620:4thナイトメアアフター-1
「移動……したのよね?」
「したはずだぞ」
「この場に居る面子と基本的な風景が変わらんから、反応に困るわぁ」
「イベント中に作った物はちゃんと全部消えているでチュよ」
と言う訳でイベント終了である。
終了であるが、閉会式が終わるまでは生産用エリアにこのメンバーで集まっている事は可能なようだ。
なお、外に出る事も可能だったので、閉会式が始まる前にゼンゼとマントデアは外に出ていった。
私が残った理由は……まあ、騒がしくなりそうだったからである。
『楽しんだかああぁぁ! 化け物共おおおぉぉ!!』
「さて、閉会式だけど……ぶっちゃけ、そんなに気にすることはないわよね」
「無いでチュねぇ」
閉会式が始まり、画面の向こうでは万捻さんが今回のイベントについて色々と言っている。
そんな中で私は獲得したポイントについて確認する。
『さて、今回のイベントでは多くのプレイヤーの皆様方が大いに腕を振るったおかげで、沢山のアイテムが作り出されました。具体的な数については現在計算中でございますが、百万点を突破する事はほぼ確実なようです』
「んー……思った以上に稼げてるわね」
「幾つか強力なアイテムも作っていたでチュからねぇ」
私が獲得したポイントは6部門合計で3,080ポイント。
防具部門で提出した破接の断界輪が1,000ポイント評価だったことに加えて、他の部門でザッハークに盛る呪詛薬の類以外でも、それなり以上のアイテムを準備出来ていたおかげだろう。
そして、イベントの仕様上、このポイントをゼンゼとマントデアの二人も得ているはずである。
『事前に説明したとおり、これらのアイテムは2週間後に開催される次回のイベント、『盗賊恐れる宝物庫の悪夢』にて、プレイヤーの皆様方が獲得を目指すアイテムとなります。まずは1週間後に名称と外見のみを載せた目録が出されますので、それを読む事で、狙うアイテムを探してもらえると幸いでございます』
「ところで、百万点以上のアイテムが作られたことについてのツッコミは無しでチュか?」
「そっちは別に驚きでも何でもないわね。今回のイベントに何人参加したのかは分からないけど、プレイヤーが1万人居て、各プレイヤーが100個のアイテムを作ったら達成できる数字だもの。使わなかった素材も回収されているんだから、そこまで不思議じゃないわ」
「なるほど。つまり百万点と言いつつも、場合によっては萎びてダメになった薬草一本が一つのアイテムとして勘定されている可能性があるんでチュね」
「そう言う事ね」
そう言えば私は幾つのアイテムを作ったのだろうか?
正直なところ、出来上がれば幸いと言わんばかりに適当に掴んだ二つの素材を混ぜ合わせて呪詛薬を作るとかもしていたので、正確な作成数は覚えていないのだが……まあ、100は確実に超えているか。
『また、今回のイベントで得たポイントをどう使うかも事前に考えておくといいでしょう。次回のイベントは迷っている暇なんてありませんからね』
「ポイントの使い道ねぇ……ああ、これは確かに必要そう」
「どういう物なんでチュ?」
さて、今回のイベントで得たポイントの使い道だが、大きく分けて6つになるようだ。
具体的には……
各種ステータスの強化。
どの方向にアイテムがあるか探れるレーダーシステム。
目的地までの最短距離を教えてくれるナビゲートシステム。
戦闘を避けるのに役立つであろうステルスシステム。
長距離の移動能力を強化するビークルシステム。
アイテム鑑定の強化。
この6つに手持ちのポイントから自由に割り振り、自身を強化して、イベントに望むことになるようだ。
なお、一つの項目に割り振れる最大ポイント数が2,000ポイントなので、今回のイベントでMAXとなる6,000ポイントを得ていても、最大強化は出来ないようだ。
ちなみに次回イベント中にポイント得る方法や、割り振ったポイントを再分配する機能もあるとの事。
よく考えて割り振る必要がありそうだ。
『此処で一つ連絡事項です。次回イベントの内容を鑑みた結果、本日のイベント終了から次回のイベント終了まで『ユーマバッグ帝国』の領土にプレイヤーが入る事は不可能となります。また、中から住民やモンスターが出て来ることもありません』
「あらそうなの」
「まあ妥当だと思うでチュよ。防いでおかないと、酷い事になりそうでチュから。チュアアアァァァッ!? たるうぃ!? 何故抓ったでチュ!?」
「化身ゴーレムがあからさまに生温い視線を向けていたから。まあ、解放されていたら、色々と仕掛けたのは否定しないけど」
「だったらざりちゅは間違ってないじゃないでチュアアアァァァッ!?」
『ユーマバッグ帝国』には入れなくなるのか。
とりあえずザリチュは抓った。
抓った上で普段よりも捻りを加えてさらに抓った。
ちなみに、イベント開始前に『ユーマバッグ帝国』に居たプレイヤーは火山の適当な場所に転移させられているとの事。
『さて、これにてイベントは終了ですが、メンテナンスが明けるまで、もうしばらく時間があります。ですので、それまでは交流マップ及び掲示板をお楽しみください。どうかこれからも『CNP』をよろしくお願いします』
「メンテナンスが明けたら、まずは『灼熱の邪眼・2』の強化かしらねぇ……後、『虹霓鏡宮の呪界』と『熱樹渇泥の呪界』の確認もしておかないと」
「大忙しでチュねぇ。たるうぃは」
そうしてイベントは完全に終了した。