690:ベインアファト-5
「何があったんでチュか?」
「『呪圏・薬壊れ毒と化す』が『呪憲・瘴熱満ちる宇宙』に変化。『確立者』と言う称号を手に入れたわね。後、『太陽の呪い』と『砂漠の呪い』のデメリットが発動したみたいで、身動きが取れないわ」
「……。とりあえず『ダマーヴァンド』までざりちゅが抱えて行くでチュよ」
「お願い」
私たちは『兎狼が徒に労する草原』から『理法揺凝の呪海』へと無事に移動した。
だが、その移動によって『太陽の呪い』と『砂漠の呪い』の効果範囲外に出たと判定されたらしく、今の私は視線と口を動かす事ぐらいしか出来なくなっている。
まあ、一切の身動きが出来ないとの事だったので、これぐらいは甘受するべきだろう。
と言う訳で、『泡沫の世界』に触れないように注意しつつ、化身ゴーレムに『ダマーヴァンド』まで運んでもらう。
「で、呪いがアップデートされたとの事でチュが、分かり易い変化の類はあるんでチュか?」
「んー……分かり易い変化ねぇ……」
そうして無事に『ダマーヴァンド』に戻り、二つの呪術の効果時間が終わったところで、色々と確認をする事にする。
まずは『呪憲・瘴熱満ちる宇宙』についてだ。
「基本性能は変わらないみたい。デメリットがない薬品が効果範囲内にあれば破壊したり、毒薬に変えたりする。薬草を枯らして毒草にする。呪いを込める事で植物をカースに変え、私の支配下に置く」
「効果範囲も変わらずでチュか?」
「変わらずね」
感覚的なものだが、基本性能については変化なしだと私は感じている。
仮に変化があったとしても、誤差で収まる範囲だろう。
「後は……ああ、効果範囲内だと火炎属性、呪詛属性、毒と灼熱の状態異常、この辺に関係ある物が強化される感じね。で、逆に氷結属性、浄化属性、凍結の状態異常、この辺に関係ある物が誤差レベルで弱体化するみたい」
「誤差レベルなんでチュか?」
「誤差レベルみたいよ」
追加された部分だと……より特化が進んだ感じか。
私が今メインに扱っている属性や状態異常が強化されるようだ。
逆にそこから外れる属性や状態異常は弱体化されるので、それなりの注意は必須か。
この手の自分の手札を強化する他の呪いにない特徴的な点としては、私以外にも効果が及ぶ点か。
同行者の攻撃も強化できるのは、活用する場面が多そうである。
「ああそれと、私自身の弱体化対象となる属性と状態異常に対する耐性は、はっきりと断言できるレベルで下がっているわね」
「元から壊滅的な物が更に下がったところで今更でチュね」
「まあ、そうよね」
ちなみに、効果範囲内での弱体化が意味を為さないレベルで私の耐性も落ちている。
まあ、そういう攻撃を使う相手と戦う場合は、攻撃を受けるな、万全に備えてから挑め、と言う話なのだろう。
よって、『呪憲・瘴熱満ちる宇宙』への変化に伴うメリットをまとめるなら、私と私の周囲に居る面子の一部攻撃が強化された、これになるだろう。
「しかし、どうしてたるうぃは自分の名前を冠した呪いを手に入れたんでチュかね?」
「んー、『兎狼が徒に労する草原』から脱出する時に出現させた水晶。アレの一部が私を構成する呪いに溶け込んだのが原因だとは思うけど……詳しい事は分からないわね」
「まあ、そうでチュよねぇ」
むしろ問題は性能よりも名前だろう。
けんの字が圏から憲に変わっているし、瘴熱はともかく、宇宙と言うやけに大きな物が出て来ているし、ルビがタルウィ……私に縁があるとはいえ、相当のビッグネームに変化している。
何と言うか、数字では出ない部分で、何か大きな変化があったようにも感じる。
「ま、置いておきましょう。今は称号の確認よ」
「まあ、そうでチュね」
では称号の『確立者』について。
鑑定結果はこんな感じ。
△△△△△
『確立者』
効果:???
条件:己が座する世界を確立する
己が座する世界を確立したものに与えられる称号。
だがこれは仮免許のような物でもあり、真の意味を理解するために行くべき道はまだまだ長い。
▽▽▽▽▽
「んー?」
「意味不明でチュねぇ?」
効果不明称号なのはいいとして、己が座する世界を確立すると言うのがよく分からない。
取得タイミング的に『呪憲・瘴熱満ちる宇宙』との関係はあると思うのだが、あれの取得が世界の確立にどう繋がるのかがよく分からない。
「とりあえず、まだまだ先は長いと言うのは理解したわ」
「まあ、フレーバー部分にそう書いてあるでチュからね」
いずれにせよ、私は世界の確立者になったが、それは一応の事でしかない。
私はまだまだ弱く、自分を鍛え上げると共に、未知を楽しみ味わうべきなのは間違いないだろう。
「じゃ、『確立者』の真の意味とやらを理解するためにも、まずは開黙の兎呪と誘閉の狼呪の解体から始めていきましょうか。アレを放置し続けるなんて、それこそ今回の探索が徒労に終わる事になるわ」
「でっチュねー」
つまり、これまでと変わらずという事だ。
そんなわけで、私は二種類のカースの解体を始める事にした。
△△△△△
『虹霓竜瞳の不老不死呪』・タル レベル40
HP:2,871/4,170 (-1251)
満腹度:22/150 (-45)
干渉力:139
異形度:26
不老不死、虫の翅×6、増えた目×11、空中浮遊、呪憲・瘴熱満ちる宇宙、遍在する内臓、劣竜式呪詛構造体(劣竜血、劣竜骨髄、劣竜肉、劣竜瞳、劣竜皮)
称号:『呪限無の落とし子』、『生食初心者』、『ゲテモノ食い・3』、『毒を食らわば皿まで・3』、『鉄の胃袋・3』、『暴飲暴食・3』、『大飯食らい・2』、『呪物初生産』、『呪術初習得』、『呪法初習得』、『毒の王』、『灼熱の達人』、『沈黙の名手』、『出血の達人』、『淀縛使い』、『恐怖の達人』、『小人使い』、『暗闇使い』、『乾燥使い』、『魅了使い』、『重力使い(増)』、『石化使い』、『呪いが足りない』、『かくれんぼ・1』、『ダンジョンの創造主』、『意志ある道具』、『称号を持つ道具』、『超克の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『3rdナイトメアメダル-赤』、『七つの大呪に並ぶもの』、『邪眼術士』、『呪い狩りの呪人』、『竜狩りの呪人』、『呪いを支配するもの』、『偽神呪との邂逅者』、『呪限無を行き来するもの』、『砂漠侵入許可証』、『火山侵入許可証』、『虹霓竜瞳の不老不死呪』、『生ける呪い』、『雪山侵入許可証』、『海侵入許可証』、『いずれも選ばなかったもの』、『呪海渡りの呪人』、『泡沫の世界の探索者』、『確立者』
呪術・邪眼術:
『毒の邪眼・3』、『灼熱の邪眼・3』、『気絶の邪眼・3』、『沈黙の邪眼・2』、『出血の邪眼・2』、『小人の邪眼・2』、『淀縛の邪眼・2』、『深淵の邪眼・3』、『飢渇の邪眼・2』、『暗闇の邪眼・3』、『魅了の邪眼・1』、『石化の邪眼・2』、『重石の邪眼・2』、『禁忌・虹色の狂眼』
呪術・原始呪術:
『不老不死-活性』、『不老不死-抑制』、『風化-活性』、『風化-抑制』、『転写-活性』、『蠱毒-活性』、『再誕-活性』、『魔物-活性』、『反魂-活性』
呪術・渇砂操作術-ザリチュ:
『取り込みの砂』、『眼球』、『腕』、『鼠』、『化身』、『噴毒の華塔呪』、『禁忌・虹色の狂創』
呪術-ジタツニ:
『砂漠の呪い』、『抗体の呪い』
呪術-ネツミテ:
『太陽の呪い』、『熱波の呪い』、『埋葬の鎖』
呪術-ドロシヒ:
『虚像の呪い』、『貯蓄の呪い』
呪術-ドゴスト:
『竜息の呪い』、『竜活の呪い』、『埋葬の鎖』
呪法:
『呪法・増幅剣』、『呪法・感染蔓』、『呪法・貫通槍』、『呪法・方違詠唱』、『呪法・破壊星』、『呪法・呪宣言』、『呪法・極彩円』、『呪法・呪晶装填』、『呪法・逆残心』
所持アイテム:
『竜鱗渇鼠の騎帽呪』ザリチュ、『地憑きの羽衣呪』ジタツニ、『陽憑きの錫杖呪』ネツミテ、『星憑きの玉輪呪』ドロシヒ、『竜憑きの袋呪』ドゴスト、鼠毒の竜呪の歯短剣×2、解き拒みの指輪、鑑定のルーペ、フェアリースケルズ、蜻蛉呪の望遠鏡、『虹霓鏡宮の呪界』の鏡扉除け、etc.
所有ダンジョン
『ダマーヴァンド』:呪詛管理ツール、呪詛出納ツール、呪限無の石門、呪詛処理ツール、呪詛貯蓄ツール×5設置、『熱樹渇泥の呪界』・『入子屋敷の呪地』・『塩砂湖畔の呪地』接続済み
システム強化
呪怨台参式・呪詛の枝、BGM再生機能、回復の水-2、結界扉-2、セーフティ-2、長期保管用カプセル、『満腹の竜豆呪』ハオマ
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