは仕方がないわね。自分を失ったわけでもないし、名称とか効果の確認をしましょう」
『流石の切り替えでチュねぇ』
「悔やんで消えるような物ではないもの」
私は自分に『鑑定のルーペ』を使って、呪いと異形度の確認をしてみる。
すると『劣竜式呪詛構造体』に劣竜角×2と言う記載が加わると共に、異形度が26から28に上昇にしていた。
どうやらこの角は竜の角であるらしい。
「えーと、呪詛支配がやりやすくなっているわね」
私は呪詛の剣を一瞬で生成してみる。
『ん? 別に変わりがない……いや、とんでもない事をやっているでチュね』
「これが可能と言う事は、相当細かく操れるし、強度も向上しているわね。これは」
ただし、数百本の指先サイズの呪詛の剣を生成して噛み合わせる事で、一本の大きな呪詛の剣を作り出すと言う形でだ。
当然ながら、昨晩までは出来なかった行為である。
「色の差は『竜活の呪い』発動中の方が、効果が強化されていると言う事かしら」
『たぶんそうでチュね』
これがあれば邪火太夫にもと、一瞬思った。
が、『竜活の呪い』発動中の角の色は黄金色で、明らかにあちらの方が上質な角だった。
となれば、付随する効果もあちらの方が上質であり、それ込みでもあの結果だったと考えると……うん、現状や普段には役立つが、邪火太夫戦については変化なしだろう。
「強度は……下手な金属よりは硬そうね」
『防具にもなりそうな感じでチュよね』
触ってみた感じとして、劣竜角の表面はスベスベとしているが、金属や皮膚ではなく骨に近い感触がある。
強度は十分にあり、普通の鉄ぐらいなら傷もつかないだろう。
頭蓋骨から直接生えていそうな感じがする事と、丸みを帯びている事を併せて考えると、斬撃には強いかもしれないが、打撃を角部分で受けるのは、頭が直接揺さぶられる事になりそうか。
「ふむふむ。呪詛支配がやりやすくなっている分だけ、呪憲の制御能力も上がっている感じね」
『でチュか』
「うん、悪くないわね」
総評としては邪魔にはならず、便利な面がかなり多い感じか。
となると怖いのは、便利だからこそ、万が一の事態として角が破損した際に、角がなかった時よりもさらに悪くなるように呪詛支配力が落ちるパターンか。
そう考えると防具としては緊急事態用で、基本的にはむしろ守るべき部位として捉えておくべきだろう。
「ま、午後までは検証を続けていましょうか」
『分かったでチュ』
私は朝食を食べ終えると、拠点の外に出た。
△△△△△
『虹霓竜瞳の不老不死呪』・タル レベル41
HP:1,030/4,200
満腹度:50/150
干渉力:140
異形度:28
不老不死、虫の翅×6、増えた目×11、空中浮遊、呪憲・瘴熱満ちる宇宙、遍在する内臓、劣竜式呪詛構造体(劣竜血、劣竜骨髄、劣竜肉、劣竜瞳、劣竜皮、劣竜角×2)
称号:『呪限無の落とし子』、『生食初心者』、『ゲテモノ食い・3』、『毒を食らわば皿まで・3』、『鉄の胃袋・3』、『暴飲暴食・3』、『大飯食らい・2』、『呪物初生産』、『呪術初習得』、『呪法初習得』、『毒の王』、『灼熱の達人』、『沈黙の名手』、『出血の達人』、『淀縛使い』、『恐怖の達人』、『小人使い』、『暗闇使い』、『乾燥使い』、『魅了使い』、『重力使い(増)』、『石化使い』、『呪いが足りない』、『かくれんぼ・1』、『ダンジョンの創造主』、『意志ある道具』、『称号を持つ道具』、『超克の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『3rdナイトメアメダル-赤』、『七つの大呪に並ぶもの』、『邪眼術士』、『呪い狩りの呪人』、『竜狩りの呪人』、『呪いを支配するもの』、『偽神呪との邂逅者』、『呪限無を行き来するもの』、『砂漠侵入許可証』、『火山侵入許可証』、『虹霓竜瞳の不老不死呪』、『生ける呪い』、『雪山侵入許可証』、『海侵入許可証』、『いずれも選ばなかったもの』、『呪海渡りの呪人』、『泡沫の世界の探索者』、『確立者』
呪術・邪眼術:
『毒の邪眼・3』、『灼熱の邪眼・3』、『気絶の邪眼・3』、『沈黙の邪眼・3』、『出血の邪眼・2』、『小人の邪眼・2』、『淀縛の邪眼・2』、『深淵の邪眼・3』、『飢渇の邪眼・3』、『暗闇の邪眼・3』、『魅了の邪眼・1』、『石化の邪眼・2』、『重石の邪眼・2』、『禁忌・虹色の狂眼』
呪術・原始呪術:
『不老不死-活性』、『不老不死-抑制』、『風化-活性』、『風化-抑制』、『転写-活性』、『蠱毒-活性』、『再誕-活性』、『魔物-活性』、『反魂-活性』
呪術・渇砂操作術-ザリチュ:
『取り込みの砂』、『眼球』、『腕』、『鼠』、『化身』、『噴毒の華塔呪』、『瘴弦の奏基呪』、『禁忌・虹色の狂創』
呪術-ジタツニ:
『砂漠の呪い』、『抗体の呪い』
呪術-ネツミテ:
『太陽の呪い』、『熱波の呪い』、『埋葬の鎖』
呪術-ドロシヒ:
『虚像の呪い』、『貯蓄の呪い』
呪術-ドゴスト:
『竜息の呪い』、『竜活の呪い』、『埋葬の鎖』
呪法:
『呪法・増幅剣』、『呪法・感染蔓』、『呪法・貫通槍』、『呪法・方違詠唱』、『呪法・破壊星』、『呪法・呪宣言』、『呪法・極彩円』、『呪法・呪晶装填』、『呪法・逆残心』
所持アイテム:
『竜鱗渇鼠の騎帽呪』ザリチュ、『地憑きの羽衣呪』ジタツニ、『陽憑きの錫杖呪』ネツミテ、『星憑きの玉輪呪』ドロシヒ、『竜憑きの袋呪』ドゴスト、鼠毒の竜呪の歯短剣×2、解き拒みの指輪、鑑定のルーペ、フェアリースケルズ、蜻蛉呪の望遠鏡、『虹霓鏡宮の呪界』の鏡扉除け、etc.
所有ダンジョン
『ダマーヴァンド』:呪詛管理ツール、呪詛出納ツール、呪限無の石門、呪詛処理ツール、呪詛貯蓄ツール×5設置、『熱樹渇泥の呪界』・『入子屋敷の呪地』・『塩砂湖畔の呪地』接続済み
システム強化
呪怨台参式・呪詛の枝、BGM再生機能、回復の水-2、結界扉-2、セーフティ-2、長期保管用カプセル、『満腹の竜豆呪』ハオマ
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