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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
11章:『盗賊恐れる宝物庫の悪夢』
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755:5thナイトメア3rdデイ-3

「着いたわね……。居るのよね。タル」

「居るわよー」

 待ち始めてから一時間と少し。

 ザリアたちとストラスさんたち検証班の数名が私の居る拠点へとやってきた。


「疲れている感じね。何かあったの?」

「まあ、あるかないかで言えばあったわね。もう処理は済ませたから問題はないけど」

「大変だったでチュねぇ……もう大丈夫でチュけど」

「そう、問題がないなら構わないわ」

 と言う訳で私はザリアたちを出迎える。

 その際に私の疲れを見抜かれたが……私が処理済みであり、話す気がない事から、関わるべきではないと判断してくれたのだろう。

 流してくれた。


「それじゃあタル。単刀直入に聞かせてもらうわね。何があったらこんな事になるの?」

「そうねぇ……」

 では早速本題。

 私は私の姿をNPCが見てしまった時の出来事をザリアたちに話す。

 なお、この森が私ならばある程度制御可能である事や、聖女ハルワなら見ても大丈夫であろう事などは敢えて話さない。

 話しても状況が改善されるわけではないからだ。


「ええっ……」

「NPC発狂死の上に植物化……」

「まあ、理屈は分かるが……」

「これが異形度26の脅威……」

「……。俺たちがNPCでなくてよかったな」

「本当ですね。もしこの場に居たら、酷い事になっていたと思います」

「とりあえずタルはもうNPCに姿を晒したら駄目だな」

「それな」

 ちなみにあの出来事を聞いた時の反応はこんな感じ。

 まあ、私ですらあの光景を見た時には驚いたので、妥当な反応だと思う。


「心配しなくても私はNPCの前に姿を晒す気はないわ。それにイベント強化のステルスだって2,000ポイントを割り振り済み。今回の件は本当に不幸な事故だったのよ」

「まあ、そうでしょうね……」

「戸を開けたらカースを上回る何か。まあ、発狂するよな」

「確かに不幸な事故ではあるよなぁ」

「救いは死んだ連中がクズっぽい点か。深く気に病む必要が無いのはありがたい」

 全員で一度ため息を吐く。


「で、タルはこれからどうするの?」

「とりあえず森の外には出るわね。こう言ったらなんだけど、障害物が多い場所はむしろ危険だと思うのよね」

「確かにそうですね。この森の中だと、タル様の目を以ってしても他の人間の接近を感知しきれないでしょうし、そうなるとまた不幸な事故が起きると思います」

「そうそう。で、宝物庫の方に潜り込もうとは思っているわね。ちょっと用事があるから」

「なるほどね」

 では、これからについて。

 まあ、そう難しい話ではない。

 私は森に出て、宝物庫でもある宮殿の方へ行き、『幸福な造命呪』について探る。

 これが普通のNPCの被害を抑えつつ、私にとっても利益がある行動になるだろう。


「そういう訳だから、出来れば帝国軍が今どこに居るのかが分かる配置図のようなものが欲しいんだけど……ゼンゼ?」

「あ、気づいていたんやな。タルはん」

「「「!?」」」

 そして、その為に必要な情報は、今やってきてステルスシステムによって隠れていたらしいゼンゼなら知っているはずだ。


「でもどうやってウチに気づいたん? イベント効果のステルスに加えて、自前の呪術でも隠れていたと思うんやけど」

「企業秘密よ。明かす気はないわ」

「そか。まあ、しゃあないな」

 ザリアたちがざわついている中、豪華な衣装を身に着けているゼンゼが私の方へと近づいてくる。

 なお、ステルスシステムがあろうが、自前の呪術を使おうが、この森の中で私の目から逃れるのは不可能である。

 完全制御は出来ていなくても、この森は私の『呪憲・瘴熱満ちる宇宙(タルウィ)』の影響下にあるのだから。


「あ、お望みの配置図はこんな感じや。ウチとしても、タルはんに宮殿へ乗り込んでもらって、敵の目や注意を引き付けて貰えると嬉しいから、その辺よろしゅうな」

「分かったわ」

 ゼンゼから帝国軍の配置図や、今後の作戦行動の予定が書かれている紙が渡される。

 なお、この紙には現在の森の範囲や、私が宮殿へ移動するまでに当たって通って欲しいルートまで記されている。

 参考にはしよう。


「じゃあウチは戻るわ。あのアホ皇帝の目を盗んで来るも楽や無いし、疑われても困るから、これ以上の交流は無しなー」

「そう。つまり遭遇した時は遠慮なくという事ね」

「ウチと戦う余裕がある状況なら、そういう事やな」

 ゼンゼの姿が消える。

 ステルスや呪術ではない。

 どうやら自殺する事で、リスポーン地点への転移をしたようだ。

 それにしても戦う余裕がある状況なら、か。

 そうなると今夜あたりにアレが起きる事になりそうか。


「さて、これで話す事は……」

「そう言えばタル様。この森の木々は伐採しても問題ないんですよね?」

「ええ、別に問題ないわよ。伐採できるかは知らないけど」

「この森を活用して戦闘するのも問題はないわよね」

「ないわね。別に私の所有物と言う訳でもない訳だし」

 まあ、アレについては起きるまで話さないで……いや、きっと誰もが予想している事態だろうから、完全に黙っておこう。


「じゃ、私たちは出発するわ」

「行くでチュ」

「分かったわ」

 そうして私たちは拠点を後にして、宮殿への移動を始めた。

 ザリアたちも幾らかの相談を経た後に、私たちとは別に行動を始めたようだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 不幸な事故(NPCに目撃された結果、発狂死して焼却出来無さそうな腐海の森と化した) ……事実とはいえ、原因の些細さと結果の大きさの落差がw そろそろ皇帝のカース化ですかね。森の発生というイ…
[一言] いよいよイベント恒例の≪サプラアアァァイズ!≫コールが来るのか。
[一言] ≫何かあったの? 大いに余計な事しましたw でも相手と状況によってはあんなのが牽制程度の扱いで飛び交うのかなぁって ≫「NPC発狂死の上に植物化……」 怪物になって暴れ出したりしなくてラッ…
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