682:アップグレード-2
「さて次はドゴストの強化ね」
「どう強化するんでチュ?」
「そうねぇ……」
ジタツニの強化を終えた私はドゴストを腰から外すと、作業用の台の上に置く。
使用確定素材として、収奪の苔竜呪の蔓も置く。
収奪の苔竜呪の蔓を使うなら、恐羊の竜呪の毛皮も合わせて撚って使うだろう、と言う訳で置く。
「前任者、それに埋葬袋と合わせるのもありよねぇ」
「容量の足しにはならないと思うでチュが、能力の引継ぎは出来そうでチュよね」
ドゴストの前任者であった毒頭尾の蜻蛉呪の毛皮袋を置く。
また、同じインベントリと言う事で、鼠毒の竜呪の埋葬袋も置く。
「んー……」
「どうしたでチュか?」
「ちょっと掲示板と言うか、検証班が作っているwikiを見てっと」
ここで少し昔の情報を確認する。
とある呪いをドゴストに付与したいと思ったが、その呪いを持っている素材についての情報が、私の記憶通りなのか確かめる必要があったからだ。
と言う訳で検証班が作っているwikiを確認して、情報を確かめた。
「よし、ちょっと心臓が出るまでズワムを狩りましょうか」
「分かったでチュ」
はい、情報確認終了。
ズワムの心臓と歯が必要だ。
なので私は『熱樹渇泥の呪界』に向かい、さくっとズワムを倒してくる。
なお、こういう時に限って物欲センサーは嫌らしい仕事をしてくれるもので、心臓は一回目で出た癖に歯は三回目の討伐まで出ず、出るとなったら大量に出た。
なんか悔しい。
「じゃ、加工していくわよー」
「でっチュねー」
何はともあれこれで材料は揃った。
と言う訳で、ドゴスト以外の袋を裂いて紐状にし、切れ込みを入れたドゴストに編み込んでいく。
そうして編み込んだ前の袋を収奪の苔竜呪の蔓の繊維と恐羊の竜呪の毛皮の羊毛を合わせて撚った糸で縫いつけ、固定。
袋の入り口部分にズワムの歯を削った物を装飾として結び付け、心臓は先程のジタツニの染色に使った液体に投入して溶かす。
で、心臓も溶けた液体にドゴストを投入して、ジタツニの時と同じように漬け込みと乾燥を何度もやって芯まで液体を染み込ませる。
そして最後に暗梟の竜呪の油塊を外側に塗り付ける。
では呪おう。
「ドゴストー、貴方の好きなように自己改良しなさい」
「えっ、いいんでチュか!?」
ただし、ドゴストの好きなようにだが。
まあ、前回あれだけ適当にやってカース化したようなアイテムであるし、素材さえあれば本人の好きなようにやらせてみるのもありだろう。
と言う訳で、ズワム素材と竜呪素材で余っているものを呪怨台の周囲に並べた上で、呪怨台にドゴストを乗せる。
結果は?
「出来たみたいね」
「見た目は虎柄が無くなって、シンプルになったでチュね」
全体が蘇芳色で、手の平サイズの小さな袋が出来上がった。
では鑑定してみよう。
△△△△△
『竜憑きの袋呪』ドゴスト
レベル:所有者のレベルと同じ
耐久度:100/100
干渉力:所有者の干渉力と同じ。
浸食率:100/100
異形度:21
竜呪の素材を主体として作られた、小物入れにしか見えない大きさの袋。
この世ならざる者に通じる気配を漂わせており、正当な所有者以外が用いれば、恐ろしい呪いに襲われる事だろう。
どれほど危険な物でも中に入れてしまえば、取り出さない限りは安全。
どれほど重い物でも中に入れてしまえば、重量はなくなる。
どれほど大きな物でも、一部が中に入れば、容量が許す限りは入れられる。
その容量は屋敷ならば、丸ごと入れる事も不可能ではないほど。
周囲の呪詛濃度に応じて強度が向上する。
周囲の呪詛、エネルギーの一部を吸収する事で耐久度が回復する。
耐久度が0になっても、一定時間経過後に復活する。
自己意思こそないが、呪いの塊であるその身は幾つかの呪術を習得しており、装備者がトリガーを引くことで使用が可能。
『竜息の呪い』『竜活の呪い』『埋葬の鎖』
注意:この道具をタル以外が使用した場合、1回ごとに毒、灼熱、気絶、恐怖(使用者のレベル×周囲の呪詛濃度)が付与される。
注意:ゲーム内時間で25時間以上、連続で入れていた物質は消滅します。
注意:入れた者が忘れた物質は取り出せません。
注意:HP回復、満腹度回復、状態異常回復の効果のみを有するアイテムを中に入れると、毒によって汚染されます。
注意:袋が破壊された際には、入れていた物は全て消滅する。
注意:称号『竜狩りの呪人』を持たないものが使用すると、使用する度にレベル低下(1)が付与される。
注意:『陽憑きの錫杖呪』ネツミテとリンクしています。
注意:この道具を低異形度のものが見ると嫌悪感を抱く(極大)。
▽▽▽▽▽
「はいはい、反抗しないの」
「相変わらずビンタ一発で黙るのは、情けないでチュねぇ……」
身に着けた途端に呪詛による攻撃がドゴストから飛んで来ようとする。
が、側面を一発はたくだけで黙った。
此処まであっさりだと、ドゴストは私に構ってほしくてわざとやっているのかもしれない。
「えーと、呪術の方は飲むと……デクリースの反対かしら?」
「デクリース……ああ、減少とかそういう意味でチュね」
「そういう事ね」
所有呪術については、ジタツニのものと合わせてこの後に確認すればいいだろう。
「とりあえずこれで今現在作れるものは全部かしらね?」
「邪眼術の強化は素材不足。ザリチュの強化もそうでチュから、やるとしたらネツミテの強化でチュけど……」
「それはもう少し打撃部として追加できるものが増えてからでいいわ」
「まあ、そうでチュよね。ドロシヒも素材が思いつかないから、後でチュね」
「そうなるわね」
何にせよこれでドゴストは未完成状態ではなくなった。
では、所有呪術の試運転も兼ねて、恐怖の眼宮か灼熱の眼宮にでも行ってみるとしよう。
△△△△△
『虹霓竜瞳の不老不死呪』・タル レベル40
HP:2,900/4,170 (-1251)
満腹度:103/150 (-45)
干渉力:139
異形度:26
不老不死、虫の翅×6、増えた目×11、空中浮遊、呪圏・薬壊れ毒と化す、遍在する内臓、劣竜式呪詛構造体(劣竜血、劣竜骨髄、劣竜肉、劣竜瞳、劣竜皮)
称号:『呪限無の落とし子』、『生食初心者』、『ゲテモノ食い・3』、『毒を食らわば皿まで・3』、『鉄の胃袋・3』、『暴飲暴食・3』、『大飯食らい・2』、『呪物初生産』、『呪術初習得』、『呪法初習得』、『毒の王』、『灼熱の達人』、『沈黙の名手』、『出血の達人』、『淀縛使い』、『恐怖の達人』、『小人使い』、『暗闇使い』、『乾燥使い』、『魅了使い』、『重力使い(増)』、『石化使い』、『呪いが足りない』、『かくれんぼ・1』、『ダンジョンの創造主』、『意志ある道具』、『称号を持つ道具』、『超克の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『3rdナイトメアメダル-赤』、『七つの大呪に並ぶもの』、『邪眼術士』、『呪い狩りの呪人』、『竜狩りの呪人』、『呪いを支配するもの』、『偽神呪との邂逅者』、『呪限無を行き来するもの』、『砂漠侵入許可証』、『火山侵入許可証』、『虹霓竜瞳の不老不死呪』、『生ける呪い』、『雪山侵入許可証』、『海侵入許可証』、『いずれも選ばなかったもの』、『呪海渡りの呪人』、『泡沫の世界の探索者』
呪術・邪眼術:
『毒の邪眼・3』、『灼熱の邪眼・3』、『気絶の邪眼・3』、『沈黙の邪眼・2』、『出血の邪眼・2』、『小人の邪眼・2』、『淀縛の邪眼・2』、『深淵の邪眼・3』、『飢渇の邪眼・2』、『暗闇の邪眼・3』、『魅了の邪眼・1』、『石化の邪眼・2』、『重石の邪眼・2』、『禁忌・虹色の狂眼』
呪術・原始呪術:
『不老不死-活性』、『不老不死-抑制』、『風化-活性』、『風化-抑制』、『転写-活性』、『蠱毒-活性』、『再誕-活性』、『魔物-活性』、『反魂-活性』
呪術・渇砂操作術-ザリチュ:
『取り込みの砂』、『眼球』、『腕』、『鼠』、『化身』、『噴毒の華塔呪』、『禁忌・虹色の狂創』
呪術-ジタツニ:
『砂漠の呪い』、『抗体の呪い』
呪術-ネツミテ:
『太陽の呪い』、『熱波の呪い』、『埋葬の鎖』
呪術-ドロシヒ:
『虚像の呪い』、『貯蓄の呪い』
呪術-ドゴスト:
『竜息の呪い』、『竜活の呪い』、『埋葬の鎖』
呪法:
『呪法・増幅剣』、『呪法・感染蔓』、『呪法・貫通槍』、『呪法・方違詠唱』、『呪法・破壊星』、『呪法・呪宣言』、『呪法・極彩円』、『呪法・呪晶装填』、『呪法・逆残心』
所持アイテム:
『竜鱗渇鼠の騎帽呪』ザリチュ、『地憑きの羽衣呪』ジタツニ、『陽憑きの錫杖呪』ネツミテ、『星憑きの玉輪呪』ドロシヒ、『竜憑きの袋呪』ドゴスト、鼠毒の竜呪の歯短剣×2、解き拒みの指輪、鑑定のルーペ、フェアリースケルズ、蜻蛉呪の望遠鏡、『虹霓鏡宮の呪界』の鏡扉除け、etc.
所有ダンジョン
『ダマーヴァンド』:呪詛管理ツール、呪詛出納ツール、呪限無の石門、呪詛処理ツール、呪詛貯蓄ツール×5設置、『熱樹渇泥の呪界』・『入子屋敷の呪地』・『塩砂湖畔の呪地』接続済み
システム強化
呪怨台参式・呪詛の枝、BGM再生機能、回復の水-2、結界扉-2、セーフティ-2、長期保管用カプセル、『満腹の竜豆呪』ハオマ
▽▽▽▽▽