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『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
9章:『空白恐れる宝物庫の悪夢』
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593:4thナイトメア4thデイ-2

「マアアァァァッシュウウッ!!」

「出てきたわね」

「でチュね」

「おおっ、デカいな」

「レベル37、仇討の茸呪。ちゃんと虐殺へのカウンターやなぁ」

 共鳴の茸呪を狩り続ける事暫く。

 身長10メートルはあるであろう人型の茸が叫び声を上げつつ、地中から姿を現わす。

 頭と両腕に相当する部分の先には立派な傘が付いていて、全身が金属質な輝きを持っている。

 それだけでなく、傘と胴体の表面では紫と深緑色の液体が滴っていて、滴っている液体は同色の霧となって、ゼンゼ曰く仇討の茸呪と言う名称のカースの周囲を漂っている。


「マシュアアアァァァ!」

 仇討の茸呪が両腕を振り上げつつ、こちらに向かって突っ込んでくる。

 さて、掲示板情報曰く、モンスターの虐殺に伴って出現する仇討系統のカースは、こちらの能力をメタるような能力を持っているらしいが……。


「マシュアッ!」

「ふんぬぅ!」

 仇討の茸呪がベアハッグと頭突きを合わせるような攻撃をマントデアに向かって放つ。

 対するマントデアは三本の腕でもって、仇討の茸呪の両手と頭を正面から抑え込もうとする。


「マジュウゥィ……」

「ぐっ……案外削れるな」

 結果は痛み分けに近いか。

 マントデアはそれなりのダメージを受けたが、仇討の茸呪の体勢は崩れた。

 いや、マントデアは相手を抑え込んで、動きを止めようと思っていたのだから、僅かにマントデアの方が不利になるか?


etoditna(エトディトナ)毒の邪眼・3(タルウィベーノ)』。うん、やっぱり効かないわね」

「マシュ?」

 一応、目3つ分程度で『毒の邪眼・3』は試してみる。

 うん、効果なし。

 虐殺に毒を使っていたので、当然だろう。


「チュアッ!」

「せいっ!」

「マシュシュ?」

 同時に化身ゴーレムとゼンゼが追撃。

 が、こちらもほぼ効果なし。

 化身ゴーレムに至っては、仇討の茸呪の表面に付いている液体によって、ダメージを受けている感じもある。


ezeerf(エゼールフ)灼熱の邪眼・2(タルウィスコド)』。各自、一当てしてみた感触を報告して」

「マジュ!? マッシュアアアアァァァァッ!」

 続けて目10個分で『灼熱の邪眼・2』を発動。

 ダメージはそれなりにあったが、付与した灼熱は仇討の茸呪が使用した状態異常回復によって、直ぐに回復されてしまった。

 どうやら、私へのメタとして、状態異常回復能力をきっちり持っているようだ。


「ボルトハンマー!」

「マッジュウゥ!?」

「あー……打撃、電撃、どっちも微妙な感じだな。ノックバックも巨体のせいで入りづらいか」

 マントデアが雷を纏ったパンチによって追撃する。

 この攻撃によって仇討の茸呪はたたらを踏んで後退するが、確かに普段の相手に比べると効きが悪そうだ。


「もういっちょ……うげっ、弱点の位置が変わっとるやん!?」

「うわっ、この毒、よく感じて見れば、毒よりも湿気がメインじゃないでチュか!?」

「マアァァシュウゥゥ……」

 仇討の茸呪が次の攻撃の為に構えを取る。

 その間にゼンゼと化身ゴーレムが攻撃を仕掛けるが、ゼンゼは先程よりも大きく弾かれている。

 どうやら、ゼンゼの急所攻撃への対処として、急所を変える事が出来るようだ。

 で、毒霧は化身ゴーレム対策として湿気を含んでおり、近くで戦うのが難しいと。

 なお、毒霧の毒性については、化身ゴーレムどころか、ゼンゼの持つ毒耐性すら抜けない程度のようだ。


「マシュシュウゥ!」

「ぐっ、このっ……」

「んー……こちらの能力をメタるとは聞いていたけど、予想以上ね。もしかしたら、対私たち限定で能力が上がっているとかもあるかしら?」

「あるやろなぁ。ウチらの能力メタ分の耐性に加えて、ウチらからの攻撃に限定した耐性も持っていて、結果として超耐性になっているとかありそうや」

「つまり、一番楽なのは他のプレイヤーに押し付けて、処理させる事でチュか」

 マントデアが仇討の茸呪の攻撃を受け流すのに近い形で捌きつつ、軽く相談。

 仇討の茸呪対策として一番楽なのは、ザリチュの言った通りだろう。

 私たち対策に能力を振っているなら、私たち以外なら簡単に始末できるのは当然だろう。

 が、それでは面白くない。

 狩るなら自分たちでだ。


「でしょうね。でも、まずは色々とやってみましょうか。raelc(ラエルク)淀縛の邪眼(タルウィボンド)・2(エコー)』」

「マシュアッ!?」

 私は呪詛の槍を飛ばし、『呪法(アドン)貫通槍(ピアース)』と伏呪が付いた『淀縛の邪眼・2』を仇討の茸呪に撃ち込む。

 入った干渉力低下は……80か。

 『呪法・貫通槍』込みでこのスタック値とは流石の耐性と言う他ない。


「おらぁ!」

「せいっ!」

「チュアッ!」

「マッジュアァッ!?」

 だがチャンスだ。

 と言う訳で、私以外のメンバーが一斉に攻撃。

 マントデアの攻撃によって仇討の茸呪がダウンし、他二人の攻撃が金属質な表面を切り裂いて、その内側にまで刃を届かせた。


「マッシュアアアアァァァァ!!」

 仇討の茸呪は状態異常回復によって干渉力低下を治そうとする。


「はい、残念でした」

「マジュッ!?」

 が、干渉力低下が治った直後、そのスタック値が減ったことで伏呪が発動。

 仇討の茸呪の胴体に黒い靄のような物がかかり、胴体干渉力低下(80)を付与する。

 どうやらメタれる範囲にも限度があったようだ。

 まあ、私たちは実質四人なので、メタるためのリソースが足りなかったのだろう。


「おー、これはえぐいなぁ。実質状態異常回復殺しやんけ」

「ほうっ。コイツはちょうどいいな!」

「此処が攻め所でチュよ!」

「マシュアアアァァァッ!?」

 そして、私以外の面々がこんな隙を見逃すわけがない。

 殺到した追撃によって、仇討の茸呪は討たれた。

07/17誤字訂正

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― 新着の感想 ―
[一言] >共鳴の茸呪を狩り続ける事暫く。 ゼンゼ「ん?いつの間にか『悲鳴の茸呪』に名前が変わっとるな」 >「マジュウゥィ……」 ???「何がまずい?言ってみろ」(パワハラ上司並感) ふと、無惨様…
[一言] 茸「仇討ちを果たせず……それどころか怨敵にろくに手傷も負わせられず……ただ敵の糧になるとは……無念……な、り……ガクリ」 これは恨まれますわ
[一言] 強いキノコと言うとダクソのアイツを思い出す…
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