表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『Curse Nightmare Party』-邪眼妖精が征くVRMMO  作者: 栗木下
9章:『空白恐れる宝物庫の悪夢』
589/1000

589:4thナイトメア3rdデイ・タルウィボンド・2-2

「えー、普通のプレイヤーがこうして精神世界にやって来て、試練を受ける事で新たな呪術を習得したり、強化したりすることはほぼ無いと言っておくでチュ。こうなるのは極一部の例外的な実力を有する存在が、呪術の習得と強化をしようとするも、現実世界だけでは判定のための諸々が足りないからでチュ。視聴者の皆さんには、そこら辺を理解した上で、この先を見て欲しいでチュ」

「前回と一字一句同じってのは流石にどうかと思うんだけど。ニセムラード」

「今回から初めて見る視聴者も居るかもしれないでチュから、注意事項の通達は必須でチュ。そして、この手の注意事項は安易に文言を変えるべきではないんでチュよ」

「まあ、それはそうでしょうけど」

 腹の中から漂ってくる香気を味わいつつ、私は虚空に向かって説明をしているニセムラードに話しかける。

 が、ニセムラードはこちらを振り向きもせず、状況説明を優先した。


「では、今回の課題について説明するでチュ」

「む……」

 ニセムラードがこちらを向く。

 すると私とニセムラードの間に適度な大きさの机が出現。

 机の上には二組のトランプ、時計、リセットと書かれたつまみ、カウンター付きの押しボタンが置かれている。

 カウンターの数字はデジタル表記で、現在は0。

 時計はアナログ式で、全ての針が12時を指している。


「今回の課題はソリティアの一種、スパイダーでチュ」

「習得の素材に蜘蛛を使ったからかしら……。まあいいか。だからトランプが二組あるのね」

「そういう事でチュ」

 ニセムラードが課題を発表すると同時に、テーブルの上に置かれたトランプが誰の手も借りずにシャッフルされる。

 そして、スパイダーのルールに従って、54枚のカードが場札として配置された。

 えーと、スパイダーのルールは……確か、ルールに従ってトランプを動かしていき、同じスートのカード13枚を連続させることが出来たら、組札へと移動。

 最終的に全てのカードを組札へ動かせれば、成功、だったか。


「ちなみに難易度は?」

「とある企業のPCに入っているもの基準で言うなら、上級でチュ」

「つまり、4種類のスートを使用するわけね……」

「クリア出来る保証がなくてもいいなら、8種類のスートを使用するタイプの準備も可能でチュが?」

「流石に止めておくわ」

 ちなみにスートとはトランプのマークの事であり、スペード、クラブ、ハート、ダイヤの事である。


「でチュか。そうそう、制限時間は12時間。その12時間の内に一度でも成功させて、そこのボタンを押せれば、邪眼術を習得。それ以外で夢から覚めれば、習得失敗でチュ」

「つまり、単純にスパイダーをやるだけじゃないのね」

「勿論でチュ。具体的な制限としては、一度成功させる度に、この精神空間に居る間ずっと、全身、頭部、胴体、右腕、左腕、右脚、左脚、呼吸器のいずれかへと干渉力低下が付与されるでチュ。付与されるスタック値は1から13でチュね」

「ふうん……」

 要するに、スパイダーを成功させる度に体の何処かが縛られ、呼吸、動作、体の維持などが難しくなっていく。

 そうなれば必然的にスパイダーを進めるスピードも落ちるし、何度もクリアして特定の部位に干渉力低下が重なっていけば、命すらも危うくなる。

 まあ、欲をかき過ぎるな、と言う事だろう。


「では、始めるでチュ」

「分かったわ。さて、まずは一回クリアしないとね」

 そうして課題は始まった。


----------


「ふぅ……ふぅ……ふぅ……」

 開始から8時間ほど経った。

 いやまあ、ずっと同じゲームをやっているのが精神的にツラいと言うのもあるが……それ以上に呼吸がつらい!

 全身干渉力低下(8)、胴体干渉力低下(12)、頭部干渉力低下(9)、呼吸器干渉力低下(13)、これらは別の状態異常に思えるが……呼吸という動作に限っては効果範囲の被りによって、普段の倍以上の力で以って呼吸をしなければいけなくなっている。

 もしも普通の力で呼吸し続けたら?

 酸欠で気絶である!

 精神世界だからと、呼吸が必要ないなんて仕様には、今回はなっていないのだ。

 当然他の部位の干渉力低下もあるわけで、本当にきつくなってきた。

 思考が淀んで、蜘蛛の糸に絡め取られる虫のように身動きが難しくなってる。

 当初は大したことがないと思っていたが、やはり干渉力低下は重なってくるとキツイ。


「くっ……悔しいけど、此処でギブアップよ」

 これ以上は終了ボタンを押す事も難しくなる。

 そう判断した私はボタンを押して、試練を終了させた。


≪呪術『淀縛の邪眼・2』を習得しました≫

≪タルのレベルが37に上がった≫

「ぷっはぁ……はぁはぁ……あー、呼吸が問題なく出来るって本当に気分がいいわ……」

 元の世界に戻ってきた私は、直ぐに深呼吸をした。

 精神世界での酸欠とは言え、キツイものはキツイ。

 いや、精神世界どうこうを言えば、今だって現実ではなく、『CNP』というゲームの中で訪れている悪夢の中なのだが、それでもキツイものはキツイのだ。


「大変そうやなぁ……何があったん?」

「酸欠状態で頭脳労働」

「そらぁ、きっついわなぁ……」

「脳は一番酸素を使う。だったでチュかね?」

 とりあえず得た邪眼術の確認をしておくとしよう。



△△△△△

『淀縛の邪眼・2』

レベル:35

干渉力:125

CT:10s-20s

トリガー:[詠唱キー][動作キー]

効果:対象周囲の呪詛濃度×1の干渉力低下を与える。効果範囲を絞れば絞るほどに効果は上昇する。


伏呪

トリガー:[詠唱キー]

効果:この呪術の効果によって生じた干渉力低下のスタック値が減少する度に、効果範囲が狭まった干渉力低下(減少したスタック値と同値)を与える。


貴方の目から放たれる呪いは、敵がどれほど堅い守りに身を包んでいても関係ない。

全ての守りは破れずとも、相手の守りの内へ直接枷を填め、流れを淀ませるのだから。

そして、一度断たれようとも、淀みは残り続けようとする。


注意:使用する度に自身周囲の呪詛濃度×1のダメージを受ける。

注意:伏呪使用時には更に自身周囲の呪詛濃度×1のダメージを受ける。

注意:伏呪の効果で付与された干渉力低下のスタック値が減少しても、伏呪は発動しない。

▽▽▽▽▽



「まあ、シンプルに強くなった感じね」

 完全解除がされづらいようになった感じか。

 伏呪使用時の詠唱は『淀縛の邪眼(タルウィボンド)・2(エコー)』。

 この感じならば、戦闘開始時に適当に撃ち込んでおくぐらいの雑な使い方をしてみてもいいかもしれない。


「さて、夕飯の準備を始めましょうか」

「でチュか」

「確かにそういう時間やなぁ」

 とりあえず得るものは得た。

 そして、私の腹は減っていないが、ゼンゼとマントデアには食事が必要なので、準備をするとしよう。



△△△△△

『虹霓竜瞳の不老不死呪』・タル レベル37

HP:2.738/4,080 (-1,206)

満腹度:98/150 (-45)

干渉力:136

異形度:26

 不老不死、虫の翅×6、増えた目×11、空中浮遊、呪圏・薬壊れ毒と化す(ダマーヴァンド)、遍在する内臓、劣竜式呪詛構造体(劣竜血、劣竜骨髄、劣竜肉、劣竜瞳、劣竜皮)

称号:『呪限無の落とし子』、『生食初心者』、『ゲテモノ食い・3』、『毒を食らわば皿まで・3』、『鉄の胃袋・3』、『暴飲暴食・3』、『大飯食らい・2』、『呪物初生産』、『呪術初習得』、『呪法初習得』、『毒の王』、『灼熱の達人』、『沈黙の名手』、『出血の達人』、『淀縛使い』、『恐怖の名手』、『小人使い』、『暗闇使い』、『乾燥使い』、『魅了使い』、『重力使い(増)』、『石化使い』、『呪いが足りない』、『かくれんぼ・1』、『ダンジョンの創造主』、『意志ある道具』、『称号を持つ道具』、『超克の呪い人』、『1stナイトメアメダル-3位』、『2ndナイトメアメダル-1位』、『3rdナイトメアメダル-赤』、『七つの大呪に並ぶもの』、『邪眼術士』、『呪い狩りの呪人』、『竜狩りの呪人』、『呪いを支配するもの』、『偽神呪との邂逅者』、『呪限無を行き来するもの』、『砂漠侵入許可証』、『火山侵入許可証』、『虹霓竜瞳の不老不死呪』、『生ける呪い』、『雪山侵入許可証』、『海侵入許可証』、『いずれも選ばなかったもの』、『呪海渡りの呪人』、『泡沫の世界の探索者』


呪術・邪眼術:

毒の邪眼・3(タルウィベーノ)』、『灼熱の邪眼・2(タルウィスコド)』、『気絶の邪眼・2(タルウィスタン)』、『沈黙の邪眼・2(タルウィセーレ)』、『出血の邪眼・2(タルウィブリド)』、『小人の邪眼・2(タルウィミーニ)』、『淀縛の邪眼・2(タルウィボンド)』、『恐怖の邪眼・3(タルウィテラー)』、『飢渇の邪眼・2(タルウィハング)』、『暗闇の邪眼・2(タルウィダーク)』、『魅了の邪眼・1(タルウィチャム)』、『石化の邪眼・2(タルウィペトロ)』、『重石の邪眼・2(タルウィヘビィ)』、『禁忌・虹色の狂眼(ゲイザリマン)

呪術・原始呪術:

『不老不死-活性』、『不老不死-抑制』、『風化-活性』、『風化-抑制』、『転写-活性』、『蠱毒-活性』、『再誕-活性』、『魔物-活性』、『反魂-活性』

呪術・渇砂操作術-ザリチュ:

取り込みの砂(ザリチュメモリ)』、『眼球(ザリチュサイト)』、『(ザリチュアーム)』、『(ザリチュラット)』、『化身(ザリチュアバタ)』、『噴毒の(カースゴレム・)華塔呪(ザリチュタレト)』、『禁忌・虹色の狂創(アーリマンキス)

呪術-ネツミテ:

太陽の呪い(ノームセルブ)』、『熱波の呪い(ドロクセルブ)』、『埋葬の鎖(ボレヴァルグ)

呪術-ドロシヒ:

虚像の呪い(ラエルセルブ)』、『貯蓄の呪い(エサウセルブ)

呪法:

呪法(アドン)増幅剣(エンハンス)』、『呪法(アドン)感染蔓(スプレッド)』、『呪法(アドン)貫通槍(ピアース)』、『呪法(アドン)方違詠唱(ハイキャスト)』、『呪法(アドン)破壊星(ミーティア)』、『呪法(アドン)呪宣言(ロックオン)』、『呪法(アドン)極彩円(サークル)』、『呪法(アドン)呪晶装填(ブースト)』、『呪法(アドン)逆残心(スペルビア)


所持アイテム:

『路竜の包帯服』ジタツニ、『竜鱗渇鼠の騎帽呪』ザリチュ、『陽憑きの錫杖呪』ネツミテ、『星憑きの玉輪呪』ドロシヒ、鑑定のルーペ、鼠毒の竜呪の歯短剣×2、毒頭尾の蜻蛉呪の毛皮袋、鼠毒の竜呪の埋葬袋、フェアリースケルズ、蜻蛉呪の望遠鏡etc.


所有ダンジョン

『ダマーヴァンド』:呪詛管理ツール、呪詛出納ツール、呪限無の石門、呪詛処理ツール、呪詛貯蓄ツール×5設置、『熱樹渇泥の呪界』・『入子屋敷の呪地』・『塩砂湖畔の呪地』接続済み


システム強化

呪怨台参式・呪詛の枝、BGM再生機能、回復の水-2、結界扉-2、セーフティ-2、長期保管用カプセル、『満腹の竜豆呪』ハオマ

▽▽▽▽▽

07/13誤字訂正

07/20誤字訂正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 干渉力低下ってどこに作用するかそんなに細かくなってたのかぁ
[一言] 今話を読んでスパイダーソリティアをやってみました。……スート2種類で勝率1割でした……。 よくスート4種類で4回勝てたなタル……。 付与された部位が全て呼吸関係な辺り、タルの運なのか何者か…
[良い点] 伏呪は全身のダルさはとれてもどこかしらダルい感じか ソリティアガチ勢いたらどれぐらいが限界なんだろ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ