597:4thナイトメア4thデイ-6
「lptpぢ、じえいあy!」
「っう!?」
相手の初手は刺突。
私はそれを身を反らす事によってギリギリ避けた。
だが私が避けた時には既に相手は体の各部に力を込め、横薙ぎを開始し始めようとしている。
なので私はネツミテを錫杖形態にし、相手の剣と私の体の間に出現させる。
「ぉち、じゅえy!」
「ぐうっ!?」
ネツミテと相手の剣がぶつかり、私は吹き飛ばされる。
その際に相手の剣に滴っていた油が私の体に付着する。
表示された状態異常は悪臭(18)と火炎属性耐性低下(22)。
感覚からして、毒は含まれていたが、私の耐性によって無効化されたと言うところか。
「dsぢ、あぁy!」
「させないでっチュよ!」
「ナイスよザリチュ!」
再びの刺突攻撃。
が、それは化身ゴーレムが前に出て、盾で逸らす。
続けて行われた攻撃も同様に逸らし、相手が盾を使って仕掛けようとすれば、的確に距離を見極めて、ギリギリ回避する。
だが、相性が悪いか。
相手の全身をヘドロと油が覆っているためか、液体に弱い化身ゴーレムのHPは勢い良く削れて行っているように感じる。
「raelc『淀縛の邪眼・2』、pmal『暗闇の邪眼・2』」
「!?」
「チュアッ!?」
化身ゴーレムの体勢が一瞬崩れたところで、伏呪付きの『淀縛の邪眼・2』は入った。
だが、相手の状態異常の回復手段が、特定の状態異常のスタック値を瞬間的に減らすタイプではなく、全ての状態異常のスタック値が減少する早さを加速するタイプであるためか、全身の干渉力低下も、伏呪による局所的な干渉力低下も、あっという間に減っていく。
化身ゴーレムが体勢を整える時間は稼げたが、それだけだ。
そして『暗闇の邪眼・2』は……想定外の効果を示した。
「爆発……油に引火したわね」
発動の瞬間、相手の体が爆発したのだ。
私の『暗闇の邪眼・2』に火炎属性が含まれている事、先ほど相手の油に触れた時に火炎属性耐性低下の状態異常を受けた点からして、どうやら油に引火、爆発が起きたらしい。
「esaeler。それと『噴毒の華塔呪』」
「いや、引火したわね。じゃないんでチュけど。ザリチュの片腕がもげたんでチュけど」
「もげた程度で済んだならいいじゃない。後で作り直せば済むんだし」
「まあ、そうなんでチュけどね」
と言う訳で。安全の為に『熱波の呪い』は解除。
同時に効果があるかは不明だが、無くとも遮蔽物としては使えると言う事で、ザリチュが用意しておいてくれた『噴毒の華塔呪』を作成。
私は片腕がもげた化身ゴーレムと一緒に退いて、十分な距離を取る。
「今だ! 攻撃を仕掛けろ!!」
「少なくとも動けないようにはしておくぞ!」
「臭いんじゃぼけええぇぇ!」
「ハイクを読め、カイシャクしてやる」
「南無阿弥陀仏!」
と、私たちが距離を取ったことを丁度いいと判断したのだろう。
遠巻きにこちらの様子を窺っていたプレイヤーたちが、爆風で未だ視界不良な範囲に突入していく。
身に着けているものが纏っている呪いの濃さからして、準初心者から上級者まで居る感じだが……まあ、仕留められたらられたで別にいいか。
「じぉypんr、gyじゅりvw!」
「「「ーーーーーー!?」」」
あ、うん、フラグだった。
プレイヤーたちが突っ込んだところで、再び爆発。
突っ込んだプレイヤーたちが吹き飛ばされて、悪臭を纏った状態で転がってくる。
「グワーッ!」
「くそっ、油だらけの体に、火打石の盾とか組み合わせが危険物過ぎるだろ!」
「あー、もし、2トロの奴が戻って来たら、全力で文句を言ってやる……」
「転がってから悲鳴を上げるのってどうなん?」
「やられたのは初心者寄りの連中ばかり……火力はそんなに高くないのか?」
えーと、誰かが言っていたが、倒されたのは準初心者な感じのプレイヤーばかりか。
ノックバック性能を高めた代わりに、威力そのものは控えめな攻撃だった感じだろうか?
「んー……これが最良かしらね。esipsed『魅了の邪眼・1』」
「yrぉjs、rwじゅgl……!?」
とりあえず相手の姿が見えたところで、『魅了の邪眼・1』を撃ち込み、魅了(畏怖)(208)でもって、動きを止めた。
状態異常のスタック値減少を早める手段があっても、これならば、それなりの足止めにはなるだろう。
「で、いい加減に聖女ハルワには来てほしいのだけど……」
「本当にそうでチュねぇ。たるうぃが討伐しようとしたら、周囲の被害が酷そうでチュし」
周囲を確認。
聖女ハルワの姿は無し。
プレイヤーたちは次の攻撃の準備中。
なお、化身ゴーレムが言う通り、私が仕掛けると周囲の被害が酷くなる。
毒を除くと、私の攻撃手段はだいたい火炎属性を含んでおり、この相手に火炎属性の攻撃を仕掛けると爆発するのはこれまでに見た通りだからだ。
「lptpぢ、じえいあy……」
「本当に早い……」
「魅了ハメは無理っぽいでちゅねぇ」
魅了(畏怖)が入ってからおおよそ20秒、解除されました、と。
こっちはまだ『魅了の邪眼・1』の使用後CTも明けていないんだけどなぁ……。
「しょうがない。周囲の被害度外視で焼きましょう」
「まあ、そうなるでチュか」
私はネツミテを構え、化身ゴーレムも残った腕で迎撃の構えを取る。
「ど……」
そして、相手が再び攻撃を仕掛けようとした時だった。
「っ!?」
「そこまでよ」
「ようやくみたいね」
「でチュねぇ」
相手の全身を包み込むように、白い光の柱が立ち上った。
その光は私に嫌悪感を抱かせるもので、私の肌をじりじりと焼くような感覚を覚えさせるものだったが、この場で一番待ち望まれている光でもあった。
07/21誤字訂正
07/22誤字訂正