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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
10章:『虹霓鏡宮の呪界』

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709/1000

709:タルウィチャム・3・リプリペア-1

「こうなると、たるうぃがまずするべきは味方全員に魅了耐性を付与する手段の模索でチュかねぇ」

「まあ、そうなるでしょうねぇ……」

 さて、吠えたブラクロが呪われる、と言ういつもの出来事はあったが、反省会を続けるとしよう。

 ちなみにだが、邪火太夫との戦いから帰ってくると、呪術『魅了の邪眼・3』のスープの鑑定結果はこんな感じに変化していた。



△△△△△

呪術『魅了の邪眼・3』のスープ

レベル:50

耐久度:100/100

干渉力:150

浸食率:100/100

異形度:25


無色透明だが、液中を見ると不思議なものが見える香り高いスープ。

覚悟が出来たならば、よく味わって飲むといい。

そうすれば、君が望む呪いが身に付く事だろう。

だが、心して挑むがいい。

深い深い魅了は相応の闇も沸き立たせ、何人も通さない門として聳えるのだから。

さあ、貴様の死力を私に見せつけてみよ。


注意:このアイテムは『虹霓竜瞳の不老不死呪』タル以外には使用できません。

注意:このアイテムは使用しても、呪術『魅了の邪眼・3』の習得に成功するまで消費されません。

注意:このアイテムは一度使用するとリアル時間で24時間使用できません。

▽▽▽▽▽



 外見は断熱性の高い透明な水筒に入れられたスープと言う感じで、蓋にはタイマー付きの鍵が付けられている。

 中身は量を含めて、作った時の状態を保っているようだ。

 うん、色んな意味で再挑戦が容易なのは素直に嬉しい。


「あ、メッセージが来たわね」

「魅了素材のリストでチュね」

 と、ここでストラスさんから魅了対策に使えそうな素材の一覧が送られて来た。

 流石は検証班、仕事が早い。


「ふうむ……」

「色々あるでチュねぇ……」

 まあ、実のところ、魅了対策については余っている誘閉の狼呪の素材を利用すれば何とかなりそうな気はする。

 ストラスさんから貰ったリストの中身を見た限りでは、誘閉の狼呪以上の素材はなさそうだし。

 具体的な対策内容としては……今後の事も考えると、使い切りよりは呪術の形にしておきたいか。

 そうなると、ザリチュに新しいゴーレムとして、耐性バフを撒く専門のゴーレムとかにするといいかもしれない。

 それだったら、今回以外にも使い道がありそうな気がする。


「ま、魅了対策は後で考えるとして、先にこっちね」

「チュ? なんでこんな書き込みをするんでチュ?」

 私は掲示板に書き込みをする。

 内容は……邪火太夫との戦闘中、普段の自分ならしないような選択をしてしまったなと感じるプレイヤーは居る? というものだ。


「邪火太夫との戦闘中、私は邪火太夫を暇にしない為に『熱波の呪い(ドロクセルブ)』による攻撃を仕掛け、それが原因で反撃を受けて敗北したわ」

「そうだったでチュね」

「でもね。今動画を見返してみても、この時の私の判断はおかしいのよ。この場面、普段の私なら『気絶の邪眼・3(タルウィスタン)』を使って、動きを止める方向で動くはずなのよ。視線を通すために動く時間を考えても、そっちの方が確実な訳だし」

「……。そう言えばそうでチュねぇ……」

 私の掲示板の書き込みへの反応は……それなりにある。

 どうやら、結構な数のプレイヤーが、思い返してみると普段はしないような判断を下し、戦況を少しだが悪化させたような覚えがあるようだ。

 うん、この数なら、もう確定でよさそうか。


「やっぱりね。呪術による物か、純粋な技術かは分からないけど、邪火太夫は誤った判断を促す何かを持っているわ」

「そんな事が可能なんでチュか?」

「可能か否かなら可能よ」

 邪火太夫はここ一番でプレイヤーの判断について、強制的にファンブルをさせることが出来る。

 強烈かつ絶え間なく放たれる魅了の陰に隠れ、一瞬だけの強力な魅了と思われて分かりづらいが、これは明らかに魅了以外の何かだ。

 敢えて状態異常としての名称を考えるなら、思考誘導、強制誤判断、と言ったところだろうか?


「これはあくまでも自論であり、一部例外的な存在もいるような話という前提を置くわ。でも、一般的な話として、一瞬で判断して行動をする時、人間と言うのはこれまでにやったことがない行動は絶対にしないのよ」

「そういう物なんでチュか?」

「ええ、一瞬の判断からの行動と言うのは、本人が意識できていない物も含めて、あらゆる感覚から得た情報を基に次の行動を組み上げ、少しでも成功する確率が高そうだと思う行動を選択し、実行に移すの。だから逆説的に……相手の判断基準にしているものの数値を適切に弄る事で、相手にさせたい行動を選ばせる事は可能になるはずなのよ。理論上は」

「なるほどでチュねぇ」

 私の場合だと、呪詛支配への干渉が弱そうだとか、隙があるだとか、そういう認識を間違えさせれば、『熱波の呪い』を使用して攻撃する確率が大幅に上がるだろうか?


「で、そんな物をどうやって対策するんでチュ?」

「んー……技術によってやっているのなら、注意を払っていれば何とかはなると思う。相手が隙を晒しているのに対して、警戒心を持つだけでもだいぶ結果は変わると思うわ。呪術によるものなら、装備か呪術によって対策が可能だと思う。魅了対策も兼ねると、常に平静を保てるようにする感じかしらね」

「でチュかぁ」

 掲示板の様子は……阿鼻叫喚と言うか、厄介さに誰も彼もが頬を引きつらせていそうな感じである。


「ま、可能な限りの対策を明日までに組み上げて、再挑戦するしかないわね」

「ま、そうでチュね」

 余談だが、ゼンゼ曰く、また邪火太夫スレが一つ潰れたらしい。

 あの胸部装甲、太夫と言う名前、圧倒的な美女の気配、その他諸々の理由から、スレが立つとその手の書き込みが止まず、スレごと潰れるようだ。

 呪術的な魅了抜きでこれとか、この書き込みをしている連中が戦闘メンバーに選ばれたら、酷く面倒なことになりそうだ。

 出来れば今回のメンバーがまた集まる事を願いたい。

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― 新着の感想 ―
[一言] >相応のゴーレムにしないと、邪火太夫に魅了されて敵に回りかねない ここで素直にゴーレムを諦めて呪術やアイテムにしない辺りがタルですよね。 ゴーレムと楽器と言うとオルゴールが思い浮かびます…
[一言] 味方全員に魅了耐性と思いきや思考誘導か操作の類の強制的ファンブルってええ・・・対策取れるのか? もう広範囲に空間ごと火力叩き込むゴリ推し戦法くらいしか思いつかない。 そして邪火太夫ファンスレ…
[一言] >「やっぱりね。呪術による物か、純粋な技術かは分からないけど、邪火太夫は誤った判断を促す何かを持っているわ」 邪火太夫はメンタリストだった……? 純粋な技術だと思いたいけど、前例というか心…
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