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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
10章:『虹霓鏡宮の呪界』
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642:セパレートテラー-1

本日二話目です

「さて今日は恐羊の竜呪の解体と鑑定からね」

「昨日は狩るだけで終わらせる事になったでチュからねぇ」

 さて、水曜日である。

 今日は昨日の狩りの成果である恐羊の竜呪の解体からだ。


「で、貴方たちは何で居るの?」

「すみません、出来れば今後の為に見学させていただけると嬉しいのですが……」

「私も同じです」

「同文です」

 と言う訳で早速解体しようと思ったのだが、共有スペースからプライベートスペースに居る私に向けて幾つかの視線があった。

 視線の主は『光華団』、検証班、『ガルフピッゲン』の解体担当プレイヤー……だったはず。

 彼らは昨日も鼠毒の竜呪と恐羊の竜呪の解体をしていたはずだが……まあ、昨日は恐羊の竜呪の狩りで彼らの所属するグループの世話にもなったし、見るだけならいいか。


「分かったわ。一時的にこっちに入るのは許可する。ただ、解体現場に近づくことはしないで、私の解体作業は高い呪詛濃度の空間で行うことを前提としているから」

「分かりました!」

「ありがとうございます!」

「気を付けて見てます!」

 それと、私とは異なる視点から解体を見ることで、新たな何かを見出せる可能性もある。

 期待はしないが、可能性を潰すのは論外だし、これでいいだろう。

 そんな流れで私は三人のプレイヤーを連れて解体場に入る。


「まずは死体を出してっと」

 さて、肝心の解体だが、そんなに難しいものではない。

 死体を袋の外に出すと同時に、『反魂の呪詛』や『風化の呪詛』の影響を受けないように呪詛支配。

 それから鼠毒の竜呪の歯短剣や『呪法(アドン)増幅剣(エンハンス)』付きの『出血の邪眼・2』で、部位を切り分けていく。

 出てきた血は熱拍の幼樹呪の木材で作った容器で回収し、その他の部位についても切り離せたら、ザリチュが操る腕ゴーレムと鼠ゴーレムで適当な場所へ移動して整頓。

 自身の特性で復活を試みる部位があれば、葉が付いたままの垂れ肉華シダの蔓を巻きつけて、復活を阻害する。


「とまあ、こんな感じね」

「さ、参考になりそうでならない部分が……」

「やっぱり切断系呪術は欲しいなぁ……」

「それもだけど、異形度を上げるか、高呪詛濃度空間そのままで動けるようにする方法のが必要じゃね?」

 さて、解体を終えたところで、鑑定タイムである。

 得たアイテムは角、骨、毛皮、肉、牙、血、墨袋の七種類。

 一体何があるだろうか?



△△△△△

恐羊の竜呪の角

レベル:40

耐久度:95/100

干渉力:135

浸食率:100/100

異形度:20


恐羊の竜呪の胴体から生えていた渦巻き状の角。

とても堅く、生半可な攻撃では傷一つ付かないだろう。

この世ならざる存在である竜の角は、ただ在るだけでも威厳に溢れる。


注意:異形度19以下のプレイヤーが鑑定すると、恐怖(100)を与える。

注意:周囲の呪詛濃度が15以下の空間では存在できない。

▽▽▽▽▽


△△△△△

恐羊の竜呪の骨

レベル:40

耐久度:98/100

干渉力:135

浸食率:100/100

異形度:20


恐羊の竜呪の胴体を内側で守る骨。

とても堅く、生半可な攻撃では傷一つ付かないだろう。

この世ならざる存在である竜の骨は、ただ在るだけでも威厳に溢れる。


注意:異形度19以下のプレイヤーが鑑定すると、恐怖(100)を与える。

注意:周囲の呪詛濃度が15以下の空間では存在できない。

▽▽▽▽▽


△△△△△

恐羊の竜呪の毛皮

レベル:40

耐久度:96/100

干渉力:135

浸食率:100/100

異形度:20


恐羊の竜呪の胴体に生える紫がかった黒色の毛皮。

羊のそれに似ているが、異常な強度を有しており、呪いに関わる力を持たなければ傷一つ付けられず、低位の呪いでもそれは同様である。

この世ならざる存在である竜の毛皮は、加工出来ずとも勲章となりえる。


注意:異形度19以下のプレイヤーが鑑定すると、恐怖(100)を与える。

注意:周囲の呪詛濃度が15以下の空間では存在できない。

▽▽▽▽▽


△△△△△

恐羊の竜呪の肉

レベル:40

耐久度:100/100

干渉力:135

浸食率:100/100

異形度:20


恐羊の竜呪の体を構成する肉。

濃厚な呪いと旨味を秘めた肉ではあり、呪いを適度に抜くことで味わいが変わる不思議な肉でもあるが、そのままを人が食べれば一口で呪いそのものと化すだろう。

この世ならざる存在である竜の肉は、この世ならざる美味でもある。


注意:異形度19以下の存在が食べると、100%の確率でランダムな呪いを異形度が20になるまで複数個、恒常的に得ます。

注意:異形度19以下のプレイヤーが鑑定すると、恐怖(100)を与える。

注意:周囲の呪詛濃度が15以下の空間では存在できない。

▽▽▽▽▽


△△△△△

恐羊の竜呪の牙

レベル:40

耐久度:92/100

干渉力:135

浸食率:100/100

異形度:20


恐羊の竜呪の口の中に生え揃っている鋭い牙。

強固な鎧であっても貫く牙は、特定の音に共鳴して周囲に恐怖、それと他者との非物理的な繋がりを有するための道を塞ぐ呪いを撒き散らす。

この世ならざる存在である竜の歯は、安易に扱ってはいけない。


与ダメージ時:恐怖(30+使用者のレベル)


注意:特定の音に反応して、音が聞こえたプレイヤーに恐怖(50)とUI消失状態(10)を与える。

注意:異形度19以下のプレイヤーが鑑定すると、恐怖(100)を与える。

注意:周囲の呪詛濃度が15以下の空間では存在できない。

▽▽▽▽▽


△△△△△

恐羊の竜呪の血

レベル:40

耐久度:97/100

干渉力:135

浸食率:100/100

異形度:20


恐羊の竜呪の濃密な呪いを秘めた血。

血に秘められた呪いは生物の内々に取り入れることで解放され、取り入れたもの身魂を穢す。

この世ならざる存在である竜の血は、安易に扱ってはいけない。


注意:異形度19以下の存在が食べると、100%の確率でランダムな呪いを異形度が20になるまで複数個、恒常的に得ます。

注意:異形度20以上の存在が食べると、10%の確率でランダムな呪いを1つ恒常的に得て、異形度が1上昇します。

注意:異形度19以下のプレイヤーが鑑定すると、恐怖(100)を与える。

注意:周囲の呪詛濃度が15以下の空間では存在できない。

▽▽▽▽▽


△△△△△

恐羊の竜呪の墨袋

レベル:40

耐久度:96/100

干渉力:135

浸食率:100/100

異形度:20


恐羊の竜呪の濃密な呪いを秘めた墨を収めておくための袋。

墨に秘められた呪いは袋以外のものに触れると解放されて、触れたものがこの世に働きかける力を急速に弱める。

この世ならざる存在である竜の墨は、安易に扱ってはいけない。


注意:異形度19以下の存在が食べると、100%の確率でランダムな呪いを異形度が20になるまで複数個、恒常的に得ます。

注意:直接触れているものに対して、1秒ごとに干渉力低下(30)を与える。

注意:異形度19以下のプレイヤーが鑑定すると、恐怖(100)を与える。

注意:周囲の呪詛濃度が15以下の空間では存在できない。

▽▽▽▽▽



「ふむふむ」

「やっぱり俺たちが解体したよりも質がいいな」

「耐久度の残りも多い」

「それに此処まで分ける手際も鮮やかだった」

 えーと、私にとって使い道がありそうなのは、毛皮、肉、墨袋ぐらいだろうか。

 毛皮はジタツニと、ザリチュ本人が望むならザリチュの強化に。

 肉は単純に食用として。

 墨袋は『淀縛の邪眼・2(タルウィボンド)』の強化素材の一つとして使えるだろう。

 角は大きすぎるし、骨は堅いだけ、牙は使い道が思いつかない、血は……後で適当に呪詛薬にしてみてもいいか。

 なんにせよ、ちょっと放置で。


「さて、肉を食べましょうか」

「でチュか」

 では、恐羊の竜呪の肉を食べてみよう。

 フレーバーテキストの内容に沿って、呪詛を抜いた肉も作るが……うん、完全に抜いた物から、まったく抜かなかったものまで幾つかの段階を設け、そのいずれもをシンプルに塩と僅かな香草だけで焼き、食してみる。


「ふむふむ。何と言うか……呪いを抜けば抜くほど、より若い肉になっていく感じがあるわね。呪いが濃い肉の臭みと固さも嫌な奴ではなく、美味しいと感じる奴だけど」

「呪いを抜けばラム肉、呪いを込めればマトン肉って事ですかね?」

「たぶんそういう事ね」

 恐羊の竜呪の性質、これはこれで色々と使い道がありそうだ。

 一般的にはラム肉のが高級で美味しいとされているが、このマトン肉なら選択して好みの方を選ぶ方が正しいと私は感じるほどだし。


≪呪い『劣竜式呪詛構造体』がアップデートされました≫

「もぐっ?」

「どうかしたでチュ?」

「いえ、問題はないわ」

 なんか通知が来た。

 えーと、『劣竜式呪詛構造体』のアップデートね……恐羊の竜呪の肉を食べた事で、肉に含まれていた呪詛の構造情報を取得し、それによって強化されたと言う事だろうか?

 現状ではステータスやフレーバーテキストに変更は無し。

 それと、骨の一部を粉にして砕き、毒液に溶かした上で飲んでみたが、効果は無し。

 たぶんだが、構造情報の取得は肉だけで全て得られると言う事だろう。


「んー、牛陽の竜呪と虎絶の竜呪も倒してこないといけないわね。これは」

「じゃあ行くでチュよ。たるうぃが居るなら、その二体もきっと周回できるはずでチュから」

「だといいわね」

 これは牛陽の竜呪と虎絶の竜呪の肉も食べてみた方がいいだろう。

 と言う訳で、解体を終え、見学プレイヤーからの感謝を受け取った私たちは、他プレイヤーたちを引き連れ、灼熱の眼宮に向かう事にした。

08/29誤字訂正

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >恐羊の竜呪のの濃密な呪いを秘めた血。 「の」が2つ付いています。 [一言] >さて、肝心の解体だが、そんなに難しいものではない。 >死体を袋の外に出すと同時に、『反魂の呪詛』や『風化…
[一言] 読者2「うーん?」 タル「どうかした?」 読者2「いえ、なんというか……まだ何か引っかかるんですよね……」 タル「え、そう?」 読者2「そうそう……罠?」
[一言] 全部食べたら劣がとれるのかな?
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